出会いから出航まで
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魔法を発動してからも変わらない日常を過ごし、数日が経った頃、占いにお客が来た。
≪こんにちは≫
「ふんっ」
占いをしに来たのはクロエ。
今日はいつものゴスロリではなく、普通の町娘風の恰好。
あのコンテスト以来一度も見かけなかったのだが、結局今年のコンテストはハプニングもあったので優勝者は無しとなったと聞いた。
そのことについて文句を言われるのかと思ったが、今日は出された紅茶を飲みながら、何かを言いたそうにもごもごとしている。
「あんた…あんなことできたんだね」
≪うん、わたしは魔女なの≫
あんなこと、というのが魔法の事をさしているのはすぐわかった。
それについてこの町の人間には隠すつもりはないので、魔女であるという事を打ち明けた。
クロエは魔女という言葉に少し驚いた様子だったが、何かを納得したようにため息をつく。
「じゃああの占いも…本物の魔女がした占いって事か…」
≪星占いが得意なの
そんなに的外れな結果にはならないと思う≫
「はぁーあ、じゃああたしとロー先生の恋愛の相性が最悪ってのは…本当って事か…」
机に突っ伏すようにしてぐちぐちと文句を言いだすクロエに、どう答えていいかわからない恋歌は紅茶のおかわりを淹れる。
「もういいわ、あたしになびかない男を追いかけるより、あたしと相性のいい男を探すから
ほら、早くあたしの運命の相手占いなさいよ!」
急に無茶ぶりをしてくるクロエに、そんなピンポイントな相手を占うことは無理だと告げると、使えないと不機嫌になった。
「じゃあ…あたしとあんたの相性占ってよ」
それならと前と同じようにホロスコープで占いを始める。
星たちがぐるぐるとまわった後、ぴたっと止まり、恋歌が結果を書きだしていく。
『(あれ?)』
結果を書き終り、クロエに渡すと、じっと紙を見て内容を確認すると、はぁとため息をついた。
「ロー先生よりあんたとの相性の方がいいなんてね」
≪わたしもびっくり≫
意外な事に恋歌とクロエの相性は悪いどころかいい方だった。
お互いに驚いているが、ふと視線が合い、同じタイミングで笑い合った。
「あはは、まぁいいわ
もうロー先生は諦めてあげる」
がたん、と席を立ったクロエは結果の書いた紙をポケットに突っ込む。
「またね」
雰囲気の変わったクロエは、占いの料金を置いてあっさりと帰って行った。
『(ど、どういうこと?)』
クロエの行動の意味がわからない恋歌は、首を傾げたままクロエを見送る。
コンテストの決勝の時、恋歌に駆け寄り、必死に声をかけるローの姿を見て、勝ち目はないと確信した。
「(あたしの時も確かに心配してくれるけど…それは患者を“診る目”
あの子を“見る目”は違うものね)」
負けるとわかりきっている勝負を続ける程愚かではないと、クロエが身を引いた事は恋歌もローも、誰も知らない事。
「大丈夫だった?」
一度出禁にした少女が現れたとき、通していいかどうか迷ったが、何もしないと自ら宣言したので、しぶしぶ通したのだ。
クロエが帰った後に店主が心配して顔をのぞかせた。
取り敢えず紅茶まみれになっていないことにほっとし、ホロスコープをくるくると回しながら見つめている恋歌に話しかける。
「どうかした?」
≪いえ、占いって…不思議だなって…≫
どれだけ相手の事が好きでも占いで相性がいいとは限らない。
それと逆に相性が悪いと思っていた相手でも占いで相性がいい場合もある。
何度占いをしようと結果は占ってみるまでわからないもの。
「そうだね
でも今日はいい結果だったんだろう?」
機嫌の良さそうな恋歌に、そう聞けば笑顔で肯定した。
それからクロエとも町で会ってもいがみ合う事はなくなった。
「なんであんたが一緒にお昼食べてんのよ」
「別にいいじゃない」
ベンチに座ってアミとお昼ご飯を食べていると、どこからか現れたクロエが当たり前のような顔で、一緒にお昼ご飯を食べている。
アミは威嚇をしているが、クロエは全く気にしていない様子。
「あんた…いつもそんなの飲んでるの?」
『??』
クロエはふと恋歌が飲んでいるものを見て、うげっと顔をしかめた。
恋歌が飲んでいるのはミルクとホワイトチョコレートがミックスされた温かい飲み物。
甘ったるい匂いがするので、かなりカロリーの高い飲み物だとわかる。
≪美味しいんですよ≫
「いやまぁそういうの好きな人がいるから売れてるのはわかるんだけど…
そんなんだから太るのよ」
『(え)』
にやりと意地の悪い笑みを浮かべたクロエに、胸をつんつんとつつかれる。
「こんな脂肪の塊つけちゃって…
体重測ってる?」
≪測ってない…≫
「ロー先生に聞いてみなさい
きっと痩せろって言われると思うわ」
『(わたし…太ってるの…?)』
ショックを受けたような顔をしている恋歌は、にまにまと笑っているクロエの表情に気づいていない。
「(かわいそうに…
ほんとはそれ、男にとっては価値のあるものなんだけどね)」
クロエにいじめられている恋歌を、おもしろそうという理由だけで助けるつもりはなく、ショックを受けている恋歌の横顔を可愛いと思いながら見ている。
恋歌はアミとクロエの胸を見て、たしかに自分の胸は二人より大きいというのは明らかにわかる。
『(太ってる…)』
ク「まぁロー先生は優しいからあんたが太ってるなんて言わないだろうけど、あたしは同じ女として忠告してあげるわ」
≪ありがとう
ダイエットしてみる≫
気合いを入れたように立ち上がる恋歌は、年上の二人がにやつく顔を見ることなく、本屋への仕事へ戻って行った。
「あんた貧乳だからって、恋歌の胸妬んでるの?」
「あんたも貧乳でしょうが!!
このあたしを選ばなかったんだから、ロー先生を困らせるぐらいのいじわるしたっていいじゃない」
「面白そうだから別に止めないけどね」
昼休憩後、本屋に戻った恋歌は、 掃除や品出しの合間をぬってダイエットの本を読んでいる。
「え、恋歌ちゃん痩せたいの…?」
恋歌が見ている本を覗きこむと、ダイエットについての本だった。
どう見てもダイエットなど必要なさそうな恋歌に、どうかしたのかと心配の視線を向ける。
≪ある人に太ってるって言われて…≫
「はぁ?恋歌ちゃんが?」
そんな事誰が言ったのかと怒りを覚えたが、真剣そうな恋歌にまずは話を聞こうと話を続ける。
「女の子はよくわからないなぁ…
無理はしちゃだめだからね?」
いつの時代のどの世界の女の子も永遠の課題であるダイエット。
男側からすれば無用であるとは思うが、本人がやる気になっている為、店主も取り敢えずは見守る事にした。
≪こんにちは≫
「ふんっ」
占いをしに来たのはクロエ。
今日はいつものゴスロリではなく、普通の町娘風の恰好。
あのコンテスト以来一度も見かけなかったのだが、結局今年のコンテストはハプニングもあったので優勝者は無しとなったと聞いた。
そのことについて文句を言われるのかと思ったが、今日は出された紅茶を飲みながら、何かを言いたそうにもごもごとしている。
「あんた…あんなことできたんだね」
≪うん、わたしは魔女なの≫
あんなこと、というのが魔法の事をさしているのはすぐわかった。
それについてこの町の人間には隠すつもりはないので、魔女であるという事を打ち明けた。
クロエは魔女という言葉に少し驚いた様子だったが、何かを納得したようにため息をつく。
「じゃああの占いも…本物の魔女がした占いって事か…」
≪星占いが得意なの
そんなに的外れな結果にはならないと思う≫
「はぁーあ、じゃああたしとロー先生の恋愛の相性が最悪ってのは…本当って事か…」
机に突っ伏すようにしてぐちぐちと文句を言いだすクロエに、どう答えていいかわからない恋歌は紅茶のおかわりを淹れる。
「もういいわ、あたしになびかない男を追いかけるより、あたしと相性のいい男を探すから
ほら、早くあたしの運命の相手占いなさいよ!」
急に無茶ぶりをしてくるクロエに、そんなピンポイントな相手を占うことは無理だと告げると、使えないと不機嫌になった。
「じゃあ…あたしとあんたの相性占ってよ」
それならと前と同じようにホロスコープで占いを始める。
星たちがぐるぐるとまわった後、ぴたっと止まり、恋歌が結果を書きだしていく。
『(あれ?)』
結果を書き終り、クロエに渡すと、じっと紙を見て内容を確認すると、はぁとため息をついた。
「ロー先生よりあんたとの相性の方がいいなんてね」
≪わたしもびっくり≫
意外な事に恋歌とクロエの相性は悪いどころかいい方だった。
お互いに驚いているが、ふと視線が合い、同じタイミングで笑い合った。
「あはは、まぁいいわ
もうロー先生は諦めてあげる」
がたん、と席を立ったクロエは結果の書いた紙をポケットに突っ込む。
「またね」
雰囲気の変わったクロエは、占いの料金を置いてあっさりと帰って行った。
『(ど、どういうこと?)』
クロエの行動の意味がわからない恋歌は、首を傾げたままクロエを見送る。
コンテストの決勝の時、恋歌に駆け寄り、必死に声をかけるローの姿を見て、勝ち目はないと確信した。
「(あたしの時も確かに心配してくれるけど…それは患者を“診る目”
あの子を“見る目”は違うものね)」
負けるとわかりきっている勝負を続ける程愚かではないと、クロエが身を引いた事は恋歌もローも、誰も知らない事。
「大丈夫だった?」
一度出禁にした少女が現れたとき、通していいかどうか迷ったが、何もしないと自ら宣言したので、しぶしぶ通したのだ。
クロエが帰った後に店主が心配して顔をのぞかせた。
取り敢えず紅茶まみれになっていないことにほっとし、ホロスコープをくるくると回しながら見つめている恋歌に話しかける。
「どうかした?」
≪いえ、占いって…不思議だなって…≫
どれだけ相手の事が好きでも占いで相性がいいとは限らない。
それと逆に相性が悪いと思っていた相手でも占いで相性がいい場合もある。
何度占いをしようと結果は占ってみるまでわからないもの。
「そうだね
でも今日はいい結果だったんだろう?」
機嫌の良さそうな恋歌に、そう聞けば笑顔で肯定した。
それからクロエとも町で会ってもいがみ合う事はなくなった。
「なんであんたが一緒にお昼食べてんのよ」
「別にいいじゃない」
ベンチに座ってアミとお昼ご飯を食べていると、どこからか現れたクロエが当たり前のような顔で、一緒にお昼ご飯を食べている。
アミは威嚇をしているが、クロエは全く気にしていない様子。
「あんた…いつもそんなの飲んでるの?」
『??』
クロエはふと恋歌が飲んでいるものを見て、うげっと顔をしかめた。
恋歌が飲んでいるのはミルクとホワイトチョコレートがミックスされた温かい飲み物。
甘ったるい匂いがするので、かなりカロリーの高い飲み物だとわかる。
≪美味しいんですよ≫
「いやまぁそういうの好きな人がいるから売れてるのはわかるんだけど…
そんなんだから太るのよ」
『(え)』
にやりと意地の悪い笑みを浮かべたクロエに、胸をつんつんとつつかれる。
「こんな脂肪の塊つけちゃって…
体重測ってる?」
≪測ってない…≫
「ロー先生に聞いてみなさい
きっと痩せろって言われると思うわ」
『(わたし…太ってるの…?)』
ショックを受けたような顔をしている恋歌は、にまにまと笑っているクロエの表情に気づいていない。
「(かわいそうに…
ほんとはそれ、男にとっては価値のあるものなんだけどね)」
クロエにいじめられている恋歌を、おもしろそうという理由だけで助けるつもりはなく、ショックを受けている恋歌の横顔を可愛いと思いながら見ている。
恋歌はアミとクロエの胸を見て、たしかに自分の胸は二人より大きいというのは明らかにわかる。
『(太ってる…)』
ク「まぁロー先生は優しいからあんたが太ってるなんて言わないだろうけど、あたしは同じ女として忠告してあげるわ」
≪ありがとう
ダイエットしてみる≫
気合いを入れたように立ち上がる恋歌は、年上の二人がにやつく顔を見ることなく、本屋への仕事へ戻って行った。
「あんた貧乳だからって、恋歌の胸妬んでるの?」
「あんたも貧乳でしょうが!!
このあたしを選ばなかったんだから、ロー先生を困らせるぐらいのいじわるしたっていいじゃない」
「面白そうだから別に止めないけどね」
昼休憩後、本屋に戻った恋歌は、 掃除や品出しの合間をぬってダイエットの本を読んでいる。
「え、恋歌ちゃん痩せたいの…?」
恋歌が見ている本を覗きこむと、ダイエットについての本だった。
どう見てもダイエットなど必要なさそうな恋歌に、どうかしたのかと心配の視線を向ける。
≪ある人に太ってるって言われて…≫
「はぁ?恋歌ちゃんが?」
そんな事誰が言ったのかと怒りを覚えたが、真剣そうな恋歌にまずは話を聞こうと話を続ける。
「女の子はよくわからないなぁ…
無理はしちゃだめだからね?」
いつの時代のどの世界の女の子も永遠の課題であるダイエット。
男側からすれば無用であるとは思うが、本人がやる気になっている為、店主も取り敢えずは見守る事にした。