出会いから出航まで
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昼食は4人で作ったため豪華なものになり、いつも通りの賑やかな食事になった。
仕事も全員が休みなので、ヴォルフが研究所に出かけて行った後は、先ほどまでのしんみりした時間が嘘のように、楽しい時間を過ごした。
その中で変わったことが一つだけある。
恋歌が、簡単な言葉であれば、声に出してくれるようになったこと。
ほんのわずかではあるが、その変化が嬉しかった。
『じゃあみんな、おやすみ』
「「「おやすみ!」」」
夕食を食べ終え、ヴォルフが先に部屋に戻り、恋歌も自分の部屋に戻って行った。
「はぁー…やっぱあの声いいよなぁ…」
「ああ…
そりゃ星も言うこと聞くってもんだ…」
声に魔力を乗せていなくても、恋歌の声は星を魅了すると言われるに相応しい声。
その声が気に入った2人は、頬を染めてだらしのない顔をしている。
「おれ…恋歌を守れるように強くなるよ
恋歌が普通に喋って、誰かに狙われたとしても、ちゃんと守れるぐらい」
「ベポ…」
星の魔女と知らなくても、あの声とあの容姿では今後も狙われる可能性がある。
これ以上辛い思いをさせないためにも、ベポは出会えてよかったと、そう言ってくれた恋歌を守りたいと思った。
真剣な顔をしているベポの頭を、ペンギンとシャチが撫でてやる。
「そうだな…」
「一緒に強くなろうぜ!」
「うん!」
3人が強くなると燃えている姿を見て、ふっ、と笑ったローは、椅子から立ち上がって階段を上っていく。
「ローさん…?」
「お前ら先に寝とけ」
ひらひらと手を振って向かっていく先は恋歌の部屋。
「なにしにいくんだろうな」
「まさか…!夜這い…!?」
「なに!?」
「夜這いってなんだ?」
「「……」」
ローに限ってそんなことはないと信じているが故の冗談だったのだが、純粋なベポにため息をついて、ペンギンとシャチは椅子から立ち上がった。
こんこん、とノックをすれば、部屋の中から足音が聞こえ、扉が開かれる。
《どうしたの?》
「話がある」
いつもならもう寝る時間なのにとは思ったが、どうぞと部屋に通し、並んでベッドに腰掛ける。
「おれは…あいつらみてぇに泣いてやることはできねぇ」
『?』
「おれの役割はお前を泣かせてやることだ」
不思議そうな顔をしている恋歌の腕を引いて、軽く抱きしめてやる。
「これはおれの予想だがな
お前…これから一人で泣くつもりだっただろ」
その言葉にぴくりと反応した恋歌に、ローは小さくため息をついて頭をぽん、と撫でてやる。
「あれだけの過去を思い出して…話して…辛くねぇわけがねぇだろ…
今までよく頑張ったな」
話をしている間、恋歌は一度も泣かなかった。
けれどそれは、付き合いの一番長いローからすれば、不自然なことだった。
『だっ、て…!』
体重をローに預けて、服の裾を握りしめながら、涙声で話始める。
『また…またわたしのせいで…!なにかあったら…』
魔力がコントロールできず、感情の起伏で暴走してしまったため、自分の感情を押し殺していたのだろうとわかっていた。
「大丈夫だ
おれたちがついてる」
『うん…!』
なんの根拠もない大丈夫という言葉だったが、恋歌にとってはこれ以上ないほど、安心できる言葉だった。
「声を出して泣いたっていい、笑ったっていい
そんなのは当然の自由だ」
『うんっ…!』
綺麗な声をしているというだけで、話すという普通のことも制限される恋歌は、声を出して泣くことも笑うこともしてこなかった。
しかし、ぽたぽたと服を濡らしてくる涙に、恋歌がちゃんと声を出せるような存在になりたいと思った。
「おれたちってさ、恋歌になにをしてあげられるのかな…」
恋歌の部屋の扉の前で3人で座り込み、中から聞こえてくる小さな泣き声に、自分たちがしてあげられることはあるだろうかとベポがぽつりと呟いた。
「…傍に、いてやることだな」
「それだけ?」
「ああ、家族を失った恋歌が、おれたちのことを家族って言ってくれたんだ
また恋歌が家族を失う事のないように、傍にいてやろう」
「…うん」
せめて自分たちの前では笑って、泣いて、幸せであってほしいと、今回はローにかっこいい所を譲ってやるかと、バレないように静かに部屋の前から立ち去った。
仕事も全員が休みなので、ヴォルフが研究所に出かけて行った後は、先ほどまでのしんみりした時間が嘘のように、楽しい時間を過ごした。
その中で変わったことが一つだけある。
恋歌が、簡単な言葉であれば、声に出してくれるようになったこと。
ほんのわずかではあるが、その変化が嬉しかった。
『じゃあみんな、おやすみ』
「「「おやすみ!」」」
夕食を食べ終え、ヴォルフが先に部屋に戻り、恋歌も自分の部屋に戻って行った。
「はぁー…やっぱあの声いいよなぁ…」
「ああ…
そりゃ星も言うこと聞くってもんだ…」
声に魔力を乗せていなくても、恋歌の声は星を魅了すると言われるに相応しい声。
その声が気に入った2人は、頬を染めてだらしのない顔をしている。
「おれ…恋歌を守れるように強くなるよ
恋歌が普通に喋って、誰かに狙われたとしても、ちゃんと守れるぐらい」
「ベポ…」
星の魔女と知らなくても、あの声とあの容姿では今後も狙われる可能性がある。
これ以上辛い思いをさせないためにも、ベポは出会えてよかったと、そう言ってくれた恋歌を守りたいと思った。
真剣な顔をしているベポの頭を、ペンギンとシャチが撫でてやる。
「そうだな…」
「一緒に強くなろうぜ!」
「うん!」
3人が強くなると燃えている姿を見て、ふっ、と笑ったローは、椅子から立ち上がって階段を上っていく。
「ローさん…?」
「お前ら先に寝とけ」
ひらひらと手を振って向かっていく先は恋歌の部屋。
「なにしにいくんだろうな」
「まさか…!夜這い…!?」
「なに!?」
「夜這いってなんだ?」
「「……」」
ローに限ってそんなことはないと信じているが故の冗談だったのだが、純粋なベポにため息をついて、ペンギンとシャチは椅子から立ち上がった。
こんこん、とノックをすれば、部屋の中から足音が聞こえ、扉が開かれる。
《どうしたの?》
「話がある」
いつもならもう寝る時間なのにとは思ったが、どうぞと部屋に通し、並んでベッドに腰掛ける。
「おれは…あいつらみてぇに泣いてやることはできねぇ」
『?』
「おれの役割はお前を泣かせてやることだ」
不思議そうな顔をしている恋歌の腕を引いて、軽く抱きしめてやる。
「これはおれの予想だがな
お前…これから一人で泣くつもりだっただろ」
その言葉にぴくりと反応した恋歌に、ローは小さくため息をついて頭をぽん、と撫でてやる。
「あれだけの過去を思い出して…話して…辛くねぇわけがねぇだろ…
今までよく頑張ったな」
話をしている間、恋歌は一度も泣かなかった。
けれどそれは、付き合いの一番長いローからすれば、不自然なことだった。
『だっ、て…!』
体重をローに預けて、服の裾を握りしめながら、涙声で話始める。
『また…またわたしのせいで…!なにかあったら…』
魔力がコントロールできず、感情の起伏で暴走してしまったため、自分の感情を押し殺していたのだろうとわかっていた。
「大丈夫だ
おれたちがついてる」
『うん…!』
なんの根拠もない大丈夫という言葉だったが、恋歌にとってはこれ以上ないほど、安心できる言葉だった。
「声を出して泣いたっていい、笑ったっていい
そんなのは当然の自由だ」
『うんっ…!』
綺麗な声をしているというだけで、話すという普通のことも制限される恋歌は、声を出して泣くことも笑うこともしてこなかった。
しかし、ぽたぽたと服を濡らしてくる涙に、恋歌がちゃんと声を出せるような存在になりたいと思った。
「おれたちってさ、恋歌になにをしてあげられるのかな…」
恋歌の部屋の扉の前で3人で座り込み、中から聞こえてくる小さな泣き声に、自分たちがしてあげられることはあるだろうかとベポがぽつりと呟いた。
「…傍に、いてやることだな」
「それだけ?」
「ああ、家族を失った恋歌が、おれたちのことを家族って言ってくれたんだ
また恋歌が家族を失う事のないように、傍にいてやろう」
「…うん」
せめて自分たちの前では笑って、泣いて、幸せであってほしいと、今回はローにかっこいい所を譲ってやるかと、バレないように静かに部屋の前から立ち去った。