出会いから出航まで
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ローが布団にもぐったのを確認して、ベポと恋歌もそれぞれの布団に戻ろうとしたが、恋歌はローに腕を掴まれ立ち上がる事ができなかった。
「お前はここだ」
『え…』
ぐいっと手を引っ張られ、布団の中に引きずり込まれ抱きしめられた。
ベポはそれを気にすることなく自分の布団にもぐっている。
『(うー…今日だけ…今日だけ…)』
赤くなった顔を見られないようにローの胸に顔を埋めた。
「(はぁ…)」
何の抵抗もしない恋歌に、今後の事が心配になった。
一度心を許した相手にはこういう事を許してしまうのかと。
おそらくシャチやペンギンにも同じようにするのだろうと考えると、心がもやっとしたが恋歌に自分だけ特別扱いをしてほしいとは言える立場ではない。
「なぁ、ベポ、恋歌」
全員が目を閉じる前にローが2人に声をかける。
「お前ら、今、やりたいことってあるか?」
「うーん…あ!今度みんなが休みの日に魚釣りに行きたいな!
釣った魚をその場で焼いて食べるんだ」
うんうん、と自分の腕の中で頷いている恋歌と、その光景を想像して涎を垂らしているベポにそうじゃないと首を横に振る。
「おれも焼き魚は食いたいけど、そういう話じゃなくて…なんつーか、本気でやってみたいことはあるのかって、そういう意味だよ」
「んー…」
ベポが顎に手を当てて唸っているので、恋歌も本気でやってみたいことを考える。
『(わたしが本気でやりたいこと…)』
「やっぱり兄ちゃんに会いたいな
今、みんなで暮らしててすごく楽しいけど、たまに兄ちゃんの事思い出すんだ
元気にしてるのかなとか、酷い目に遭わされてないかなとか
おれ、ここに来てからずっと航海術の勉強は続けてた
ヘタクソだけど、海図も描けるようになった
だから、いつかはちゃんと探しに行きたいって、そう思ってるよ」
「そうか
恋歌は?」
『わたしは……わかんない…』
恋歌は少し考えた後それだけを答えて、ぎゅっとローに抱き着いた。
村が滅んだ原因になったマシューはみんなのおかげで倒す事ができ、今の生活になんの不満もない。
本気でやりたいことを聞かれても、思いつくことは何もなかった。
「妙な事訊いて悪かったな
寝ようぜ」
「うん、おやすみ」
抱き着いてきた恋歌の頭を撫でてやり、2人から貰った白クマのぬいぐるみと恋歌を一緒に抱え込んで目を閉じた。
翌朝、あれから一度も目を覚ます事はなかったローは、最近の不調が嘘のようにすっきりと目覚める事ができた。
腕の中にある柔らかい感触に、そういえば恋歌と一緒に寝たんだったと思い出す。
『ん…』
もぞもぞと動いたせいか布団の中に冷気が入り、恋歌が温もりを求めて抱き着く力を強めてきた。
昔より大きくなったはずだが、身長差が広がったため今の方が小さく感じる。
「(魔力は…もとに戻ってそうだな)」
昨日無理やりにでも一緒に寝ようとしたのは、自分の為に魔法を使った恋歌の魔力を回復させてやろうと思ったから。
どうやって町に行ったのかはわからないが、恋歌の体調が万全でないとこの家の全員が心配する。
まだすやすやと眠っている恋歌の腕をそっと離し、代わりに白クマのぬいぐるみを抱かせてやり、ローはベッドから抜け出した。
「(心配かけたな…ありがとう)」
軽く頭を撫でてやり、ベポも起こさないようにそっと部屋から出て行った。
「お前はここだ」
『え…』
ぐいっと手を引っ張られ、布団の中に引きずり込まれ抱きしめられた。
ベポはそれを気にすることなく自分の布団にもぐっている。
『(うー…今日だけ…今日だけ…)』
赤くなった顔を見られないようにローの胸に顔を埋めた。
「(はぁ…)」
何の抵抗もしない恋歌に、今後の事が心配になった。
一度心を許した相手にはこういう事を許してしまうのかと。
おそらくシャチやペンギンにも同じようにするのだろうと考えると、心がもやっとしたが恋歌に自分だけ特別扱いをしてほしいとは言える立場ではない。
「なぁ、ベポ、恋歌」
全員が目を閉じる前にローが2人に声をかける。
「お前ら、今、やりたいことってあるか?」
「うーん…あ!今度みんなが休みの日に魚釣りに行きたいな!
釣った魚をその場で焼いて食べるんだ」
うんうん、と自分の腕の中で頷いている恋歌と、その光景を想像して涎を垂らしているベポにそうじゃないと首を横に振る。
「おれも焼き魚は食いたいけど、そういう話じゃなくて…なんつーか、本気でやってみたいことはあるのかって、そういう意味だよ」
「んー…」
ベポが顎に手を当てて唸っているので、恋歌も本気でやってみたいことを考える。
『(わたしが本気でやりたいこと…)』
「やっぱり兄ちゃんに会いたいな
今、みんなで暮らしててすごく楽しいけど、たまに兄ちゃんの事思い出すんだ
元気にしてるのかなとか、酷い目に遭わされてないかなとか
おれ、ここに来てからずっと航海術の勉強は続けてた
ヘタクソだけど、海図も描けるようになった
だから、いつかはちゃんと探しに行きたいって、そう思ってるよ」
「そうか
恋歌は?」
『わたしは……わかんない…』
恋歌は少し考えた後それだけを答えて、ぎゅっとローに抱き着いた。
村が滅んだ原因になったマシューはみんなのおかげで倒す事ができ、今の生活になんの不満もない。
本気でやりたいことを聞かれても、思いつくことは何もなかった。
「妙な事訊いて悪かったな
寝ようぜ」
「うん、おやすみ」
抱き着いてきた恋歌の頭を撫でてやり、2人から貰った白クマのぬいぐるみと恋歌を一緒に抱え込んで目を閉じた。
翌朝、あれから一度も目を覚ます事はなかったローは、最近の不調が嘘のようにすっきりと目覚める事ができた。
腕の中にある柔らかい感触に、そういえば恋歌と一緒に寝たんだったと思い出す。
『ん…』
もぞもぞと動いたせいか布団の中に冷気が入り、恋歌が温もりを求めて抱き着く力を強めてきた。
昔より大きくなったはずだが、身長差が広がったため今の方が小さく感じる。
「(魔力は…もとに戻ってそうだな)」
昨日無理やりにでも一緒に寝ようとしたのは、自分の為に魔法を使った恋歌の魔力を回復させてやろうと思ったから。
どうやって町に行ったのかはわからないが、恋歌の体調が万全でないとこの家の全員が心配する。
まだすやすやと眠っている恋歌の腕をそっと離し、代わりに白クマのぬいぐるみを抱かせてやり、ローはベッドから抜け出した。
「(心配かけたな…ありがとう)」
軽く頭を撫でてやり、ベポも起こさないようにそっと部屋から出て行った。