出会いから出航まで
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「…大体わかったか?」
全員分のカルテの内容を一通り教えてもらい、わかりやすい説明だったので頷くと、ぽん、と頭を撫でられた。
「また…教えてやる」
優しく笑ってくれるローに、うんと頷く。
「さっきは何の本読んでたんだ?」
頭を撫でた手をまた腰に回し質問をしてきたので、ぱっと本を取り出してローに渡す。
本を受け取り表紙を開くと、魔女の文字が並んでいる。
『魔法の使い方が、書いてる本なの』
「へぇ…
何ができるようになるんだ?」
『これは、星の魔法じゃなくて…』
ゆっくりと話す恋歌の言葉を、急かすことなく耳を傾けてくれる。
久しぶりに流れる昔のようなゆったりとした時間に、お互いこれが大切な時間だったと改めて思い出した。
魔力不足ではないがお腹に回されている手や、触れている腕からは、心地の良い魔力が流れてきている。
「恋歌」
話を続けていると何かに気づいたローが、横にある窓を指さす。
『(わぁ…)』
もうすでに暗くなっている時間帯で、空を指された方に視線を向ければ、広がる久しぶりの満天の星。
外に出たそうな顔を向けられて、しょうがないとため息をついたローは一度病室から出て、どこからか防寒具を持ってきた。
これでもかというぐらい重ね着をさせられた恋歌は、窓から出ようとしているローに腕を引かれる。
「内緒だぞ」
悪戯をしている子どものような笑みを浮かべているローに連れられ、窓から外に出ればひんやりとした風が顔に当たる。
「また今日のはすげぇな」
一緒に空を見上げれば雲ひとつない空に、数え切れないほどの星。
嬉しそうに星を見つめる恋歌にふっと笑うと、がちゃっと窓が開く音が複数聞こえた。
「2人だけずるい!」
「おれたちも誘ってくれよなー」
「ま、この空なら恋歌は出てくるってわかってたけとな」
包帯を巻いた身体ですでに防寒具をきっちり着た3人が窓から出てくる。
「騒ぐからだろ」
誘わなかったのはこの5人が揃えば騒がしくなるとわかっていたから。
だが、その騒がしさはローにとっても、恋歌にとっても煩わしいものではない。
最初は静かにしようと努力したが、結局騒いでしまい、先生にバレて怒られるのはあと数分後の話。
入院から1週間が経ち、恋歌以外の5人は退院し、家に戻った。
診療所にはローがいるので、何の心配もない。
恋歌の腕も動かせるようになり、手話も筆談も元通りできるようになった。
ベッドの上であまりやることがない恋歌は、以前ローに頼まれた魔女の体の仕組みについての本の翻訳をして過ごしていた。
『(わたしって…魔女のこと全然知らないんだな…)』
翻訳をするために改めて内容を見返し、いかに自分が自分の一族のことを知らなかったのかを再認識させられた。
まだまだ学ばなければいけないことがたくさんあるんだと、収納しているまだ読めていない本が大量にあることを思い出す。
『(話を…しないと…)』
ローと、ベポと、ペンギンと、シャチと…ヴォルフと、話したいことがある。
考え事をしてぼーっとしていると、こんこんと扉を叩く音が聞こえた。
その一瞬後に扉が開かれると、白衣を着たローが立っていた。
「包帯替えにきたぞ」
新しい包帯を横に置いて、今巻かれている包帯を外していく。
「傷は…塞がったな…」
元は傷ひとつない恋歌の白く細い腕に、一箇所だけ傷痕がある。
「(傷痕は…残っちまうな…)」
傷痕をなぞる様に触れると、そこだけ感触が違う。
《どうしたの?》
一点を見つめたまま固まったローの目の前で手をひらひらと振ると、はっと意識を取り戻した。
「いや、なんでもねぇ
もう包帯はいいだろう」
両腕を踏まれたときや、投げ飛ばされたときに痛めた他の場所は触診で確認し、ローの見立てでは明後日には退院できるだろうということだった。
「で…お前に話がある」
急に真面目な表情で硬い声を出したため、何を言われるのかと緊張して心臓の音が速くなる。
「おれ…いや、おれたち4人、後数日でこの島を出ていく
海賊に…なる」
全員分のカルテの内容を一通り教えてもらい、わかりやすい説明だったので頷くと、ぽん、と頭を撫でられた。
「また…教えてやる」
優しく笑ってくれるローに、うんと頷く。
「さっきは何の本読んでたんだ?」
頭を撫でた手をまた腰に回し質問をしてきたので、ぱっと本を取り出してローに渡す。
本を受け取り表紙を開くと、魔女の文字が並んでいる。
『魔法の使い方が、書いてる本なの』
「へぇ…
何ができるようになるんだ?」
『これは、星の魔法じゃなくて…』
ゆっくりと話す恋歌の言葉を、急かすことなく耳を傾けてくれる。
久しぶりに流れる昔のようなゆったりとした時間に、お互いこれが大切な時間だったと改めて思い出した。
魔力不足ではないがお腹に回されている手や、触れている腕からは、心地の良い魔力が流れてきている。
「恋歌」
話を続けていると何かに気づいたローが、横にある窓を指さす。
『(わぁ…)』
もうすでに暗くなっている時間帯で、空を指された方に視線を向ければ、広がる久しぶりの満天の星。
外に出たそうな顔を向けられて、しょうがないとため息をついたローは一度病室から出て、どこからか防寒具を持ってきた。
これでもかというぐらい重ね着をさせられた恋歌は、窓から出ようとしているローに腕を引かれる。
「内緒だぞ」
悪戯をしている子どものような笑みを浮かべているローに連れられ、窓から外に出ればひんやりとした風が顔に当たる。
「また今日のはすげぇな」
一緒に空を見上げれば雲ひとつない空に、数え切れないほどの星。
嬉しそうに星を見つめる恋歌にふっと笑うと、がちゃっと窓が開く音が複数聞こえた。
「2人だけずるい!」
「おれたちも誘ってくれよなー」
「ま、この空なら恋歌は出てくるってわかってたけとな」
包帯を巻いた身体ですでに防寒具をきっちり着た3人が窓から出てくる。
「騒ぐからだろ」
誘わなかったのはこの5人が揃えば騒がしくなるとわかっていたから。
だが、その騒がしさはローにとっても、恋歌にとっても煩わしいものではない。
最初は静かにしようと努力したが、結局騒いでしまい、先生にバレて怒られるのはあと数分後の話。
入院から1週間が経ち、恋歌以外の5人は退院し、家に戻った。
診療所にはローがいるので、何の心配もない。
恋歌の腕も動かせるようになり、手話も筆談も元通りできるようになった。
ベッドの上であまりやることがない恋歌は、以前ローに頼まれた魔女の体の仕組みについての本の翻訳をして過ごしていた。
『(わたしって…魔女のこと全然知らないんだな…)』
翻訳をするために改めて内容を見返し、いかに自分が自分の一族のことを知らなかったのかを再認識させられた。
まだまだ学ばなければいけないことがたくさんあるんだと、収納しているまだ読めていない本が大量にあることを思い出す。
『(話を…しないと…)』
ローと、ベポと、ペンギンと、シャチと…ヴォルフと、話したいことがある。
考え事をしてぼーっとしていると、こんこんと扉を叩く音が聞こえた。
その一瞬後に扉が開かれると、白衣を着たローが立っていた。
「包帯替えにきたぞ」
新しい包帯を横に置いて、今巻かれている包帯を外していく。
「傷は…塞がったな…」
元は傷ひとつない恋歌の白く細い腕に、一箇所だけ傷痕がある。
「(傷痕は…残っちまうな…)」
傷痕をなぞる様に触れると、そこだけ感触が違う。
《どうしたの?》
一点を見つめたまま固まったローの目の前で手をひらひらと振ると、はっと意識を取り戻した。
「いや、なんでもねぇ
もう包帯はいいだろう」
両腕を踏まれたときや、投げ飛ばされたときに痛めた他の場所は触診で確認し、ローの見立てでは明後日には退院できるだろうということだった。
「で…お前に話がある」
急に真面目な表情で硬い声を出したため、何を言われるのかと緊張して心臓の音が速くなる。
「おれ…いや、おれたち4人、後数日でこの島を出ていく
海賊に…なる」