出会いから出航まで
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
3人が泣き止み、恋歌から離れると、そういえばとローが話を切り出した。
「最後の…木箱はなんだったんだ?」
「そういや…」
魔力を使い切った後も、意識を保ち、必死に木箱に向かっていた。
《ああ…あれはね…みんなが、あそこにいたの》
「みんな?」
「もしかして…!ただいまってのは…!!」
恋歌が木箱の中で言った言葉の意味を理解したローは、椅子から立ち上がりどこにぶつけていいかわからない怒りで拳を握りしめる。
「ど、どういうことだ?」
《みんなが拐われた後…あの木箱に入れて運ばれたみたいなんだよ》
「え…」
やっぱりな、と自分を落ち着かせてローが椅子に座り直す。
《わたし…というか星の魔女は目が特殊でね
魔法で書いた字を見ることができるの》
自分の目を指さしたあと、掌に魔法陣を展開させて、きっかけとなった本を取り出す。
《これね、見た目は魔女の文字で書かれた本なんだけど…わたしの目には別の文字が見えるの》
机の上に本を置いて中を見せるが、文字も読めない上に、それ以外の文字も見えない。
《この本には…日記と手紙が書かれてるの
捕まってから…売られるまで…
それと…これを書いたのはわたしのお母さん》
「まじ、かよ…」
《同じ星の魔女であるお母さんが、魔法を使って…捕まらなかったわたしにあてて書いたもの
お母さんも星の魔女
わたしが生きていることは、星を見てわかってたんだと思う
だから、この本と…あの木箱に…文字を書いた》
「そこには…なんて…」
《わたしの無事を祈る内容と…これからの幸せを願ってくれた言葉ばかりだった…
木箱の中には、万が一捕まったときのために、逃げ方とか、魔法の使い方、星への頼み事の仕方とか…
全部…わたしにお母さんが教えたかったことみたい…》
あのまま村で生活していれば、それが普通のことで、日常だっただろう。
叶えられなかった願いを、娘の無事を祈って、一冊の本に残した。
それが娘の手に渡ることを信じて。
《わたしの目で見えるように、あの木箱の中にはみんなの意識が残ってた…
だから…ただいまって言ったの》
「もうおれっ…!身体中の水分抜けたって!!」
「おれもだよ!」
「やざじいお母さんなんだなっ!」
また泣き出した3人に、また笑った恋歌は、広げた本をぱたんと閉じて、空間の中にしまった。
《もうお昼だね
わたし何か作ってくるよ》
がたん、と立ち上がった恋歌は、袖をまくりながらキッチンへ向かって、リビングからいなくなった。
「…わしがお前たちにとって恋歌がどんな存在か、恋歌とどうありたいか聞いた理由、もうわかるな?」
3人の鼻のすする音が止み、全員が顔を上げる。
「ああ…」
「そうか…なら、もうなにも言うことはない」
椅子に深く腰掛けたヴォルフは、腕を組んで目を閉じた。
「お、おれ!恋歌を手伝ってくる!」
涙を無理やり止めて、ベポがばたばたとキッチンに走っていく。
ペンギンもシャチもそれに続いてリビングからいなくなった。
「…気持ちは整理できたか?」
「いや…」
「若いうちは悩め
あの子は…お前たちのことを家族のように思っとる
その期待を裏切ってやるな」
「わかってる」
「最後の…木箱はなんだったんだ?」
「そういや…」
魔力を使い切った後も、意識を保ち、必死に木箱に向かっていた。
《ああ…あれはね…みんなが、あそこにいたの》
「みんな?」
「もしかして…!ただいまってのは…!!」
恋歌が木箱の中で言った言葉の意味を理解したローは、椅子から立ち上がりどこにぶつけていいかわからない怒りで拳を握りしめる。
「ど、どういうことだ?」
《みんなが拐われた後…あの木箱に入れて運ばれたみたいなんだよ》
「え…」
やっぱりな、と自分を落ち着かせてローが椅子に座り直す。
《わたし…というか星の魔女は目が特殊でね
魔法で書いた字を見ることができるの》
自分の目を指さしたあと、掌に魔法陣を展開させて、きっかけとなった本を取り出す。
《これね、見た目は魔女の文字で書かれた本なんだけど…わたしの目には別の文字が見えるの》
机の上に本を置いて中を見せるが、文字も読めない上に、それ以外の文字も見えない。
《この本には…日記と手紙が書かれてるの
捕まってから…売られるまで…
それと…これを書いたのはわたしのお母さん》
「まじ、かよ…」
《同じ星の魔女であるお母さんが、魔法を使って…捕まらなかったわたしにあてて書いたもの
お母さんも星の魔女
わたしが生きていることは、星を見てわかってたんだと思う
だから、この本と…あの木箱に…文字を書いた》
「そこには…なんて…」
《わたしの無事を祈る内容と…これからの幸せを願ってくれた言葉ばかりだった…
木箱の中には、万が一捕まったときのために、逃げ方とか、魔法の使い方、星への頼み事の仕方とか…
全部…わたしにお母さんが教えたかったことみたい…》
あのまま村で生活していれば、それが普通のことで、日常だっただろう。
叶えられなかった願いを、娘の無事を祈って、一冊の本に残した。
それが娘の手に渡ることを信じて。
《わたしの目で見えるように、あの木箱の中にはみんなの意識が残ってた…
だから…ただいまって言ったの》
「もうおれっ…!身体中の水分抜けたって!!」
「おれもだよ!」
「やざじいお母さんなんだなっ!」
また泣き出した3人に、また笑った恋歌は、広げた本をぱたんと閉じて、空間の中にしまった。
《もうお昼だね
わたし何か作ってくるよ》
がたん、と立ち上がった恋歌は、袖をまくりながらキッチンへ向かって、リビングからいなくなった。
「…わしがお前たちにとって恋歌がどんな存在か、恋歌とどうありたいか聞いた理由、もうわかるな?」
3人の鼻のすする音が止み、全員が顔を上げる。
「ああ…」
「そうか…なら、もうなにも言うことはない」
椅子に深く腰掛けたヴォルフは、腕を組んで目を閉じた。
「お、おれ!恋歌を手伝ってくる!」
涙を無理やり止めて、ベポがばたばたとキッチンに走っていく。
ペンギンもシャチもそれに続いてリビングからいなくなった。
「…気持ちは整理できたか?」
「いや…」
「若いうちは悩め
あの子は…お前たちのことを家族のように思っとる
その期待を裏切ってやるな」
「わかってる」