出会いから出航まで
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今度は恋歌からということになり、恋歌とベポに注目が集まる。
ましてや恋歌の声は誰も聞いた事がないという事もあり、会場も静まり返っている。
「恋歌…無理しなくていいんだぞ?」
胸元をおさえて俯いたままの恋歌に、声をかけるが返事は返ってこない。
『(胸が熱い…魔力が…出てるのか…
こんな状態で声出したら…)』
「(様子がおかしい…?)」
苦しそうに息をしている恋歌を見て、いつもと様子が違う事に気づいてローが立ち上がる。
「ロー先生、どこ行くの!」
「恋歌の様子がおかしい
診てくる」
医者としても心配なので恋歌の元に行こうとするが、クロエが腕を掴んで行かせてくれない。
『(でも…声出さなきゃ…)』
「恋歌…!」
胸元をおさえたまま膝をついた恋歌に、ベポが慌てて駆け寄り背中に手を当てる。
『(だめだだめだだめだ…)』
この胸の熱さが自分の魔力がコントロールできていない事が原因で起こっている事はわかっている。
だが、声を出さなければいけないというプレッシャーに、心が拒否をしているのもわかっていた。
「おれは医者だ
邪魔をするな」
「ちょっ…」
ベポも助けを求めるように視線を向けてきたので、クロエの手を振り払い恋歌に駆け寄った。
「ローさん…どうしよう…」
「恋歌!おれたちが誰かわかるか?」
呼吸が乱れている恋歌に、声をかけると頷きが返ってきた。
「(胸元…というよりここの位置は魔女の紋章がある場所だな
魔力関係か…?)」
恋歌が押えている位置に紋章があるという事に気づいたが、病気や疾患でない以上、どうやって処置をしていいかわからない。
「(魔法を使ってねぇから魔力がなくなったってことはないはずだが…)」
ベポにもたれかかるようにして苦しそうに息をし、汗をかき始めた恋歌の頬に手を当てると、ひんやりとした感触が伝わってきた。
「ベポ、恋歌の体温が下がってる
温かくして…診療所に運べ」
「あ、アイアイ!!」
いきなりのハプニングに会場はどよめいているが、ローが冷静に診断を下して、ベポに診療所へ運ばせようとした。
「恋歌?なに?」
立ち上がったベポはすぐに診療所に走ろうとしたが、恋歌に服を掴まれ、首を振る恋歌に気づいて動く事が出来ない。
「恋歌、後からおれも行く
だから診療所にいろ」
『(違う…違うの…)』
ローが優しく気遣うように言ってくれるが、恋歌は首を横に振り続ける。
がたがたと震える手の所為で、ローにもベポにも何も伝える事が出来ない。
「ま、なんでか知らないけど、あいつがあんな状態なら棄権ってことでいいのかしら?」
おろおろしている司会にクロエがそう伝えると、恋歌の状態を見て、続行不可能だと判断した。
「そうですね
あの状態では続ける事は難しいでしょう」
「ふふ、じゃあ優勝はあたしで決定ってことね」
嬉しそうに笑うクロエは、恋歌の傍にいるローの腕に絡みつき、恋歌から引き離した。
「おい、おれは恋歌を…「診療所にはあの白クマが連れて行ってくれるんでしょう?」」
ちっと舌打ちをして、泣きそうになっている恋歌が心配ではあるが、今はこのコンテストを終わらせて早く診療所で診てやるべきだと、一度恋歌から離れる事にした。
「ベポ、頼んだぞ」
『(だめ…)』
離れていくローの背中を見て、恋歌はぐっと唇を噛み、ベポの胸を押した。
「え、お、降りるの?」
ぐいぐいと胸を押されたベポは、抱えている恋歌が降ろしてほしいと言っているように見えたので、ゆっくりと足から地面に降ろしてやる。
会場は恋歌の事が気になってはいるが、司会がコンテストの優勝者を告げようとしている為、そちらの方に注目が集まっている。
『(わたしは…)』
「えー…では今回は恋歌、ベポペアは棄権ということで、優勝者は…」
『ロー…』
「え?
え!?」
ぽたぽたと恋歌から涙が零れ落ち、小さな声でローの名前を呼んだ。
その直後恋歌の足元に魔方陣が浮かび上がる。
ベポは恋歌が声を出した事にも、魔法を使おうとしていることにも驚いてどうすればいいのかと慌てている。
だが、ローは気づいていないようで、恋歌の方を見る事はない。
『ロー…!』
「…!」
聞いた事のある綺麗な声に名前を呼ばれた事に気づいて、慌てたように振り向けば恋歌が涙を流しながら、魔方陣を展開している。
「なに、それ…」
『ロー!どこにも…行かないで…!
わたしたちは…わたしは…
ローと一緒に…いたいの!!』
「恋歌…」
ベ「恋歌!落ち着いて!」
ベポが恋歌を落ち着かせようとするが、魔方陣が光りはじめ、何かが発動しようとしている。
「ベポ!!恋歌の口を塞げ!!」
「「「!!」」」
どこからか現れたヴォルフが、汗を流しながらこちらに走ってきている。
どういう意味なのかはわからないが、ベポは言われた通りに後ろから抑え込むように手で恋歌の口を塞いだ。
「まだおさまらんか…!」
ベポが口を塞いでも魔方陣は消えず、魔方陣から風が吹き始めた。
それを見てローが恋歌の元へ走り出す。
「恋歌!!
おれがわかるか!?」
ベポの手に口元を覆われている為、顔が半分見えない。
「どこにも行かねぇから!
おれはここにいる…!」
だらんと垂れた恋歌の手を握れば、それがローだとわかったのか、徐々に魔方陣から風が消えていき、最後には魔方陣も消えた。
「恋歌!!」
そして魔方陣が消えた瞬間、恋歌はローの手を握ったまま意識を手放した。
ましてや恋歌の声は誰も聞いた事がないという事もあり、会場も静まり返っている。
「恋歌…無理しなくていいんだぞ?」
胸元をおさえて俯いたままの恋歌に、声をかけるが返事は返ってこない。
『(胸が熱い…魔力が…出てるのか…
こんな状態で声出したら…)』
「(様子がおかしい…?)」
苦しそうに息をしている恋歌を見て、いつもと様子が違う事に気づいてローが立ち上がる。
「ロー先生、どこ行くの!」
「恋歌の様子がおかしい
診てくる」
医者としても心配なので恋歌の元に行こうとするが、クロエが腕を掴んで行かせてくれない。
『(でも…声出さなきゃ…)』
「恋歌…!」
胸元をおさえたまま膝をついた恋歌に、ベポが慌てて駆け寄り背中に手を当てる。
『(だめだだめだだめだ…)』
この胸の熱さが自分の魔力がコントロールできていない事が原因で起こっている事はわかっている。
だが、声を出さなければいけないというプレッシャーに、心が拒否をしているのもわかっていた。
「おれは医者だ
邪魔をするな」
「ちょっ…」
ベポも助けを求めるように視線を向けてきたので、クロエの手を振り払い恋歌に駆け寄った。
「ローさん…どうしよう…」
「恋歌!おれたちが誰かわかるか?」
呼吸が乱れている恋歌に、声をかけると頷きが返ってきた。
「(胸元…というよりここの位置は魔女の紋章がある場所だな
魔力関係か…?)」
恋歌が押えている位置に紋章があるという事に気づいたが、病気や疾患でない以上、どうやって処置をしていいかわからない。
「(魔法を使ってねぇから魔力がなくなったってことはないはずだが…)」
ベポにもたれかかるようにして苦しそうに息をし、汗をかき始めた恋歌の頬に手を当てると、ひんやりとした感触が伝わってきた。
「ベポ、恋歌の体温が下がってる
温かくして…診療所に運べ」
「あ、アイアイ!!」
いきなりのハプニングに会場はどよめいているが、ローが冷静に診断を下して、ベポに診療所へ運ばせようとした。
「恋歌?なに?」
立ち上がったベポはすぐに診療所に走ろうとしたが、恋歌に服を掴まれ、首を振る恋歌に気づいて動く事が出来ない。
「恋歌、後からおれも行く
だから診療所にいろ」
『(違う…違うの…)』
ローが優しく気遣うように言ってくれるが、恋歌は首を横に振り続ける。
がたがたと震える手の所為で、ローにもベポにも何も伝える事が出来ない。
「ま、なんでか知らないけど、あいつがあんな状態なら棄権ってことでいいのかしら?」
おろおろしている司会にクロエがそう伝えると、恋歌の状態を見て、続行不可能だと判断した。
「そうですね
あの状態では続ける事は難しいでしょう」
「ふふ、じゃあ優勝はあたしで決定ってことね」
嬉しそうに笑うクロエは、恋歌の傍にいるローの腕に絡みつき、恋歌から引き離した。
「おい、おれは恋歌を…「診療所にはあの白クマが連れて行ってくれるんでしょう?」」
ちっと舌打ちをして、泣きそうになっている恋歌が心配ではあるが、今はこのコンテストを終わらせて早く診療所で診てやるべきだと、一度恋歌から離れる事にした。
「ベポ、頼んだぞ」
『(だめ…)』
離れていくローの背中を見て、恋歌はぐっと唇を噛み、ベポの胸を押した。
「え、お、降りるの?」
ぐいぐいと胸を押されたベポは、抱えている恋歌が降ろしてほしいと言っているように見えたので、ゆっくりと足から地面に降ろしてやる。
会場は恋歌の事が気になってはいるが、司会がコンテストの優勝者を告げようとしている為、そちらの方に注目が集まっている。
『(わたしは…)』
「えー…では今回は恋歌、ベポペアは棄権ということで、優勝者は…」
『ロー…』
「え?
え!?」
ぽたぽたと恋歌から涙が零れ落ち、小さな声でローの名前を呼んだ。
その直後恋歌の足元に魔方陣が浮かび上がる。
ベポは恋歌が声を出した事にも、魔法を使おうとしていることにも驚いてどうすればいいのかと慌てている。
だが、ローは気づいていないようで、恋歌の方を見る事はない。
『ロー…!』
「…!」
聞いた事のある綺麗な声に名前を呼ばれた事に気づいて、慌てたように振り向けば恋歌が涙を流しながら、魔方陣を展開している。
「なに、それ…」
『ロー!どこにも…行かないで…!
わたしたちは…わたしは…
ローと一緒に…いたいの!!』
「恋歌…」
ベ「恋歌!落ち着いて!」
ベポが恋歌を落ち着かせようとするが、魔方陣が光りはじめ、何かが発動しようとしている。
「ベポ!!恋歌の口を塞げ!!」
「「「!!」」」
どこからか現れたヴォルフが、汗を流しながらこちらに走ってきている。
どういう意味なのかはわからないが、ベポは言われた通りに後ろから抑え込むように手で恋歌の口を塞いだ。
「まだおさまらんか…!」
ベポが口を塞いでも魔方陣は消えず、魔方陣から風が吹き始めた。
それを見てローが恋歌の元へ走り出す。
「恋歌!!
おれがわかるか!?」
ベポの手に口元を覆われている為、顔が半分見えない。
「どこにも行かねぇから!
おれはここにいる…!」
だらんと垂れた恋歌の手を握れば、それがローだとわかったのか、徐々に魔方陣から風が消えていき、最後には魔方陣も消えた。
「恋歌!!」
そして魔方陣が消えた瞬間、恋歌はローの手を握ったまま意識を手放した。