出会いから出航まで
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ローが戻ってきた後恋歌もシャワーを浴び、全員が気持ちを落ち着かせた。
紅茶を淹れ、全員に出すと、冷えた身体を温めるように、紅茶を飲む。
「迷惑かけたな、お前たち」
重い空気の中一番に口を開いたのはヴォルフだった。
「ガラクタ屋、あの連中はなんなんだ?
あんたと、あのバッカってやつはどういう関係なんだ?」
「うむ…そうじゃな
それを話さねばならんな」
ふぅ、と息をはいたヴォルフは少し間を空けた後、重い口を開いた。
「バッカはわしの実の息子じゃ」
町での会話からわかっていたことではあるが、バッカがこの優しいヴォルフの実の息子とは到底思えなかった。
バッカがこの町出身という事は本当らしく、幼いころから騒ぎを起こしては駐在の世話になっていたらしい。
25年ほど前海賊になると言ったバッカに、ヴォルフは反対をした。
しかし海に出ればバッカも変わるのではないかと、希望を持ってしまった。
それは親心であり、ヴォルフ自身もいろんな世界の発明品を見たいという夢の為。
だが、海賊になってもバッカの性格は変わらなかった。
穏やかになるどころか、厳しい海賊の世界でどんどんと歪んでいき、人を傷つけ、物を略奪する事を当然と思うような人間になってしまった。
最終的に”デロデロの実”を食べてしまった事により、バッカの残虐性は取り返しのつかないものになってしまった。
「デロデロの実…やっぱりあいつ、悪魔の実の能力者か」
「そうじゃ
その実を食べたことで、バッカと海賊団は勢力を増し、政府からかけられる懸賞金の額も上がっていった
偉大なる航路に挑もうと思えるほどの力も手にいれた…そしてバッカ自身の歪みもまた、どんどん大きなものになっていった
やつは前にも航海の途中で、スワロー島へ寄り、町を襲い金品を奪った事がある
わしはその時に一味を抜けた
それ以降、こうして一人、発明品を作り続けているというわけじゃ」
「島のはずれに暮らしてるのは、あんたなりの罪滅ぼしなんだな」
ローのその問いかけにヴォルフは答えなかったが、優しいヴォルフを知っている。
優しいヴォルフが何の罪悪感もなく町で暮らすことなど出来るはずもない。
「初めておれたちがプレジャータウンに行ったとき、あんたは言ってたよな
17年前にこの町は滅びかけた事があるって
それがバッカに襲われた時のことなんだろう?」
「…ああ、だがわしは結局何もできなかった
バッカを止めようと一人戦ったが、結局わしは負けた
少なくない数の死人も出た
それからわしは必死に動き回って、町をどうにか復興させたが、死んだ人間が戻ってくるわけでもない
町の連中に感謝される資格も、あいつらと一緒に暮らす権利も、わしにはないんじゃよ」
今まで見せた事もないような弱々しい姿を見て、全員が悔しそうに拳を握りしめる。
恩人が苦しんでいるのに助けることもできないのかと。
「ガラクタ屋」
「…なんじゃ」
「おれは戦うぞ」
『(戦う…)』
ローが何かを決意したかのように、ヴォルフを真っ直ぐに見つめて戦うと告げる。
ヴォルフの為に、優しい恩人の為に出来る事は…それしかない。
「あんたが何を考えてるのか、何をしたいのか、おれにはわからねぇ
けどどっちにしてもおれのやることは決まってる
もう一回町へ行ってバッカと連中を叩き潰す」
「ロー…」
「あんたはどうする
このまま家に引きこもろうと、おれは責めたりしない
だけど、今しかないんじゃねぇのか
今度こそ町の人たちを守って、背負っちまった罪悪感から解放されるチャンスは今だけなんじゃねぇのか
違うかよ、ガラクタ屋」
ヴォルフは長い沈黙で何を考え、何を思ったかわからないが、唐突に立ち上がりローの頭を叩いた。
「ふん!このわしをみくびるなよ!
お前に言われずとも、わしは逃げたりなどせんわい!今だってほんのちょびーっと弱気になっとっただけじゃ
実際その通りじゃよ…わしの罪を清算できるのは、わしだけなんじゃ
今度こそわしは町を守って見せるわい!!」
いつもの調子を取り戻したヴォルフに、リビングにいつもの空気が流れる。
「でも、前はバッカにぼこぼこにされたんだろ?」
「うっ…」
「ずっと海賊やってたんだし、今はもっと強くなってるんじゃないのか?」
「むう…」
「具体的にどうやって勝つのか、考えあるのか?」
「くうっ…」
みんなに正論を突きつけられ、何も考えがなかったことに気づき、顔を真っ赤にして口をぱくぱくさせて固まっている。
「普段おれたちに説教ばかりしてるくせに、肝心なことはなんもわかってないんだな、ガラクタ屋」
「な、なんじゃとっ!!」
「あんたひとりじゃ、あいつらに勝てない
あんただけじゃ、町の人たちは守れない
けど、そんなのは当たり前の話だろ
あんただけでどうにもならないからこそ、おれたちがいるんだろうが」
「む…」
呆れたような笑みを浮かべているローは、ヴォルフの為にできることを精一杯しようとしている。
紅茶を淹れ、全員に出すと、冷えた身体を温めるように、紅茶を飲む。
「迷惑かけたな、お前たち」
重い空気の中一番に口を開いたのはヴォルフだった。
「ガラクタ屋、あの連中はなんなんだ?
あんたと、あのバッカってやつはどういう関係なんだ?」
「うむ…そうじゃな
それを話さねばならんな」
ふぅ、と息をはいたヴォルフは少し間を空けた後、重い口を開いた。
「バッカはわしの実の息子じゃ」
町での会話からわかっていたことではあるが、バッカがこの優しいヴォルフの実の息子とは到底思えなかった。
バッカがこの町出身という事は本当らしく、幼いころから騒ぎを起こしては駐在の世話になっていたらしい。
25年ほど前海賊になると言ったバッカに、ヴォルフは反対をした。
しかし海に出ればバッカも変わるのではないかと、希望を持ってしまった。
それは親心であり、ヴォルフ自身もいろんな世界の発明品を見たいという夢の為。
だが、海賊になってもバッカの性格は変わらなかった。
穏やかになるどころか、厳しい海賊の世界でどんどんと歪んでいき、人を傷つけ、物を略奪する事を当然と思うような人間になってしまった。
最終的に”デロデロの実”を食べてしまった事により、バッカの残虐性は取り返しのつかないものになってしまった。
「デロデロの実…やっぱりあいつ、悪魔の実の能力者か」
「そうじゃ
その実を食べたことで、バッカと海賊団は勢力を増し、政府からかけられる懸賞金の額も上がっていった
偉大なる航路に挑もうと思えるほどの力も手にいれた…そしてバッカ自身の歪みもまた、どんどん大きなものになっていった
やつは前にも航海の途中で、スワロー島へ寄り、町を襲い金品を奪った事がある
わしはその時に一味を抜けた
それ以降、こうして一人、発明品を作り続けているというわけじゃ」
「島のはずれに暮らしてるのは、あんたなりの罪滅ぼしなんだな」
ローのその問いかけにヴォルフは答えなかったが、優しいヴォルフを知っている。
優しいヴォルフが何の罪悪感もなく町で暮らすことなど出来るはずもない。
「初めておれたちがプレジャータウンに行ったとき、あんたは言ってたよな
17年前にこの町は滅びかけた事があるって
それがバッカに襲われた時のことなんだろう?」
「…ああ、だがわしは結局何もできなかった
バッカを止めようと一人戦ったが、結局わしは負けた
少なくない数の死人も出た
それからわしは必死に動き回って、町をどうにか復興させたが、死んだ人間が戻ってくるわけでもない
町の連中に感謝される資格も、あいつらと一緒に暮らす権利も、わしにはないんじゃよ」
今まで見せた事もないような弱々しい姿を見て、全員が悔しそうに拳を握りしめる。
恩人が苦しんでいるのに助けることもできないのかと。
「ガラクタ屋」
「…なんじゃ」
「おれは戦うぞ」
『(戦う…)』
ローが何かを決意したかのように、ヴォルフを真っ直ぐに見つめて戦うと告げる。
ヴォルフの為に、優しい恩人の為に出来る事は…それしかない。
「あんたが何を考えてるのか、何をしたいのか、おれにはわからねぇ
けどどっちにしてもおれのやることは決まってる
もう一回町へ行ってバッカと連中を叩き潰す」
「ロー…」
「あんたはどうする
このまま家に引きこもろうと、おれは責めたりしない
だけど、今しかないんじゃねぇのか
今度こそ町の人たちを守って、背負っちまった罪悪感から解放されるチャンスは今だけなんじゃねぇのか
違うかよ、ガラクタ屋」
ヴォルフは長い沈黙で何を考え、何を思ったかわからないが、唐突に立ち上がりローの頭を叩いた。
「ふん!このわしをみくびるなよ!
お前に言われずとも、わしは逃げたりなどせんわい!今だってほんのちょびーっと弱気になっとっただけじゃ
実際その通りじゃよ…わしの罪を清算できるのは、わしだけなんじゃ
今度こそわしは町を守って見せるわい!!」
いつもの調子を取り戻したヴォルフに、リビングにいつもの空気が流れる。
「でも、前はバッカにぼこぼこにされたんだろ?」
「うっ…」
「ずっと海賊やってたんだし、今はもっと強くなってるんじゃないのか?」
「むう…」
「具体的にどうやって勝つのか、考えあるのか?」
「くうっ…」
みんなに正論を突きつけられ、何も考えがなかったことに気づき、顔を真っ赤にして口をぱくぱくさせて固まっている。
「普段おれたちに説教ばかりしてるくせに、肝心なことはなんもわかってないんだな、ガラクタ屋」
「な、なんじゃとっ!!」
「あんたひとりじゃ、あいつらに勝てない
あんただけじゃ、町の人たちは守れない
けど、そんなのは当たり前の話だろ
あんただけでどうにもならないからこそ、おれたちがいるんだろうが」
「む…」
呆れたような笑みを浮かべているローは、ヴォルフの為にできることを精一杯しようとしている。