風邪
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星々が見える時間帯はずっと空を飛んでいた 恋歌が船に戻ってきたのは、もうすぐ朝陽が顔を出す時間帯だった。
「恋歌!!
おかえり!!」
『ただいま』
甲板に足をつけると船内から飛び出してきたベポに抱きしめられ、温かい身体が冷えた身体に心地よかった。
その温もりに擦り寄るように抱きしめ返した腕の力を強めたが、数秒その温もりを感じてからベポの胸を押した。
『薬、買ってきたよ』
「うん…
みんなに、飲ませよう」
恋歌が無事に戻ってきたことは嬉しいが、全員に薬を飲ませて治らなければ意味がない。
喜ぶのはみんなが治ってからだと、お互いに頷き合って食堂に向かった。
残り少なかった果物をすりおろしたものを3人分用意し、ベポに2人分の薬を渡して苦いが必ず飲み切らせてほしいと頼み、恋歌はローの部屋へ。
音を立てずにそっと部屋の中に入れば、昨日の朝見たときと何も変わらない苦しそうな表情で眠っていた。
『ロー…』
苦しそうな表情に起こす事は憚られたが、一刻も早く薬を飲んでほしいと頬を撫でながら声をかけると、ゆっくりとローの瞼が開いた。
「恋歌…」
『ごめん…薬を、飲んで、ほしくて』
「…ああ」
こほこほと咳をしながら起き上がったローは、ヘッドボードに背中を預け恋歌が持っている器に手を伸ばした。
『口、開けて』
「……」
腕を動かすことすら億劫そうなローを見かねて、スプーンにひとさじ掬って口元にもっていけば、ぱく、とそれを口に含んだ。
ゆっくりゆっくりと咀嚼し、やっとの思いで飲み込んだ後、もう少し食べて欲しいともう一度スプーンを差し出せば、またそれを口に含んで咀嚼を繰り返してくれる。
だが、それも数回が限界のようで、一昨日はすべて食べてくれた量も半分以上残ってしまった。
「…悪い、もういい」
『うん…
これ、飲んで』
「……なんだ、これ」
薬を飲もうと水と薬を渡されたローだったが、自分が作った薬ではない事に気づいた。
『後で、話すから…飲んでほしい』
「……」
懇願するように見つめてくる恋歌に、追求する気力もなく、恋歌の言葉を疑う理由もないローは、渡された粉薬を飲んだ。
その苦味に眉間のしわが深くなったが、何とか水で流し込みふぅ、と息をはく。
薬を飲み切ってくれた事にほっと息をはいた恋歌は、水の入っていたコップを受けとり、横になろうとするローの背中を支え、横になったローの髪を撫でた。
『…また後で、くる、から』
「……ああ」
新しい氷嚢を魔方陣から取り出し、それをローの額に乗せてから目を閉じたのを確認してそっと部屋から出た。
『(これで…みんな元気になるはず…
早く…早く…元気になって…)』
薬草の効能は信じているが、1分1秒でも早く効いてくれますようにと、少し震える手を組んで扉越しに祈った。
「恋歌!!
おかえり!!」
『ただいま』
甲板に足をつけると船内から飛び出してきたベポに抱きしめられ、温かい身体が冷えた身体に心地よかった。
その温もりに擦り寄るように抱きしめ返した腕の力を強めたが、数秒その温もりを感じてからベポの胸を押した。
『薬、買ってきたよ』
「うん…
みんなに、飲ませよう」
恋歌が無事に戻ってきたことは嬉しいが、全員に薬を飲ませて治らなければ意味がない。
喜ぶのはみんなが治ってからだと、お互いに頷き合って食堂に向かった。
残り少なかった果物をすりおろしたものを3人分用意し、ベポに2人分の薬を渡して苦いが必ず飲み切らせてほしいと頼み、恋歌はローの部屋へ。
音を立てずにそっと部屋の中に入れば、昨日の朝見たときと何も変わらない苦しそうな表情で眠っていた。
『ロー…』
苦しそうな表情に起こす事は憚られたが、一刻も早く薬を飲んでほしいと頬を撫でながら声をかけると、ゆっくりとローの瞼が開いた。
「恋歌…」
『ごめん…薬を、飲んで、ほしくて』
「…ああ」
こほこほと咳をしながら起き上がったローは、ヘッドボードに背中を預け恋歌が持っている器に手を伸ばした。
『口、開けて』
「……」
腕を動かすことすら億劫そうなローを見かねて、スプーンにひとさじ掬って口元にもっていけば、ぱく、とそれを口に含んだ。
ゆっくりゆっくりと咀嚼し、やっとの思いで飲み込んだ後、もう少し食べて欲しいともう一度スプーンを差し出せば、またそれを口に含んで咀嚼を繰り返してくれる。
だが、それも数回が限界のようで、一昨日はすべて食べてくれた量も半分以上残ってしまった。
「…悪い、もういい」
『うん…
これ、飲んで』
「……なんだ、これ」
薬を飲もうと水と薬を渡されたローだったが、自分が作った薬ではない事に気づいた。
『後で、話すから…飲んでほしい』
「……」
懇願するように見つめてくる恋歌に、追求する気力もなく、恋歌の言葉を疑う理由もないローは、渡された粉薬を飲んだ。
その苦味に眉間のしわが深くなったが、何とか水で流し込みふぅ、と息をはく。
薬を飲み切ってくれた事にほっと息をはいた恋歌は、水の入っていたコップを受けとり、横になろうとするローの背中を支え、横になったローの髪を撫でた。
『…また後で、くる、から』
「……ああ」
新しい氷嚢を魔方陣から取り出し、それをローの額に乗せてから目を閉じたのを確認してそっと部屋から出た。
『(これで…みんな元気になるはず…
早く…早く…元気になって…)』
薬草の効能は信じているが、1分1秒でも早く効いてくれますようにと、少し震える手を組んで扉越しに祈った。