ローの後ろについて船の外に出ると、先ほどまでの戦いが嘘のように、いろんな海賊が入り混じって宴が始まっている。

ル「あ！母ちゃん！」

恋歌の事を見つけたルフィが、にこにこしながら走り寄って来て、じーっと顔を見られる。

ル「もう大丈夫なのか？」

『うん、寝かせてもらえたし、もう元気だよ』

ル「そっか！」

よかったと笑うルフィは、どさどさと近くにある食べ物を渡してきた。

ロー「おい、麦わら屋

恋歌がこんなに食えるわけねぇだろ」

ル「そうか？

あ！トラ男の仲間たちはあっちにいたぞ」

ロー「…ああ」

あっち、と指差された方ではハートの海賊団が、別の海賊団と宴を楽しんでいる姿が見えた。

もう盛り上がり過ぎている宴に、途中からどう参加すればいいのかわからず、立ち尽くしていると、ぽん、と肩を叩かれた。

ナ「恋歌、あっちでわたしたちと飲みましょ！」

『あ…』

ロー「行って来い」

ナミが誘いに来てくれ、誘われた先は女性ばかりが集まっている。

それを見たローは、ひらひらと手を振ってハートの海賊団の方へ。

ナミに腕を組まれて連れて行かれた先で、ジュースを渡され、女性だけの輪に入った。

ロビ「あら恋歌、もう身体は平気なの？」

『うん』

ロビ「そう、ならよかったわ」

かつん、とジョッキをあわせると、ロビンの目が恋歌の左胸に向けられる。

ロビ「恋歌あなた…その服」

『あー…借りたんだ』

ロビ「…そう」

ロビンはなにか言いたそうだったが、恋歌とローの複雑な関係の事を知っている為、深く追求する事は止めた。

サ「あれ？恋歌さん！

もう平気なのかい？」

チョ「恋歌！！心配したんだぞ！？」

『うん、心配してくれてありがとう』

麦わらの一味に会えば、全員が心配してくれていたようで、元気な姿を見て笑顔を向けてくれる。

膝の上に乗ってくるチョッパーの頭を撫でてやり、サンジがふるまってくれる豪華な食事を楽しむ。





「そういえば桜姫どこいったんだ？」

「そういや…」

今回の戦いで海賊全員を守ってくれた伝説の桜姫がいないなと、誰かがふとした瞬間に気づいた。

そういえばそうだな、とその話題が広がり、きょろきょろと海賊たちがあたりを見渡す。

だが、正体を知っている者たちが恋歌の事を言うわけもなく、どこに行ってしまったのかと首を傾げ、なにを思ったのか、数人の海賊たちが恋歌たち女性が集まっている場所に向かってくる。

「…なに？こいつら」

「さぁ…」

１人の女海賊をじろじろと見て、しばらくすると別の女海賊をじろじろ見るというのを繰り返している。

「桜姫ってどんなんだっけな」

「えーと、金髪で…」

「仮面つけてて…」

「赤いブーツはいてて…」

「小さかった…ような…」

「いやそれはバレットの奴と比べてだろ？」

外見で似た人物を探しているのか、酔った海賊たちは金髪ですらない女海賊にも顔を近づけてじろじろと見始めている。

ナ「なにあいつら…」

ロビ「恋歌、離れていなくて大丈夫？」

『…そうだね

ちょっとその辺に隠れてくる』

ローから正体がばれるとルフィが楽しんでいる宴が終わってしまうと言われた事を思い出し、騒ぎが落ち着くまで離れていようとそっとその場を離れた。