23話
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一夜明け、リカバリーガールに治癒を施してもらい完治した雄英の生徒たちは一度学校に帰る事になった。
通形は個性消失の為休学という形をとり、引き続き検査の為にもう一日入院をする。
相「・・・足は?」
残りの怪我を治癒してもらい、足がいつも通りに動かしにくい恋歌はロビーで流れるニュースを座って見ながら、ぼーっとしているところを相澤に声をかけられた。
『走ったりしなきゃ大丈夫だよ』
相「そうか」
『・・・兄さん』
相「なんだ」
唯一自由に動かせる左腕を挙げ、掌と視線を天井に向ける。
『・・・もっと強くなりたい
怪我を・・・したくない・・・』
今までであれば守りたいものが守れれば自分の身体にどれだけ傷や怪我が増えようとも気にしなかった恋歌だが、今回怪我が完治しなければ大切な人に触れる事も出来なくなると実感させられた。
一生消えない傷を負う事よりも、大怪我をする事よりも、刀が振るえなくなる事よりも、大切な人に自分から触れれなくなる事が一番怖い。
相「・・・そうか」
実際腕が使えなくなるかもしれない怪我をしていた時に傍にいた相澤は恋歌が今回の怪我でいろいろと考える事があったのは気づいている。
これまでとは意識が変わっている事も。
ぽん、と頭に軽く手を置いて頑張れと小さくエールを送る。
生半可な努力でここまできているわけではない。
そこからさらに強くなるということはさらに過酷な修行や鍛錬をしなければならない。
相「お前はまだ強くなれる
努力できる恋歌は俺の自慢の妹だ」
『うん、ありがとう』
病院を出たのは明るいうちだったが、手続きや調査、処理などがあり寮に帰ってこれたのは夜になってからだった。
恋歌は壊理の為に病院に残るという相澤に代わって明日の仮免講習に同行するということで、引継ぎ等を病院で行い職員室にて明日の準備に取り掛かっている。
生徒たちはそれぞれ寮に戻っているが恋歌は考え事をしながら、職員室でパソコンに向かっていた。
『(強くなりたいって言っても簡単にはなれない
今すぐできる事といえば・・・)』
かたかたとキーボードを叩きながら自分に足りないものを補うための装備を探す。
恋歌に圧倒的に足りないものは筋力。
それは自分自身でわかっていたし、課題でもある。
昔もサポートアイテムでなんとか補助をしようとしたが、サポートアイテムが重くスピードが落ちた為やめたのだ。
しかし、今回発目に作ってもらったニーハイはブーツの時より薄くなったにも関わらず昨日は同じで耐久性や強度は上がっている。
時代の移り変わりとともに技術も進化してきている今なら恋歌にも使える筋力強化のサポートアイテムが作ってもらえるのではと考えた。
『(・・・この1か月間鍛錬ができないならその分体力も落ちる
それもなんとかしないとな・・・)』
学生時代に考えていた筋力サポートのアイテムの要望をパソコンに打ち込みながら、作ってもらえるように細かく内容を考えていく。
思いつく限りの要望を打ち込んでいると、携帯が机の上で振動し始めた。
ディスプレイを確認すれば画面には”焦凍君”と出ている。
『もしもし?どうしたの?』
焦「・・・恋歌も帰ってきてんだよな?」
『学校にいるよ』
電話にでれば何とも言い表しがたい声をした焦凍が、恋歌がどこにいるのかを確認してくる。
学校のどこにいるのかと細かい場所まで確認してきた焦凍に職員室だと伝えると、今度は何時ごろに帰ってくるのかと聞いてきた。
『自分の用事で学校にいるだけだし今すぐにでも帰れるよ』
焦「そうか・・・
じゃあ玄関まで迎えにいくから降りてきてくれ」
『わかった』
あまり仕事をしているときや、学校にいるときには自分の意見を言ったりしない焦凍だが、今回は帰ってきてほしいと言われたので、すぐにパソコンを閉じて立ち上がる。
リカバリーガールから走る事を禁止されているので、急がないといけないとは思いながらもゆったりとした足取りで暗い廊下を歩く。
焦「恋歌」
玄関まで出ると、先に到着していた焦凍がゆっくり歩いてくる恋歌に駆け寄ってきて大丈夫かと手を差し伸べる。
『ありがと
でもゆっくりなら歩けるから大丈夫だよ』
焦「俺が横にいるときは掴まってろ
転んだらあぶねぇし長引くかもしんねぇだろ」
『うん、じゃあお願いします』
差し出してくれた手を握り返し、寮までの短い道のりをゆっくりと歩き始める。
焦「もう言ってた他の怪我はいいのか?」
『うん、けど右肩だけは足と一緒で1か月間は使っちゃいけないって言われてる
もし刀を使わなくちゃいけない事になったら左手で使うようにって』
焦「・・・そうか」
ぎゅっと手を握る力を強めた焦凍は、うつむきながら小さく息を吸い込んだ。
焦「ほんとに・・・無事でよかった・・・」
恋歌がそこにいるのを確かめるように痛いぐらい手に力を入れる。
『・・・焦凍君、心配かけたね』
いつもなら恋歌の事を気遣って全力で手を握ったりはしない。
それに帰ってきたことを確かめるのなら抱き締めたりするはずだ。
それをしないのは・・・
『ごめんね』
涙が流れそうになるのをぐっと耐えているからである。
今恋歌に抱き着いてしまえば確実に涙が溢れてきてしまうとわかっているから抱きしめる事ができないでいる。
焦「さっき・・・緑谷たちが寮に帰ってきて・・・
けど・・・そこに恋歌がいなくて・・・
生きてるのも無事なのも知ってたけど・・・帰ってこなくて心配で・・・」
ぽつぽつと涙を懸命に耐えながら話をするが、申し訳なさそうに笑った恋歌の方から焦凍を正面から抱きしめた。
焦「恋歌・・・」
『ごめんね・・・心配かけたね
大丈夫
私はちゃんと帰ってきてるよ』
ぽんぽんと背中を叩きながら、痛いぐらいに抱きしめてくる焦凍の気の済むまで好きにさせてやる。
焦「ほん、とは・・・危険な事してほしくねぇ・・・!
俺が傍で守ってやりてぇのに・・・!」
言いたくても言えなかった言葉が今更になってぽろぽろと出てくる。
それを恋歌は相槌を打ちながら話を聞く。
焦「恋歌・・・!
俺は・・・恋歌を失うのが怖ぇ・・・
いなくならないでくれ・・・」
小さい時も大切な母親がいなくなった。
そのトラウマは今でも残っている。
焦凍にとって恋歌がいなくなるということは、世界が180度変わってしまう出来事。
『うん、いなくならないよ
私はずっと焦凍君の傍にいるから』
だからこそ恋歌は何度でも傍にいると口に出して約束をする。
その約束を恋歌から違える事はない。
焦「ああ・・・!」
それを焦凍もわかっている。
不安ではあるが今回はちゃんと帰ってきてくれたという事を噛み締めて、しばらくの間いつもより強く恋歌の事を抱き締めていた。
通形は個性消失の為休学という形をとり、引き続き検査の為にもう一日入院をする。
相「・・・足は?」
残りの怪我を治癒してもらい、足がいつも通りに動かしにくい恋歌はロビーで流れるニュースを座って見ながら、ぼーっとしているところを相澤に声をかけられた。
『走ったりしなきゃ大丈夫だよ』
相「そうか」
『・・・兄さん』
相「なんだ」
唯一自由に動かせる左腕を挙げ、掌と視線を天井に向ける。
『・・・もっと強くなりたい
怪我を・・・したくない・・・』
今までであれば守りたいものが守れれば自分の身体にどれだけ傷や怪我が増えようとも気にしなかった恋歌だが、今回怪我が完治しなければ大切な人に触れる事も出来なくなると実感させられた。
一生消えない傷を負う事よりも、大怪我をする事よりも、刀が振るえなくなる事よりも、大切な人に自分から触れれなくなる事が一番怖い。
相「・・・そうか」
実際腕が使えなくなるかもしれない怪我をしていた時に傍にいた相澤は恋歌が今回の怪我でいろいろと考える事があったのは気づいている。
これまでとは意識が変わっている事も。
ぽん、と頭に軽く手を置いて頑張れと小さくエールを送る。
生半可な努力でここまできているわけではない。
そこからさらに強くなるということはさらに過酷な修行や鍛錬をしなければならない。
相「お前はまだ強くなれる
努力できる恋歌は俺の自慢の妹だ」
『うん、ありがとう』
病院を出たのは明るいうちだったが、手続きや調査、処理などがあり寮に帰ってこれたのは夜になってからだった。
恋歌は壊理の為に病院に残るという相澤に代わって明日の仮免講習に同行するということで、引継ぎ等を病院で行い職員室にて明日の準備に取り掛かっている。
生徒たちはそれぞれ寮に戻っているが恋歌は考え事をしながら、職員室でパソコンに向かっていた。
『(強くなりたいって言っても簡単にはなれない
今すぐできる事といえば・・・)』
かたかたとキーボードを叩きながら自分に足りないものを補うための装備を探す。
恋歌に圧倒的に足りないものは筋力。
それは自分自身でわかっていたし、課題でもある。
昔もサポートアイテムでなんとか補助をしようとしたが、サポートアイテムが重くスピードが落ちた為やめたのだ。
しかし、今回発目に作ってもらったニーハイはブーツの時より薄くなったにも関わらず昨日は同じで耐久性や強度は上がっている。
時代の移り変わりとともに技術も進化してきている今なら恋歌にも使える筋力強化のサポートアイテムが作ってもらえるのではと考えた。
『(・・・この1か月間鍛錬ができないならその分体力も落ちる
それもなんとかしないとな・・・)』
学生時代に考えていた筋力サポートのアイテムの要望をパソコンに打ち込みながら、作ってもらえるように細かく内容を考えていく。
思いつく限りの要望を打ち込んでいると、携帯が机の上で振動し始めた。
ディスプレイを確認すれば画面には”焦凍君”と出ている。
『もしもし?どうしたの?』
焦「・・・恋歌も帰ってきてんだよな?」
『学校にいるよ』
電話にでれば何とも言い表しがたい声をした焦凍が、恋歌がどこにいるのかを確認してくる。
学校のどこにいるのかと細かい場所まで確認してきた焦凍に職員室だと伝えると、今度は何時ごろに帰ってくるのかと聞いてきた。
『自分の用事で学校にいるだけだし今すぐにでも帰れるよ』
焦「そうか・・・
じゃあ玄関まで迎えにいくから降りてきてくれ」
『わかった』
あまり仕事をしているときや、学校にいるときには自分の意見を言ったりしない焦凍だが、今回は帰ってきてほしいと言われたので、すぐにパソコンを閉じて立ち上がる。
リカバリーガールから走る事を禁止されているので、急がないといけないとは思いながらもゆったりとした足取りで暗い廊下を歩く。
焦「恋歌」
玄関まで出ると、先に到着していた焦凍がゆっくり歩いてくる恋歌に駆け寄ってきて大丈夫かと手を差し伸べる。
『ありがと
でもゆっくりなら歩けるから大丈夫だよ』
焦「俺が横にいるときは掴まってろ
転んだらあぶねぇし長引くかもしんねぇだろ」
『うん、じゃあお願いします』
差し出してくれた手を握り返し、寮までの短い道のりをゆっくりと歩き始める。
焦「もう言ってた他の怪我はいいのか?」
『うん、けど右肩だけは足と一緒で1か月間は使っちゃいけないって言われてる
もし刀を使わなくちゃいけない事になったら左手で使うようにって』
焦「・・・そうか」
ぎゅっと手を握る力を強めた焦凍は、うつむきながら小さく息を吸い込んだ。
焦「ほんとに・・・無事でよかった・・・」
恋歌がそこにいるのを確かめるように痛いぐらい手に力を入れる。
『・・・焦凍君、心配かけたね』
いつもなら恋歌の事を気遣って全力で手を握ったりはしない。
それに帰ってきたことを確かめるのなら抱き締めたりするはずだ。
それをしないのは・・・
『ごめんね』
涙が流れそうになるのをぐっと耐えているからである。
今恋歌に抱き着いてしまえば確実に涙が溢れてきてしまうとわかっているから抱きしめる事ができないでいる。
焦「さっき・・・緑谷たちが寮に帰ってきて・・・
けど・・・そこに恋歌がいなくて・・・
生きてるのも無事なのも知ってたけど・・・帰ってこなくて心配で・・・」
ぽつぽつと涙を懸命に耐えながら話をするが、申し訳なさそうに笑った恋歌の方から焦凍を正面から抱きしめた。
焦「恋歌・・・」
『ごめんね・・・心配かけたね
大丈夫
私はちゃんと帰ってきてるよ』
ぽんぽんと背中を叩きながら、痛いぐらいに抱きしめてくる焦凍の気の済むまで好きにさせてやる。
焦「ほん、とは・・・危険な事してほしくねぇ・・・!
俺が傍で守ってやりてぇのに・・・!」
言いたくても言えなかった言葉が今更になってぽろぽろと出てくる。
それを恋歌は相槌を打ちながら話を聞く。
焦「恋歌・・・!
俺は・・・恋歌を失うのが怖ぇ・・・
いなくならないでくれ・・・」
小さい時も大切な母親がいなくなった。
そのトラウマは今でも残っている。
焦凍にとって恋歌がいなくなるということは、世界が180度変わってしまう出来事。
『うん、いなくならないよ
私はずっと焦凍君の傍にいるから』
だからこそ恋歌は何度でも傍にいると口に出して約束をする。
その約束を恋歌から違える事はない。
焦「ああ・・・!」
それを焦凍もわかっている。
不安ではあるが今回はちゃんと帰ってきてくれたという事を噛み締めて、しばらくの間いつもより強く恋歌の事を抱き締めていた。