出会いから出航まで
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目的の部屋の前に枕を抱えて立っているが、迷惑ではないかとノックをする手をあげたまま固まっている。
『(うーん…どうしよう…)』
しばらく悶々と考えていると、部屋の中から物音がして、部屋の主の方から扉を開かれた。
「なんじゃ、恋歌
こんな夜中にどうした」
枕を立って寒い廊下で立っている恋歌に首を傾げるヴォルフは、恋歌が遠慮がちに見せてきたメモに視線を向ける。
「…わしと?」
少し戸惑った様子のヴォルフだったが、頭をがりがりとかいた後、ため息をついて恋歌を部屋に通した。
恋歌のメモには”一緒に寝たい”と書かれており、一緒に住み始めて約5年、そんな事一度も言われたことはなかった。
「ほれ、さっさと寝るぞい」
先にベッドに入ったヴォルフの横に枕を置いて、もぞもぞと一緒のベッドに入って布団をかぶる。
きゅっと腕に抱き着いてきた恋歌に少しぎょっとしたが、そのまま好きなようにさせてやる。
「お前さんと出会ってもう5年も経つんじゃな…」
ぽつりと話し始めたヴォルフの話を聞くために、視線を向けると今までと同じ優しい目を向けられていた。
「…恋歌はわしと出会った事が、運命の出会いだと言ってくれとったが、わしはローたちと出会った事が恋歌の運命の出会いだと思っとる
ここに来たのはあいつらと出会うためのきっかけにすぎん
だから、恋歌の判断は間違っとらん
恋歌にとっては…生きにくい世の中かもしれんが、あやつらと自分のしたい事をやって、世界を見て来い」
昔と変わらず不器用ながらに優しく撫でてくれる手に、ぽろぽろと涙が出てきてしまい、ヴォルフが困ったように笑う。
『わ、たしは…ヴォルフと出会えたこともっ…運命だって信じてるっ…
ヴォルフが…大好きっ…!』
「カッカッカッ!
わしもまだまだ捨てたもんじゃないのぉ…」
縋りつくように泣いている恋歌の背中をぽんぽんと叩いてやり、5年間一緒にいて初めて甘えてきた恋歌が眠るまで、ヴォルフは精一杯甘やかしてくれた。
次の日の朝、出航の日。
天候は珍しく快晴。
部屋に恋歌がいない事をベポが騒いでいたが、ヴォルフと一緒の部屋から出てきて、今度はペンギンとシャチが騒いでいた。
そして最後の6人での朝食。
5年間お世話になった自分の部屋と、ヴォルフの家に挨拶を済ませ、朝食を食べて研究所に向かい、”ポーラータング号”の操作をヴォルフに教えてもらい、プレジャータウンの港に船をつけた。
「うおおおおおんっ!!あのチビどもがこんなにたくましくなり、そして大いなる冒険へ繰り出そうとしている…!
海賊だろうがなんだろうがかまわん!
わたしは今!猛烈に感動しているうううううっ!!」
見送りに来てくれている町の人たちの中で一番泣いているのはラッドだった。
「気を…つけてね
恋歌と友達になれてよかったわ
元気で…!」
「あんた…笑って見送るんじゃなかったの…?」
「うるさい!あんただって泣いてんじゃないの!」
わんわんと恋歌に抱き着いて泣いているアミに、クロエが呆れたような視線を向けているが、その目には涙が溜まっている。
『2人も…元気でね』
「うん、これ…わたしとクロエから…」
ぽん、と渡された掌に乗る大きさの綺麗にラッピングされた小包を開けると、クリスタルの中に星が入っている置物だった。
『(きれい…)』
太陽の光に透かせば、中の光が反射してクリスタルの中の星が輝き、星とは違う綺麗さに嬉しそうに笑った。
『ありがとう
大事にする』
にこっと笑ってお礼を言えば、その姿を見てどどどっ、と他の男たちも贈り物を恋歌に渡しに来た。
「ちょっと!あんたら遠慮しなさいよ!!」
我先にと渡してくる男たちにアミとクロエが怒鳴り、どこからか本屋の店主が現れて、なぜか整備を始めた。
「最後なんだ…
受け取ってあげて」
そう言われると断れなくなった恋歌は、ひとりひとりから贈り物を受け取り、全員にお礼を言った。
「すげー人気」
「そりゃ可愛いもん
ね?ローさん」
「…ああ」
わんわんと泣いている男たちを見て、複雑な気持ちになったが、その気持ちを押し殺して、恋歌が笑っている事にまぁいいかと思う事にした。
「じゃあ僕からはこれ」
恋歌に贈り物をした男たちを全員さばききった本屋の店主は、最後に恋歌に1冊の本を渡した。
「今までありがとう
3年間、お疲れ様でした」
『こちらこそ…ありがとうございました
お世話に、なりました』
「恋歌ちゃん…!!」
声を出して頭を下げると、本屋の店主はぶわっと涙を流した。
「そろそろ行くぞ」
このままではきりがないと思ったローが、恋歌の腕を引いて、船のデッキへ向かう。
『(うーん…どうしよう…)』
しばらく悶々と考えていると、部屋の中から物音がして、部屋の主の方から扉を開かれた。
「なんじゃ、恋歌
こんな夜中にどうした」
枕を立って寒い廊下で立っている恋歌に首を傾げるヴォルフは、恋歌が遠慮がちに見せてきたメモに視線を向ける。
「…わしと?」
少し戸惑った様子のヴォルフだったが、頭をがりがりとかいた後、ため息をついて恋歌を部屋に通した。
恋歌のメモには”一緒に寝たい”と書かれており、一緒に住み始めて約5年、そんな事一度も言われたことはなかった。
「ほれ、さっさと寝るぞい」
先にベッドに入ったヴォルフの横に枕を置いて、もぞもぞと一緒のベッドに入って布団をかぶる。
きゅっと腕に抱き着いてきた恋歌に少しぎょっとしたが、そのまま好きなようにさせてやる。
「お前さんと出会ってもう5年も経つんじゃな…」
ぽつりと話し始めたヴォルフの話を聞くために、視線を向けると今までと同じ優しい目を向けられていた。
「…恋歌はわしと出会った事が、運命の出会いだと言ってくれとったが、わしはローたちと出会った事が恋歌の運命の出会いだと思っとる
ここに来たのはあいつらと出会うためのきっかけにすぎん
だから、恋歌の判断は間違っとらん
恋歌にとっては…生きにくい世の中かもしれんが、あやつらと自分のしたい事をやって、世界を見て来い」
昔と変わらず不器用ながらに優しく撫でてくれる手に、ぽろぽろと涙が出てきてしまい、ヴォルフが困ったように笑う。
『わ、たしは…ヴォルフと出会えたこともっ…運命だって信じてるっ…
ヴォルフが…大好きっ…!』
「カッカッカッ!
わしもまだまだ捨てたもんじゃないのぉ…」
縋りつくように泣いている恋歌の背中をぽんぽんと叩いてやり、5年間一緒にいて初めて甘えてきた恋歌が眠るまで、ヴォルフは精一杯甘やかしてくれた。
次の日の朝、出航の日。
天候は珍しく快晴。
部屋に恋歌がいない事をベポが騒いでいたが、ヴォルフと一緒の部屋から出てきて、今度はペンギンとシャチが騒いでいた。
そして最後の6人での朝食。
5年間お世話になった自分の部屋と、ヴォルフの家に挨拶を済ませ、朝食を食べて研究所に向かい、”ポーラータング号”の操作をヴォルフに教えてもらい、プレジャータウンの港に船をつけた。
「うおおおおおんっ!!あのチビどもがこんなにたくましくなり、そして大いなる冒険へ繰り出そうとしている…!
海賊だろうがなんだろうがかまわん!
わたしは今!猛烈に感動しているうううううっ!!」
見送りに来てくれている町の人たちの中で一番泣いているのはラッドだった。
「気を…つけてね
恋歌と友達になれてよかったわ
元気で…!」
「あんた…笑って見送るんじゃなかったの…?」
「うるさい!あんただって泣いてんじゃないの!」
わんわんと恋歌に抱き着いて泣いているアミに、クロエが呆れたような視線を向けているが、その目には涙が溜まっている。
『2人も…元気でね』
「うん、これ…わたしとクロエから…」
ぽん、と渡された掌に乗る大きさの綺麗にラッピングされた小包を開けると、クリスタルの中に星が入っている置物だった。
『(きれい…)』
太陽の光に透かせば、中の光が反射してクリスタルの中の星が輝き、星とは違う綺麗さに嬉しそうに笑った。
『ありがとう
大事にする』
にこっと笑ってお礼を言えば、その姿を見てどどどっ、と他の男たちも贈り物を恋歌に渡しに来た。
「ちょっと!あんたら遠慮しなさいよ!!」
我先にと渡してくる男たちにアミとクロエが怒鳴り、どこからか本屋の店主が現れて、なぜか整備を始めた。
「最後なんだ…
受け取ってあげて」
そう言われると断れなくなった恋歌は、ひとりひとりから贈り物を受け取り、全員にお礼を言った。
「すげー人気」
「そりゃ可愛いもん
ね?ローさん」
「…ああ」
わんわんと泣いている男たちを見て、複雑な気持ちになったが、その気持ちを押し殺して、恋歌が笑っている事にまぁいいかと思う事にした。
「じゃあ僕からはこれ」
恋歌に贈り物をした男たちを全員さばききった本屋の店主は、最後に恋歌に1冊の本を渡した。
「今までありがとう
3年間、お疲れ様でした」
『こちらこそ…ありがとうございました
お世話に、なりました』
「恋歌ちゃん…!!」
声を出して頭を下げると、本屋の店主はぶわっと涙を流した。
「そろそろ行くぞ」
このままではきりがないと思ったローが、恋歌の腕を引いて、船のデッキへ向かう。