出会いから出航まで
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
次の日、朝から順番に呼ばれ全員が先生の診察を受けることになっている。
白衣を着た先生の前に座り、傷を診せるとはぁと重いため息をついた。
「今回は君が一番重傷だった
この町のために…髪まで…ごめんね」
腕の包帯を替えてもらいながら、申し訳なさそうにする先生に気にしないで欲しいと、手と首を振る。
「ありがとう
何か身体に異常があれば僕かローくんに言うんだよ」
先生の言葉に頷いて返すと、良い子だと頭を撫でられる。
「そういえば、面会をしたいって子が来てたよ
面会は難しいとは伝えたんだけど、なかなか引き下がらなくてね」
困ったように笑う先生が、その子が待合室にいると言うので、包帯を全て替えてもらった後、待合室に向かう。
スリッパでぺたぺたと歩きながら待合室に向かうと、恋歌が来たことに気づいて、ばっと立ち上がった。
「恋歌!」
包帯だらけの姿を見て、慌てたように駆け寄ってくるアミは、ぼろぼろと泣きながらぎゅっと抱きしめてきた。
「ちょっと!怪我してんだからね!」
「あ、ごめんなさい…
大丈夫?」
面会に来てくれたのはアミとクロエ。
心配してくれている友人2人に大丈夫という意味を込めて笑って頷くと、なぜかぶわっとアミがさらに泣き出した。
「わたしっ…!あの時のこと…何も覚えてなくて…!
でも…あなたたちが…海賊を倒してくれて…町を、守ってくれたって…!」
「あんたも…ロー先生も…あの白くまたちも…
ぼろぼろになって…助けてくれたって聞いたわ」
何もできなかったことが悔しいのか、覚えていないことを申し訳なく思っているのか、ごめんなさいを繰り返して、クロエもぽろぽろと泣き出したため、どうしていいかわからず恋歌はおろおろとしながら2人の手を握った。
一度深呼吸をして、自分のために、大事な仲間のために泣いてくれる優しい2人に笑いかける。
『心配してくれて、ありがとう
2人が、無事でよかった』
初めて自分たちに向けられた声に、驚きで涙が止まり、アミとクロエは顔を見合わせた。
「恋歌…いま…」
「喋って…」
声が出せることは知っていた。
それでも何か事情があって話せないとわかっており、今までは自分たちに対して、恋歌は一度も声を出したことはなかった。
だが、自分たちに声を出してくれたことが嬉しくて、またどばっと涙が流れてきてしまい、結局看護婦さんに診療所内ではお静かに、と注意されるまでアミとクロエは泣きっぱなしだった。
「あいつら帰ったのか?」
病室に戻れば2人が来ていることを知っていたローが、医学書から顔を上げて話しかけてくる。
それに頷くと、そうかとまた医学書に視線を戻す。
『(わたしも本読もうかな)』
自分のベッドに入り、まだ読み終わっていない魔法の本を取り出して、栞を挟んでいるページを開く。
病室内は静かで、ページをめくる音や、病室の外の足音、窓の外から聞こえてくる人の声が時折聞こえるだけ。
お互いに本を読み始めて数時間が経った頃、こんこんと扉を叩く音が聞こえて先生が入ってくる。
「君らは静かにできてえらいね」
苦笑いをしている先生の様子に他の4人は静かにしていないのだろうと予想できた。
「はい、これ
気になるだろうから渡しておくよ」
「どうも」
バインダーに挟まれたカルテをローに渡し、それを受け取ってぱらぱらとめくる。
「元気なのはなによりだけど、怪我が治るまでは大人しくしてって伝えといてもらえる?」
「…わかった」
自分が伝えるよりローが言った方が効果があるだろうとそう伝えると、ローがふっと笑みをこぼした。
「じゃあ他の子たちも見てくるよ
君らは引き続きこの調子でおとなしくね」
ローにカルテを渡すことが目的だったらしく、先生はローの頭を撫でて立ち去った。
みんなの怪我の具合が気になった恋歌は、ベッドから降りローが見ているカルテを後ろから覗き込む。
だが、医療の知識がない恋歌には何が書いてあるのか全くわからず、首を傾げているとローが少し移動して自分の横をぽんぽんと叩く。
「見方教えてやる」
座れということなのだろうとカルテが見えるように遠慮がちに座ると、お腹に腕を回されてぐっとベッドの上に乗せられた。
「まず、ベポからだ」
『(あ、このまま始めるんだ)』
ぴったりと引っ付いて、お腹の手はそのまま話し始めるローに少しどきどきしたが、真面目に教えてくれているため、雑念を振り払って集中して話を聞くことにした。
白衣を着た先生の前に座り、傷を診せるとはぁと重いため息をついた。
「今回は君が一番重傷だった
この町のために…髪まで…ごめんね」
腕の包帯を替えてもらいながら、申し訳なさそうにする先生に気にしないで欲しいと、手と首を振る。
「ありがとう
何か身体に異常があれば僕かローくんに言うんだよ」
先生の言葉に頷いて返すと、良い子だと頭を撫でられる。
「そういえば、面会をしたいって子が来てたよ
面会は難しいとは伝えたんだけど、なかなか引き下がらなくてね」
困ったように笑う先生が、その子が待合室にいると言うので、包帯を全て替えてもらった後、待合室に向かう。
スリッパでぺたぺたと歩きながら待合室に向かうと、恋歌が来たことに気づいて、ばっと立ち上がった。
「恋歌!」
包帯だらけの姿を見て、慌てたように駆け寄ってくるアミは、ぼろぼろと泣きながらぎゅっと抱きしめてきた。
「ちょっと!怪我してんだからね!」
「あ、ごめんなさい…
大丈夫?」
面会に来てくれたのはアミとクロエ。
心配してくれている友人2人に大丈夫という意味を込めて笑って頷くと、なぜかぶわっとアミがさらに泣き出した。
「わたしっ…!あの時のこと…何も覚えてなくて…!
でも…あなたたちが…海賊を倒してくれて…町を、守ってくれたって…!」
「あんたも…ロー先生も…あの白くまたちも…
ぼろぼろになって…助けてくれたって聞いたわ」
何もできなかったことが悔しいのか、覚えていないことを申し訳なく思っているのか、ごめんなさいを繰り返して、クロエもぽろぽろと泣き出したため、どうしていいかわからず恋歌はおろおろとしながら2人の手を握った。
一度深呼吸をして、自分のために、大事な仲間のために泣いてくれる優しい2人に笑いかける。
『心配してくれて、ありがとう
2人が、無事でよかった』
初めて自分たちに向けられた声に、驚きで涙が止まり、アミとクロエは顔を見合わせた。
「恋歌…いま…」
「喋って…」
声が出せることは知っていた。
それでも何か事情があって話せないとわかっており、今までは自分たちに対して、恋歌は一度も声を出したことはなかった。
だが、自分たちに声を出してくれたことが嬉しくて、またどばっと涙が流れてきてしまい、結局看護婦さんに診療所内ではお静かに、と注意されるまでアミとクロエは泣きっぱなしだった。
「あいつら帰ったのか?」
病室に戻れば2人が来ていることを知っていたローが、医学書から顔を上げて話しかけてくる。
それに頷くと、そうかとまた医学書に視線を戻す。
『(わたしも本読もうかな)』
自分のベッドに入り、まだ読み終わっていない魔法の本を取り出して、栞を挟んでいるページを開く。
病室内は静かで、ページをめくる音や、病室の外の足音、窓の外から聞こえてくる人の声が時折聞こえるだけ。
お互いに本を読み始めて数時間が経った頃、こんこんと扉を叩く音が聞こえて先生が入ってくる。
「君らは静かにできてえらいね」
苦笑いをしている先生の様子に他の4人は静かにしていないのだろうと予想できた。
「はい、これ
気になるだろうから渡しておくよ」
「どうも」
バインダーに挟まれたカルテをローに渡し、それを受け取ってぱらぱらとめくる。
「元気なのはなによりだけど、怪我が治るまでは大人しくしてって伝えといてもらえる?」
「…わかった」
自分が伝えるよりローが言った方が効果があるだろうとそう伝えると、ローがふっと笑みをこぼした。
「じゃあ他の子たちも見てくるよ
君らは引き続きこの調子でおとなしくね」
ローにカルテを渡すことが目的だったらしく、先生はローの頭を撫でて立ち去った。
みんなの怪我の具合が気になった恋歌は、ベッドから降りローが見ているカルテを後ろから覗き込む。
だが、医療の知識がない恋歌には何が書いてあるのか全くわからず、首を傾げているとローが少し移動して自分の横をぽんぽんと叩く。
「見方教えてやる」
座れということなのだろうとカルテが見えるように遠慮がちに座ると、お腹に腕を回されてぐっとベッドの上に乗せられた。
「まず、ベポからだ」
『(あ、このまま始めるんだ)』
ぴったりと引っ付いて、お腹の手はそのまま話し始めるローに少しどきどきしたが、真面目に教えてくれているため、雑念を振り払って集中して話を聞くことにした。