風邪
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船を出てから数時間、シリウスの計算では夕方ごろには半分ほどの魔力消費で目的の島に到着する予定だったが、恋歌の逸る気持ちが魔力のコントロールを乱し、シリウスが計算していたより魔力の消費が激しい。
「おい恋歌
これ以上のスピードは出ねぇんだ
魔力の消費は最小限に抑えろ」
『ご、ごめん…』
シリウスの言葉に魔力消費を抑えるが、既に思っていたより魔力を消費してしまっている。
今回はローも仲間も近くにおらず、魔力の回復はできない。
途中でシリウスに大気から魔力を吸収しろと言われ、何度か立ち止まりながらも、夕陽が海を橙色に染める頃には目的の島に辿り着くことができた。
『(や、やっとついた…)』
数時間空を飛び続けシリウスが思っていたより魔力消費が激しい恋歌は、人気のない森に足をつけた瞬間ふらついたが、木を支えにしたおかげで倒れ込むことはなかった。
「平気か」
肩に乗っているシリウスが心配そうに頬をつついてきたので、それに対して頷きで返す。
『≪もう夕方だからお店が閉まっちゃうかもしれない
早く村に行こう≫』
「ああ」
紙に字を書いてシリウスに見せれば、今度はシリウスが頷いて返し、帽子を目深に被り直してから上空から見た村の方角へと足を進める。
村の入り口に辿り着けば悪い雰囲気ではないが本当にたった一人だという事で、足が鉛を付けたように重く、ローがくれたリボンブローチの琥珀に一度触れ、一度大きく深呼吸をした。
『(薬草を手に入れるまでは騒ぎを起こしちゃいけない…
薬屋さんに行けばあるかな…)』
あまり広くない村だが、隅から隅まで見ている暇などなくできれば最短ルートで済ませて船に帰りたい。
きょろ、とあたりを見渡し、近くにいたふくよかで優しそうな雰囲気の女の視界に入るように近寄った。
「?
あんた、見ない顔だね
なにか用かい?」
視界に入った恋歌を見た女は何か用かと首を傾げている。
優しそうな話し方にほっとした恋歌は、鞄からノートと薬草が載った本を取り出した。
『≪この薬草が欲しいんですけど、どこに行けば手に入りますか?≫』
ノートに書かれた文字を呼んだ女は一瞬きょとん、としたが、恋歌が話せないということを理解してくれたらしく、村の奥の方を指さした。
「この先にある薬屋に薬草と調薬された薬と両方売ってるよ
これが欲しいって事は誰かが病気なのかい?」
『≪大切な人たちが罹っちゃって…≫』
「…そうかい
あ…でもこの時間か…」
『?』
「ちょっと待ってな」
何かを思い出したように時間を見た女は、一度家の扉を開け中にいる誰かに出かけてくると大声で伝えていた。
「いつもは薬屋にじいさんと孫がいるんだけど、この時間は買い物や夕飯の準備で孫がいないことが多いんだ
じいさんの腕は確かなんだけど、歳で耳が遠くてね
老眼であんたが書く字も見えないかもしれないから着いていってあげるよ」
行くよ、と先導する女の背中を慌てて追いかけ、ぺこりと頭を下げれば気にするなと大声で笑ってくれた。
「おい恋歌
これ以上のスピードは出ねぇんだ
魔力の消費は最小限に抑えろ」
『ご、ごめん…』
シリウスの言葉に魔力消費を抑えるが、既に思っていたより魔力を消費してしまっている。
今回はローも仲間も近くにおらず、魔力の回復はできない。
途中でシリウスに大気から魔力を吸収しろと言われ、何度か立ち止まりながらも、夕陽が海を橙色に染める頃には目的の島に辿り着くことができた。
『(や、やっとついた…)』
数時間空を飛び続けシリウスが思っていたより魔力消費が激しい恋歌は、人気のない森に足をつけた瞬間ふらついたが、木を支えにしたおかげで倒れ込むことはなかった。
「平気か」
肩に乗っているシリウスが心配そうに頬をつついてきたので、それに対して頷きで返す。
『≪もう夕方だからお店が閉まっちゃうかもしれない
早く村に行こう≫』
「ああ」
紙に字を書いてシリウスに見せれば、今度はシリウスが頷いて返し、帽子を目深に被り直してから上空から見た村の方角へと足を進める。
村の入り口に辿り着けば悪い雰囲気ではないが本当にたった一人だという事で、足が鉛を付けたように重く、ローがくれたリボンブローチの琥珀に一度触れ、一度大きく深呼吸をした。
『(薬草を手に入れるまでは騒ぎを起こしちゃいけない…
薬屋さんに行けばあるかな…)』
あまり広くない村だが、隅から隅まで見ている暇などなくできれば最短ルートで済ませて船に帰りたい。
きょろ、とあたりを見渡し、近くにいたふくよかで優しそうな雰囲気の女の視界に入るように近寄った。
「?
あんた、見ない顔だね
なにか用かい?」
視界に入った恋歌を見た女は何か用かと首を傾げている。
優しそうな話し方にほっとした恋歌は、鞄からノートと薬草が載った本を取り出した。
『≪この薬草が欲しいんですけど、どこに行けば手に入りますか?≫』
ノートに書かれた文字を呼んだ女は一瞬きょとん、としたが、恋歌が話せないということを理解してくれたらしく、村の奥の方を指さした。
「この先にある薬屋に薬草と調薬された薬と両方売ってるよ
これが欲しいって事は誰かが病気なのかい?」
『≪大切な人たちが罹っちゃって…≫』
「…そうかい
あ…でもこの時間か…」
『?』
「ちょっと待ってな」
何かを思い出したように時間を見た女は、一度家の扉を開け中にいる誰かに出かけてくると大声で伝えていた。
「いつもは薬屋にじいさんと孫がいるんだけど、この時間は買い物や夕飯の準備で孫がいないことが多いんだ
じいさんの腕は確かなんだけど、歳で耳が遠くてね
老眼であんたが書く字も見えないかもしれないから着いていってあげるよ」
行くよ、と先導する女の背中を慌てて追いかけ、ぺこりと頭を下げれば気にするなと大声で笑ってくれた。