出会いから出航まで
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ダイエットは1日どころか、一食で終了し、アミとクロエにみんなに言われたことを報告すると、アミもそのままの恋歌が可愛いと言ってくれ、クロエは面白くなさそうにふてくされていた。
《そういえば今日はなんだか賑やかだね》
「そう言われるとそうね」
「大きな商船が今朝来たらしいわ
今までこの島には来たことがないらしいから、いろいろ珍しいものがあるみたいよ」
祭りの時までとはいかないが、賑やかな雰囲気になり、商人たちが珍しい品物を広げている。
昼休憩の時間は限られているため、各自見たい物を物色するために解散することにした。
恋歌は見たことない本がないかを探しに、本が積み上がってる場所に一人で向かう。
『(あれ?これって…)』
本を手に取っては興味がないものは置いて、というのを繰り返していると一冊の本を手に取って中をぺらぺらと捲る。
『(どこからこんなもの…)』
「お嬢さん、そいつが読めるのかい?」
その本に意識を持っていかれていたため、商人が近くにいることに気付かず、急に話しかけられて驚いたように振り向くと、商人も驚いたような顔をしている。
「ごめんよ、驚かせるつもりはなかったんだ」
謝ってくる商人に大丈夫という意味を込めて首を振る。
「ところで、話の続きだけどその本の文字読めるのかい?」
商人の言葉に一瞬返答しようか悩んだが、しばらく間をあけて頷きを返す。
「そっかそっか!!
いやー、その本ね、読める人がいなくて全然売れなくて困ってたんだ!」
《この本、どこで見つけたんですか?》
嬉しそうに笑う商人に、ノートに字を書いて見せると、作ったような笑顔を浮かべる。
「ちょっと忘れちゃったなー
いろいろ旅してるとこういう物は知らない間にあるんだよね」
《そうですか》
「お嬢さん話せないんだね
いろいろ話しかけてごめんよ
お詫びと言ってはなんだけど、他に読める人もいないし、その本もらってくれないか?」
筆談をする恋歌に、謝罪を口にするが、笑顔を貼り付けたまま本を押し付けてくる。
タダでもらうということに抵抗はあったが、思うところがあり、そのまま本は受け取ることにした。
その後は本のことが気になり、早く中を確認したかったが、そういう日に限って時間が過ぎるのが遅く感じるもの。
仕事を終え、ローと一緒に家に戻ると、ばたばたと急いで自分の部屋に戻っていった。
「恋歌のやつどうしたんだ?」
「…さぁな」
『(やっぱり…これ…これ…)』
部屋に戻った恋歌は、本の内容を確認して、ぽたぽたと溢れてきた涙を拭うことをせず、最後まで見終わり、本を胸に抱えて声を殺して泣き続きる。
『(こんな、ことって…)』
背け続けてきた過去と、現実を知り、幸せな時間を過ごしてきた事を心の中で謝罪した。
『(わたしが…しなくちゃいけないことなんだ)』
泣くのは後だと涙を拭い、もう一度本をしっかりと読もうとした時、こんこんと扉の叩く音が聞こえた。
「恋歌、夕飯できたぞ」
夕飯ができたと呼びにきてくれたローに、泣いたとバレる顔は見せられないと、ノートを出して文字を書く。
「?」
扉の隙間からちぎったノートを出すと、それを読んだローは眉間にシワを寄せた。
「体調でも悪いのか?」
紙には《食欲ないから夕飯は食べられない、せっかく作ってくれたのにごめんね》と、書かれていた。
どこか体調が悪いのなら診てやろうと思い言ったが、それには二度扉を叩く音が帰ってきた。
それが自転車に乗る時と同じ意味の合図だとわかった。
「…そうか
体調が悪くねぇならいい
夕飯は残しておいてやる」
こん、と一度扉を叩く音が返ってくる。
「……なにかあれば言えよ」
ローのその言葉には少し間があいてから、一度扉を叩く音が返ってきた。
とんとん、とローの離れていく足音を聞いて、頭を扉に預けて俯く。
『(ありがとう…
わたしは…幸せだ)』
また溢れてきそうになる涙を上を向いて止め、改めて本を読むためにベッドに腰掛けて開いた。
《そういえば今日はなんだか賑やかだね》
「そう言われるとそうね」
「大きな商船が今朝来たらしいわ
今までこの島には来たことがないらしいから、いろいろ珍しいものがあるみたいよ」
祭りの時までとはいかないが、賑やかな雰囲気になり、商人たちが珍しい品物を広げている。
昼休憩の時間は限られているため、各自見たい物を物色するために解散することにした。
恋歌は見たことない本がないかを探しに、本が積み上がってる場所に一人で向かう。
『(あれ?これって…)』
本を手に取っては興味がないものは置いて、というのを繰り返していると一冊の本を手に取って中をぺらぺらと捲る。
『(どこからこんなもの…)』
「お嬢さん、そいつが読めるのかい?」
その本に意識を持っていかれていたため、商人が近くにいることに気付かず、急に話しかけられて驚いたように振り向くと、商人も驚いたような顔をしている。
「ごめんよ、驚かせるつもりはなかったんだ」
謝ってくる商人に大丈夫という意味を込めて首を振る。
「ところで、話の続きだけどその本の文字読めるのかい?」
商人の言葉に一瞬返答しようか悩んだが、しばらく間をあけて頷きを返す。
「そっかそっか!!
いやー、その本ね、読める人がいなくて全然売れなくて困ってたんだ!」
《この本、どこで見つけたんですか?》
嬉しそうに笑う商人に、ノートに字を書いて見せると、作ったような笑顔を浮かべる。
「ちょっと忘れちゃったなー
いろいろ旅してるとこういう物は知らない間にあるんだよね」
《そうですか》
「お嬢さん話せないんだね
いろいろ話しかけてごめんよ
お詫びと言ってはなんだけど、他に読める人もいないし、その本もらってくれないか?」
筆談をする恋歌に、謝罪を口にするが、笑顔を貼り付けたまま本を押し付けてくる。
タダでもらうということに抵抗はあったが、思うところがあり、そのまま本は受け取ることにした。
その後は本のことが気になり、早く中を確認したかったが、そういう日に限って時間が過ぎるのが遅く感じるもの。
仕事を終え、ローと一緒に家に戻ると、ばたばたと急いで自分の部屋に戻っていった。
「恋歌のやつどうしたんだ?」
「…さぁな」
『(やっぱり…これ…これ…)』
部屋に戻った恋歌は、本の内容を確認して、ぽたぽたと溢れてきた涙を拭うことをせず、最後まで見終わり、本を胸に抱えて声を殺して泣き続きる。
『(こんな、ことって…)』
背け続けてきた過去と、現実を知り、幸せな時間を過ごしてきた事を心の中で謝罪した。
『(わたしが…しなくちゃいけないことなんだ)』
泣くのは後だと涙を拭い、もう一度本をしっかりと読もうとした時、こんこんと扉の叩く音が聞こえた。
「恋歌、夕飯できたぞ」
夕飯ができたと呼びにきてくれたローに、泣いたとバレる顔は見せられないと、ノートを出して文字を書く。
「?」
扉の隙間からちぎったノートを出すと、それを読んだローは眉間にシワを寄せた。
「体調でも悪いのか?」
紙には《食欲ないから夕飯は食べられない、せっかく作ってくれたのにごめんね》と、書かれていた。
どこか体調が悪いのなら診てやろうと思い言ったが、それには二度扉を叩く音が帰ってきた。
それが自転車に乗る時と同じ意味の合図だとわかった。
「…そうか
体調が悪くねぇならいい
夕飯は残しておいてやる」
こん、と一度扉を叩く音が返ってくる。
「……なにかあれば言えよ」
ローのその言葉には少し間があいてから、一度扉を叩く音が返ってきた。
とんとん、とローの離れていく足音を聞いて、頭を扉に預けて俯く。
『(ありがとう…
わたしは…幸せだ)』
また溢れてきそうになる涙を上を向いて止め、改めて本を読むためにベッドに腰掛けて開いた。