キッド「おい、キラー」

がしっ、とキッドがキラーと肩を組んでこそこそと何かを話しはじめた。

『(なんだろ)』

うんうんと何度か頷き合い、しばらくして元の位置に戻った２人だったが、キラーの位置が心なしか先ほどより近い気がしないでもない。

キラ「なにか好きなものはあるか？」

『え？

いえ、お構いなく』

空の皿を持って聞いてくるキラーに、気遣いは不要だと手を振って拒否するが、それも気にするなと言われ、皿に食べ物を乗せてくる。

キラ「嫌いなものがあれば残して構わない」

『ありがとうございます』

綺麗に彩られた皿を受け取り、一口食べれば、サンジやサッチとはまた違った優しい味が口の中に広がる。

キラ「ど、どうだ？」

『美味しいです』

キラ「そうか！よかった！！」

明るい雰囲気になったキラーは、これもこれもといろいろ勧めてくれる。

『(仮面つけてるのに表情がよくわかる人だな)』

恋歌とは違いフルフェイスのマスクなので表情は一切見えないが、雰囲気で今どんな表情をしているのか大体察しはつく。

キッド「おい」

『はい』

黙々と料理を食べていると、キッドが恋歌の皿にぼちゃ、と何かを入れた。

なにかと思って見ればロールキャベツが皿の中に増えている。

(((頭が好物を他人に…)))

キッド「これが一番美味い」

『そうでしたか

いただいていいんですか？』

キッド「ああ」

お礼を言ってキッドおすすめのロールキャベツを食べれば、キッドがおすすめしてくるだけあって確かに美味しかった。

『(キッド海賊団もいい人たちなんだ)』

キラ「なぁ恋歌、」

『え…』

いきなり名前を呼ばれたかと思うと、ぐっと腰を掴まれ、わずかにあった距離もなくなった。

キラ「(か、可愛い…)

トラファルガー・ローとはどういう関係なんだ？」

掴んだ腰が思ったより細く、握りつぶせそうだとは思ってしまったが、きょとんとした顔で見上げてくる恋歌を、純粋に可愛いと思ってしまった。

『ローさんは…ルフィの同盟先の船長さんで…知り合い、です』

キラ「麦わらとも繋がりが？」

『あ、ルフィは…「お！これうまそうだな！！」

ルフィ…』

どんどんと出てくる最悪の世代の名前に、わずかに腰に回している手に力が入るが、ルフィとの関係を話す前に本人が登場した。

キラーとは逆の方に引っ付いて、恋歌の皿に入っている食べ物を涎を垂らして見ている。

『口開けて』

ル「あー…」

素直に口を開けるルフィの口の中に、好きそうな肉料理を入れてやると、次を待つようにまた口を開けた。

キッド「おい、麦わら…

お前桜姫とどういう関係だ！」

ル「？？

こいつらに正体ばれたのか？」

『うん、見破られちゃった』

ル「ふーん」

キッド「答えろ！！」

仲睦まじい様子にキラーが固まり、キッドがルフィを怒鳴りつける。

ル「関係って…おれの母ちゃんだけど？」

「「…は？」」

それがどうかしたと首を傾げるルフィに、キッドとキラーが目線で会話をする。