出会いから出航まで
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そして夜。
ローが最近見ている夢は、自分の身に起こった過去の地獄。
今日もしばらく魘された後、汗をびっしょりかいたローが飛び起きた。
「ローさん…」
飛び起きた気配を感じたベポが息を切らしているローに心配そうに声をかけると、息を整えて深く息をはいた。
「悪ぃな、起こしちまったか」
「いいよ、飲みもの、とってくるな」
「ああ、助かる」
「じゃあ恋歌、ローさんのこと頼むな」
「(………ん?)」
飲み物をとりに行く前に言った言葉にすぐに反応できなかったローは、ベポが出て行ったあとに、ベポの布団の横にもう一つ布団がある事に気づいた。
『大丈夫…?』
「恋歌…」
ベッドに座り汗を拭いてくれる恋歌に、一瞬なぜか泣きそうになったが、それをぐっと堪えて、これが現実だと確かめるように汗を拭いてくれている手を掴んだ。
その手が少し震えていることに気づいた恋歌は、身体を動かしてローを正面から抱きしめた。
『大丈夫、ローには、わたしたちがついてるよ』
ぽんぽん、と軽く背中を叩くと、ぎゅっと痛いぐらいの力で抱きしめ返してくる。
しばらく抱きしめられていると、ベポが飲み物を持って帰ってきた。
「ローさん、これ恋歌が用意してくれたお茶なんだ
美味しいから飲んでみて」
縋るように恋歌を抱き締めているローに、心配そうにお茶を差し出すと、ゆっくり恋歌から離れたローが、ベポからカップを受け取った。
「うまい…」
ほっとしたようにお茶を飲むローに、ベポと恋歌はよかった笑う。
『あとこれ、はい』
「……」
恋歌が魔法の空間から取り出したのは白いクマのぬいぐるみ。
にこにこと笑いながら差し出されたそれを反射的に受け取ったローは、少しベポに似ているぬいぐるみにふっと笑みをこぼした。
「これ、おれと恋歌が町で見つけたんだ!
安眠グッズらしくて手触りがいいんだ!
ローさんこういうの好きだろ?」
『これで…きっと眠れるよ』
「…ああ、たしかに」
もふもふとした手触りはたしかにロー好みではある。
普通男にぬいぐるみを渡そうと思わないだろうが、この2人はローの為に喜んでもらえるものを考えて、これを買ってきたのだろう。
「ありがとな」
「へへっ」
心配をかけてしまったとぬいぐるみの手触りを確かめながら、話せない事を申し訳なく思った。
ベポも恋歌も話したいと思った時でいいと言ってくれ、シャチもペンギンもきっとそう言ってくれるという確信がある。
「じゃあおれ、これ片付けてくるよ」
ローが飲み終わったカップを持ってまた部屋から出て行ったベポを見送り、ふと視線をあげると恋歌と視線が合った。
「恋歌、無理させたな」
簡単な言葉しか声に出さない恋歌が、自分を慰めるために言葉を選んで話してくれている事には気づいていた。
恋歌はそれに首を振ると、ローの手を握りしめこん、と額を合わせる。
『無理なんか、してない
ローのこと、大好きだから…わたしにできることは、なんでもするよ』
「……」
恋歌はこの家の全員の事が好きで、家族のように思っているが故の言葉という事はわかっているが、”大好き”という言葉を、恋歌の綺麗な声で言われて、自然に身体が動いていた。
『あ…え…』
「なんでも…してくれんだろ?」
唇が触れる直前で止まったが、顔を真っ赤にしてぎゅっと目を瞑った恋歌に、ゆっくり口づけた。
「(ん?)」
がちがちに固まっている恋歌は可愛らしいと思うが、キスをしたときの感覚にローの眉間にしわが寄る。
「恋歌…お前、今日魔法使ったな?」
『え…』
目に魔方陣が出ているときほどではないが、魔力が吸われる時の身体がぞわっとする感覚が僅かにあった。
今日使ったのはぬいぐるみを出した時の魔法だけではないはずだと、至近距離で問い詰めるとわたわたとして言いにくそうにもごもごとしている。
「あれ?何してるの?」
そのタイミングでベポが帰ってきたが、微妙な空気に首を傾げている。
「ベポ、今日恋歌は魔法を使ったのか」
「え?うん
おれが今日仕事だったから、そのぬいぐるみとか買ってくれたの恋歌だしね
町に行くのに魔法使うって言ってた」
『(ベポ…)』
「それは…何の魔法だ」
「箒に乗っただけかな
恋歌は自転車に乗れないから」
悪気なく素直に事実を告げるベポに恋歌は苦笑いしかでない。
「へぇ…」
『…も、もう寝よう?』
何か言いたそうなローが言葉を発する前にローの肩を押すと、ローは大人しく布団にもぐりこんだ。
ローが最近見ている夢は、自分の身に起こった過去の地獄。
今日もしばらく魘された後、汗をびっしょりかいたローが飛び起きた。
「ローさん…」
飛び起きた気配を感じたベポが息を切らしているローに心配そうに声をかけると、息を整えて深く息をはいた。
「悪ぃな、起こしちまったか」
「いいよ、飲みもの、とってくるな」
「ああ、助かる」
「じゃあ恋歌、ローさんのこと頼むな」
「(………ん?)」
飲み物をとりに行く前に言った言葉にすぐに反応できなかったローは、ベポが出て行ったあとに、ベポの布団の横にもう一つ布団がある事に気づいた。
『大丈夫…?』
「恋歌…」
ベッドに座り汗を拭いてくれる恋歌に、一瞬なぜか泣きそうになったが、それをぐっと堪えて、これが現実だと確かめるように汗を拭いてくれている手を掴んだ。
その手が少し震えていることに気づいた恋歌は、身体を動かしてローを正面から抱きしめた。
『大丈夫、ローには、わたしたちがついてるよ』
ぽんぽん、と軽く背中を叩くと、ぎゅっと痛いぐらいの力で抱きしめ返してくる。
しばらく抱きしめられていると、ベポが飲み物を持って帰ってきた。
「ローさん、これ恋歌が用意してくれたお茶なんだ
美味しいから飲んでみて」
縋るように恋歌を抱き締めているローに、心配そうにお茶を差し出すと、ゆっくり恋歌から離れたローが、ベポからカップを受け取った。
「うまい…」
ほっとしたようにお茶を飲むローに、ベポと恋歌はよかった笑う。
『あとこれ、はい』
「……」
恋歌が魔法の空間から取り出したのは白いクマのぬいぐるみ。
にこにこと笑いながら差し出されたそれを反射的に受け取ったローは、少しベポに似ているぬいぐるみにふっと笑みをこぼした。
「これ、おれと恋歌が町で見つけたんだ!
安眠グッズらしくて手触りがいいんだ!
ローさんこういうの好きだろ?」
『これで…きっと眠れるよ』
「…ああ、たしかに」
もふもふとした手触りはたしかにロー好みではある。
普通男にぬいぐるみを渡そうと思わないだろうが、この2人はローの為に喜んでもらえるものを考えて、これを買ってきたのだろう。
「ありがとな」
「へへっ」
心配をかけてしまったとぬいぐるみの手触りを確かめながら、話せない事を申し訳なく思った。
ベポも恋歌も話したいと思った時でいいと言ってくれ、シャチもペンギンもきっとそう言ってくれるという確信がある。
「じゃあおれ、これ片付けてくるよ」
ローが飲み終わったカップを持ってまた部屋から出て行ったベポを見送り、ふと視線をあげると恋歌と視線が合った。
「恋歌、無理させたな」
簡単な言葉しか声に出さない恋歌が、自分を慰めるために言葉を選んで話してくれている事には気づいていた。
恋歌はそれに首を振ると、ローの手を握りしめこん、と額を合わせる。
『無理なんか、してない
ローのこと、大好きだから…わたしにできることは、なんでもするよ』
「……」
恋歌はこの家の全員の事が好きで、家族のように思っているが故の言葉という事はわかっているが、”大好き”という言葉を、恋歌の綺麗な声で言われて、自然に身体が動いていた。
『あ…え…』
「なんでも…してくれんだろ?」
唇が触れる直前で止まったが、顔を真っ赤にしてぎゅっと目を瞑った恋歌に、ゆっくり口づけた。
「(ん?)」
がちがちに固まっている恋歌は可愛らしいと思うが、キスをしたときの感覚にローの眉間にしわが寄る。
「恋歌…お前、今日魔法使ったな?」
『え…』
目に魔方陣が出ているときほどではないが、魔力が吸われる時の身体がぞわっとする感覚が僅かにあった。
今日使ったのはぬいぐるみを出した時の魔法だけではないはずだと、至近距離で問い詰めるとわたわたとして言いにくそうにもごもごとしている。
「あれ?何してるの?」
そのタイミングでベポが帰ってきたが、微妙な空気に首を傾げている。
「ベポ、今日恋歌は魔法を使ったのか」
「え?うん
おれが今日仕事だったから、そのぬいぐるみとか買ってくれたの恋歌だしね
町に行くのに魔法使うって言ってた」
『(ベポ…)』
「それは…何の魔法だ」
「箒に乗っただけかな
恋歌は自転車に乗れないから」
悪気なく素直に事実を告げるベポに恋歌は苦笑いしかでない。
「へぇ…」
『…も、もう寝よう?』
何か言いたそうなローが言葉を発する前にローの肩を押すと、ローは大人しく布団にもぐりこんだ。