出会いから出航まで
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ローと一緒に住むようになってから今まで恋歌が一人でやっていた仕事を分担するようになったので手の空く時間が増えた。
「また魔法の本読んでんのか?」
年の近いローとはヴォルフの手伝いを通じて仲良くなり、ヴォルフに言われている仕事が終われば部屋で二人で本を読むようになった。
恋歌がいつも読んでいるのは魔法の使い方が載っている本で、ローはいつも医学書。
いつものように脇に本を抱えたローが、先に椅子を座って本を読んでいた恋歌の正面に座った。
「なぁ…」
ローも本を読み始めるのかと思っていたが、少し沈黙があったあと、気まずそうに恋歌に話しかけた。
恋歌の視線が本から自分に向いた事を確認し、持っていた本を恋歌に見えるように差し出した。
『(これは…)』
「一緒に覚えねぇか?」
ローが差し出したのは手話の本。
理由はわからないが話す事ができない恋歌と、ノート以外でも意思疎通ができないかと考えた結果だった。
昔両親と診療所で勉強をしていた時に両親が手話をしていたのを見た事があった。
だからこれで恋歌と話がしたいと思った。
ぱらぱらと手話の本を捲っている恋歌からどんな返答がくるのかとどきどきしながら待っていると、本を持ったまま椅子から降りてすとんと隣に座った。
右の小指をたてて顎のあたりをちょんちょんと触った。
それがどういう意味か分からず首を傾げると、嬉しそうに笑った恋歌が本のあるページを見せてきた。
「…おう」
恋歌がローにした手話は≪いいよ≫という意味。
その返答にローも嬉しそうに笑いぽんぽんと恋歌の頭を撫でた。
横に並んで本を見ながら楽しそうに手話を覚勉強している様子を見て、ヴォルフが少し拗ねていたので二人して顔を見合わせて笑うのはこの日の夕飯の時の話。
「今日も行くのか?」
≪うん≫
雪が降る事の多いスワロー島では分厚い雲が晴れる事が少ないが、寒い気候の為空気が澄んでおり、雲が晴れれば空には満天の星空が広がる。
そういう星空が見える日はきまって恋歌は夕飯の後に外に出て空を眺めている。
ヴォルフがその日課を知った日に恋歌用にと椅子を家の横に置いてくれた。
背もたれ付の長椅子なので、3人程であれば座れる大きさ。
ローも最初は恋歌を見送っていたが、最近は着いてきてくれている。
寒くないように服をしっかり着込んで、毛布やヴォルフが開発した火の要らないランプを持って外に出た。
「おお…相変わらずすげぇな…」
扉を出て空を見上げればいつもは見られない満天の星空。
「ほら、足元気をつけろよ」
白い息を吐きながらすでに星空に視線を奪われている恋歌の手を引いて、椅子に座らせた。
星占いが得意ということもあり、恋歌は星座や天体の話が好きだった。
魔法以外の本を読むのであれば天体関係の本が多い。
ローも恋歌が星の話をしてくるので、星を見る事が好きになった。
「今日の空はどうだ?」
≪明日は雪だね
それにヴォルフは…怪我するかもって…≫
「どうせ実験が失敗して爆発でもするんだろ」
≪そうかも…≫
「他には?」
≪ローもわたしも明日はいつも通りの日常だね≫
「そうか、それはなによりだな」
恋歌の占いのおかげで命を助けてもらったローは、恋歌がこの星空を見て占いをしているのを見るのが好きになった。
どこをどう見れば自分やヴォルフの明日の事がわかるのか、一度尋ねてみたが魔力を操作できないとできないらしく、魔女ではないローには不可能だった。
「俺も魔法使ってみてぇな」
≪魔力は魔女とか関係なくみんなが持ってるモノだけど、それを使えるのは魔女だけ
でもローは魔女のわたしより魔力高いから羨ましいんだけどね≫
「使えなきゃ意味がねぇ」
ローには意外と少年の心があるという事は最初にじぶんが魔女だと言った時、そして魔法を見せたときの食いつき方でわかっていた。
本当に残念そうな顔をしているローにとって慰めになるかどうかはわからないが、空から視線を逸らしてローの手を握った。
「なんだ?」
『(でも…ローの魔力は落ち着く…
強いけど…怖くない)』
何故急に手を握られたのかわからないが、振り払う理由もないのでそのまま。
ローが恋歌の事を気にするのは、見た目も性格も似ていないが妹と重ねてしまうから。
一緒にやってやれなかったこと、これからできたことすべて助けてくれた恩返しとして、妹の代わりにしてやりたいと思っている。
「寒いなら中に入るか?」
≪うん、今日も付き合ってくれてありがとう≫
「また魔法の本読んでんのか?」
年の近いローとはヴォルフの手伝いを通じて仲良くなり、ヴォルフに言われている仕事が終われば部屋で二人で本を読むようになった。
恋歌がいつも読んでいるのは魔法の使い方が載っている本で、ローはいつも医学書。
いつものように脇に本を抱えたローが、先に椅子を座って本を読んでいた恋歌の正面に座った。
「なぁ…」
ローも本を読み始めるのかと思っていたが、少し沈黙があったあと、気まずそうに恋歌に話しかけた。
恋歌の視線が本から自分に向いた事を確認し、持っていた本を恋歌に見えるように差し出した。
『(これは…)』
「一緒に覚えねぇか?」
ローが差し出したのは手話の本。
理由はわからないが話す事ができない恋歌と、ノート以外でも意思疎通ができないかと考えた結果だった。
昔両親と診療所で勉強をしていた時に両親が手話をしていたのを見た事があった。
だからこれで恋歌と話がしたいと思った。
ぱらぱらと手話の本を捲っている恋歌からどんな返答がくるのかとどきどきしながら待っていると、本を持ったまま椅子から降りてすとんと隣に座った。
右の小指をたてて顎のあたりをちょんちょんと触った。
それがどういう意味か分からず首を傾げると、嬉しそうに笑った恋歌が本のあるページを見せてきた。
「…おう」
恋歌がローにした手話は≪いいよ≫という意味。
その返答にローも嬉しそうに笑いぽんぽんと恋歌の頭を撫でた。
横に並んで本を見ながら楽しそうに手話を覚勉強している様子を見て、ヴォルフが少し拗ねていたので二人して顔を見合わせて笑うのはこの日の夕飯の時の話。
「今日も行くのか?」
≪うん≫
雪が降る事の多いスワロー島では分厚い雲が晴れる事が少ないが、寒い気候の為空気が澄んでおり、雲が晴れれば空には満天の星空が広がる。
そういう星空が見える日はきまって恋歌は夕飯の後に外に出て空を眺めている。
ヴォルフがその日課を知った日に恋歌用にと椅子を家の横に置いてくれた。
背もたれ付の長椅子なので、3人程であれば座れる大きさ。
ローも最初は恋歌を見送っていたが、最近は着いてきてくれている。
寒くないように服をしっかり着込んで、毛布やヴォルフが開発した火の要らないランプを持って外に出た。
「おお…相変わらずすげぇな…」
扉を出て空を見上げればいつもは見られない満天の星空。
「ほら、足元気をつけろよ」
白い息を吐きながらすでに星空に視線を奪われている恋歌の手を引いて、椅子に座らせた。
星占いが得意ということもあり、恋歌は星座や天体の話が好きだった。
魔法以外の本を読むのであれば天体関係の本が多い。
ローも恋歌が星の話をしてくるので、星を見る事が好きになった。
「今日の空はどうだ?」
≪明日は雪だね
それにヴォルフは…怪我するかもって…≫
「どうせ実験が失敗して爆発でもするんだろ」
≪そうかも…≫
「他には?」
≪ローもわたしも明日はいつも通りの日常だね≫
「そうか、それはなによりだな」
恋歌の占いのおかげで命を助けてもらったローは、恋歌がこの星空を見て占いをしているのを見るのが好きになった。
どこをどう見れば自分やヴォルフの明日の事がわかるのか、一度尋ねてみたが魔力を操作できないとできないらしく、魔女ではないローには不可能だった。
「俺も魔法使ってみてぇな」
≪魔力は魔女とか関係なくみんなが持ってるモノだけど、それを使えるのは魔女だけ
でもローは魔女のわたしより魔力高いから羨ましいんだけどね≫
「使えなきゃ意味がねぇ」
ローには意外と少年の心があるという事は最初にじぶんが魔女だと言った時、そして魔法を見せたときの食いつき方でわかっていた。
本当に残念そうな顔をしているローにとって慰めになるかどうかはわからないが、空から視線を逸らしてローの手を握った。
「なんだ?」
『(でも…ローの魔力は落ち着く…
強いけど…怖くない)』
何故急に手を握られたのかわからないが、振り払う理由もないのでそのまま。
ローが恋歌の事を気にするのは、見た目も性格も似ていないが妹と重ねてしまうから。
一緒にやってやれなかったこと、これからできたことすべて助けてくれた恩返しとして、妹の代わりにしてやりたいと思っている。
「寒いなら中に入るか?」
≪うん、今日も付き合ってくれてありがとう≫