出会いから出航まで
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そして迎えた祭り当日。
「よーし、今年はパンを売るわよ!」
今年はコンテストを辞退したアミは、パン屋として店を出すらしく、今日も仕事ではあるが楽しそうにしている。
「恋歌は?」
≪お店はおやすみだね≫
「じゃあお祭り楽しんで!
お店にも遊びに来てね」
≪うん≫
アミと回れるかなと思っていたが、仕事という事であれば仕方ない。
今日のパン屋の模擬店ではアミが考案した新作パンも売られるらしい。
アミの家の前でアミと別れ、恋歌は一人で騒がしい祭りの中心へ歩いていく。
いつも騒がしい町ではあるが、今日は特別な活気がある。
『(ちょっとだけ遊んで帰った方がいいかな)』
昨日の占いを考慮してあんまり外にいない方がいいかと思うが、朝である今は星は見えない上に、どんよりと曇っている為今の運勢がどうなっているのかわからない。
星は常に動いている為、昨日の結果とは違うかもとは思うが、確かめる術はない。
正確には確かめる術はあるが、できないと言った方が正しいが。
「あ!恋歌だ!」
『(ベポ)』
しばらく町をぶらぶらとしていると、両手にたくさんの食べ物を持ったベポに声をかけられた。
「お、ほんとだ
昨日ぶり」
「ひとりか?」
≪うん、アミは今日お仕事なんだって≫
ペンギンもシャチもベポの後ろから姿を現して恋歌に声をかける。
「食べる?」
≪ありがとう≫
揚げ物がささった串を一本恋歌に渡す。
どこかに座って食べようとなり、四人で広場の椅子に座る。
「あーあ、ローさんいねーからどーも楽しめねぇよな」
「ほんとだよ
そういやさ、おれのとこにも昨日あの子来たんだよな」
「へぇー」
「あの子服装が個性的だろ?
それに合わせた髪型にしたいって、コンテスト前に来たんだよな」
「で、結局どんな髪型になったんだ?」
ベポにもらった串を食べながら、いつも出会う時のクロエの髪型を思い出す。
いつもは少し癖のかかった黒髪をツインテールにするか、おろしている事が多い。
その日のヘッドドレスにあわせた髪型をしているのだろうと思っていた。
「くるっくるにパーマして帰ったよ
一回目じゃ満足できなかったのか、髪にも良くないし、ダメだって言ってんのに、もう一度パーマするまで帰らないって騒ぎだしてさ
仕方ないから自己責任ってことでしてやったんだよ
そしたら満足して帰って行った」
「どこでも騒ぐんだな…あの子…」
シャチも巻き込まれたらしく、疲れたようにため息をついていた。
「あ、そうだ
久しぶりに恋歌の髪いじっていいか?」
≪いいよ≫
「やりー」
しばらく朝に恋歌の髪を触れていなかったので、久しぶりに数年前から綺麗に整えてきた恋歌の髪に触れてテンションがあがり、持っていたヘアゴムで髪をまとめていく。
「そういや結局恋歌もアミもコンテストには出ねぇんだってな」
≪わたしはもともと出るつもりなかったし、アミは3年連続優勝したから辞退したって言ってたよ≫
「あいつ顔だけはいいもんなー
性格きつめだけど」
「恋歌も出たら優勝できるぜ?」
≪そんなことないよ
それにわたしは声も出せないしね≫
アミにも話した通り、容姿以外の勝負で何があるかわからないので、出るつもりはない。
「…それさ、聞きたかったんだけど」
≪なに?≫
「ローさんの前で声出したってほんとか?」
『(え…)』
3人とも恋歌に会ったら聞こうと思っていた内容らしく、固まっている恋歌に興味津々で視線を向ける。
≪ローが言ってたの?≫
「ああ、その…まぁ、ちょっとだけとは聞いた」
その時のことを思い出しているのか、恋歌は少し顔を赤くしている。
≪不可抗力みたいなものだよ≫
「そうか…」
あまり言いたくなさそうだったので、これ以上追及はしなかったが、正直恋歌の声には興味があった。
いつかは聞かせてほしいと願って、今は我慢するかとこの話をやめた。
シャチがスタイリングをしている間に、雑談をかわしつつ祭りの様子を見ていると、何人かが恋歌をちらちらと見ている事に気づいた。
「まったく…可愛いってのも大変なんだな」
「同感
今日はローさんがいないから、誘えるとでも思ってんだろ」
シャチに髪をまとめてもらっている恋歌は、気づいていないようでベポと屋台の食べ物を楽しんでいる。
もともと恋歌がアミの家に行く前は、行き帰りはローがほとんど傍にいており、それ以外でも誰かが傍にいるので、声をかけることはできなかった。
本屋でも店主が目を光らせている上、昨日はローまで本屋にいた。
もう当日祭りに誘うしかないと思っているのか、広場に続々と男たちが集まってきている。
「よし、これで完成っと」
シャチがぽん、と恋歌に鏡を渡すと、ペンギンとベポも前に回って恋歌の髪型を確認する。
「おお!!可愛いじゃねぇか!」
「うんうん!おれ、この髪型好きだ!」
「へへっ」
この三年間で技術の上がったシャチが、恋歌の髪を編込み、初めてアップスタイルの髪型にした。
≪やっぱりシャチはすごいね
ありがとう≫
「どういたしまして」
可愛いとペンギンとベポに言われて嬉しそうに笑う恋歌に、シャチも得意げに笑う。
遠巻きに見ている男たちも、頬を赤くして見とれている者がたくさんいる。
「げっ…」
「な、なんだあれ…」
「あれ?」
恋歌を見ていた男たちが、急にざわめき始め、歩いてくる人物から遠ざかるように道が開かれていく。
「あいつ…と、」
「うわ、昨日よりくるくるしてんなー」
『(……)』
男たちが道を開けて通しているのは、かなり気合の入ったゴスロリを着ているクロエ。
いつもよりふりふりの多いロリータ服に、レースがふんだんに使われたヘッドドレス、厚底のごつごつした靴に、いつもよりくるくるとした髪を高い位置でツインテールにして、これまたふりふりな日傘をさしている。
「ぷっ…」
「くっ…」
笑い声をおさえながら身体をぷるぷると震えさせている。
ベポは恋歌とクロエを交互に見て、最後にクロエの横にいる人物へ視線を向けた。
「…お前ら…あとで覚えてろよ」
笑われているローは不機嫌そうに眉間に皺を寄せている。
ローが笑われているのは、クロエに腕に引っ付かれ、フリルがふんだんに使われたかばんを持たされているから。
そのミスマッチにペンギンとシャチは笑いを堪えられなかったらしい。
「あらあら、しゃべれないインチキ占い師じゃない
お祭りの日だってのに代わり映えのしない服装だこと」
≪この服装好きだから別にいいの≫
気合いの入っているクロエと違い、恋歌はいつもの服装。
それを馬鹿にしたような顔で見下ろしてくるが、恋歌は特に気にしている様子はない。
「今年はあの年増コンテストに出ないって言ってたし、今年の優勝はあたしで決まりね!」
≪よかったね≫
ノートに字を書いて出せば、それにキレたクロエにノートを日傘で弾き飛ばされた。
「おい!!」
それを見たペンギンがクロエに注意しようと立ち上がったが、恋歌に服を引かれて止まった。
「あんたさ、なんともない顔してるけど、優勝したときなにがあるか知ってるの?」
『(なにかある…?
豪華な賞品がもらえるんじゃ…)』
日傘の先を鼻の先に突きつけられるが、それをどけることなくクロエに言われた事を考える。
毎年アミの応援しかしていなかったので、コンテストの詳しい事までは知らない。
その様子に恋歌は知らないとわかったのか、日傘をおろして恋歌の耳元に顔を寄せる。
他の人には聞こえないようにぼそぼそとクロエが小声で話し、恋歌の目が一瞬驚きで開かれたが、その後は無反応。
「ま、あんたには関係ないから、結果だけ見に来なさい
さぁロー先生!あたしたちはデートの続きに行きましょ」
「お、おい!」
言いたいことは言ったと、ローの腕を無理やり引いて立ち去って行った。
「恋歌…大丈夫?」
弾き飛ばされたノートを拾い、酷い事を言われたのかと心配してくれるベポに大丈夫だと頭を振る。
しかし、なにかを考えるように俯いて恋歌は、まだ前にいて目線を合わせるようにしゃがんでくれているベポに抱き着いた。
「恋歌…家に帰る?」
よしよしと背中を撫でてくれるベポに抱き着いたまま首を横に振る。
『(これが私の…今日の運勢か…)』
やはり昨日の星占いは正しかったと、もふもふのベポの毛並に癒されながら、クロエに言われたことを頭の中で反復し、決意をしたようにベポから離れた。
≪ベポ、ペンギン、シャチお願いがあるの≫
「「「??」」」
三人にそう伝え、クロエに言われたこと、恋歌がお願いしたいことを伝えると、三人は笑顔で協力すると頷いた。
「よーし、今年はパンを売るわよ!」
今年はコンテストを辞退したアミは、パン屋として店を出すらしく、今日も仕事ではあるが楽しそうにしている。
「恋歌は?」
≪お店はおやすみだね≫
「じゃあお祭り楽しんで!
お店にも遊びに来てね」
≪うん≫
アミと回れるかなと思っていたが、仕事という事であれば仕方ない。
今日のパン屋の模擬店ではアミが考案した新作パンも売られるらしい。
アミの家の前でアミと別れ、恋歌は一人で騒がしい祭りの中心へ歩いていく。
いつも騒がしい町ではあるが、今日は特別な活気がある。
『(ちょっとだけ遊んで帰った方がいいかな)』
昨日の占いを考慮してあんまり外にいない方がいいかと思うが、朝である今は星は見えない上に、どんよりと曇っている為今の運勢がどうなっているのかわからない。
星は常に動いている為、昨日の結果とは違うかもとは思うが、確かめる術はない。
正確には確かめる術はあるが、できないと言った方が正しいが。
「あ!恋歌だ!」
『(ベポ)』
しばらく町をぶらぶらとしていると、両手にたくさんの食べ物を持ったベポに声をかけられた。
「お、ほんとだ
昨日ぶり」
「ひとりか?」
≪うん、アミは今日お仕事なんだって≫
ペンギンもシャチもベポの後ろから姿を現して恋歌に声をかける。
「食べる?」
≪ありがとう≫
揚げ物がささった串を一本恋歌に渡す。
どこかに座って食べようとなり、四人で広場の椅子に座る。
「あーあ、ローさんいねーからどーも楽しめねぇよな」
「ほんとだよ
そういやさ、おれのとこにも昨日あの子来たんだよな」
「へぇー」
「あの子服装が個性的だろ?
それに合わせた髪型にしたいって、コンテスト前に来たんだよな」
「で、結局どんな髪型になったんだ?」
ベポにもらった串を食べながら、いつも出会う時のクロエの髪型を思い出す。
いつもは少し癖のかかった黒髪をツインテールにするか、おろしている事が多い。
その日のヘッドドレスにあわせた髪型をしているのだろうと思っていた。
「くるっくるにパーマして帰ったよ
一回目じゃ満足できなかったのか、髪にも良くないし、ダメだって言ってんのに、もう一度パーマするまで帰らないって騒ぎだしてさ
仕方ないから自己責任ってことでしてやったんだよ
そしたら満足して帰って行った」
「どこでも騒ぐんだな…あの子…」
シャチも巻き込まれたらしく、疲れたようにため息をついていた。
「あ、そうだ
久しぶりに恋歌の髪いじっていいか?」
≪いいよ≫
「やりー」
しばらく朝に恋歌の髪を触れていなかったので、久しぶりに数年前から綺麗に整えてきた恋歌の髪に触れてテンションがあがり、持っていたヘアゴムで髪をまとめていく。
「そういや結局恋歌もアミもコンテストには出ねぇんだってな」
≪わたしはもともと出るつもりなかったし、アミは3年連続優勝したから辞退したって言ってたよ≫
「あいつ顔だけはいいもんなー
性格きつめだけど」
「恋歌も出たら優勝できるぜ?」
≪そんなことないよ
それにわたしは声も出せないしね≫
アミにも話した通り、容姿以外の勝負で何があるかわからないので、出るつもりはない。
「…それさ、聞きたかったんだけど」
≪なに?≫
「ローさんの前で声出したってほんとか?」
『(え…)』
3人とも恋歌に会ったら聞こうと思っていた内容らしく、固まっている恋歌に興味津々で視線を向ける。
≪ローが言ってたの?≫
「ああ、その…まぁ、ちょっとだけとは聞いた」
その時のことを思い出しているのか、恋歌は少し顔を赤くしている。
≪不可抗力みたいなものだよ≫
「そうか…」
あまり言いたくなさそうだったので、これ以上追及はしなかったが、正直恋歌の声には興味があった。
いつかは聞かせてほしいと願って、今は我慢するかとこの話をやめた。
シャチがスタイリングをしている間に、雑談をかわしつつ祭りの様子を見ていると、何人かが恋歌をちらちらと見ている事に気づいた。
「まったく…可愛いってのも大変なんだな」
「同感
今日はローさんがいないから、誘えるとでも思ってんだろ」
シャチに髪をまとめてもらっている恋歌は、気づいていないようでベポと屋台の食べ物を楽しんでいる。
もともと恋歌がアミの家に行く前は、行き帰りはローがほとんど傍にいており、それ以外でも誰かが傍にいるので、声をかけることはできなかった。
本屋でも店主が目を光らせている上、昨日はローまで本屋にいた。
もう当日祭りに誘うしかないと思っているのか、広場に続々と男たちが集まってきている。
「よし、これで完成っと」
シャチがぽん、と恋歌に鏡を渡すと、ペンギンとベポも前に回って恋歌の髪型を確認する。
「おお!!可愛いじゃねぇか!」
「うんうん!おれ、この髪型好きだ!」
「へへっ」
この三年間で技術の上がったシャチが、恋歌の髪を編込み、初めてアップスタイルの髪型にした。
≪やっぱりシャチはすごいね
ありがとう≫
「どういたしまして」
可愛いとペンギンとベポに言われて嬉しそうに笑う恋歌に、シャチも得意げに笑う。
遠巻きに見ている男たちも、頬を赤くして見とれている者がたくさんいる。
「げっ…」
「な、なんだあれ…」
「あれ?」
恋歌を見ていた男たちが、急にざわめき始め、歩いてくる人物から遠ざかるように道が開かれていく。
「あいつ…と、」
「うわ、昨日よりくるくるしてんなー」
『(……)』
男たちが道を開けて通しているのは、かなり気合の入ったゴスロリを着ているクロエ。
いつもよりふりふりの多いロリータ服に、レースがふんだんに使われたヘッドドレス、厚底のごつごつした靴に、いつもよりくるくるとした髪を高い位置でツインテールにして、これまたふりふりな日傘をさしている。
「ぷっ…」
「くっ…」
笑い声をおさえながら身体をぷるぷると震えさせている。
ベポは恋歌とクロエを交互に見て、最後にクロエの横にいる人物へ視線を向けた。
「…お前ら…あとで覚えてろよ」
笑われているローは不機嫌そうに眉間に皺を寄せている。
ローが笑われているのは、クロエに腕に引っ付かれ、フリルがふんだんに使われたかばんを持たされているから。
そのミスマッチにペンギンとシャチは笑いを堪えられなかったらしい。
「あらあら、しゃべれないインチキ占い師じゃない
お祭りの日だってのに代わり映えのしない服装だこと」
≪この服装好きだから別にいいの≫
気合いの入っているクロエと違い、恋歌はいつもの服装。
それを馬鹿にしたような顔で見下ろしてくるが、恋歌は特に気にしている様子はない。
「今年はあの年増コンテストに出ないって言ってたし、今年の優勝はあたしで決まりね!」
≪よかったね≫
ノートに字を書いて出せば、それにキレたクロエにノートを日傘で弾き飛ばされた。
「おい!!」
それを見たペンギンがクロエに注意しようと立ち上がったが、恋歌に服を引かれて止まった。
「あんたさ、なんともない顔してるけど、優勝したときなにがあるか知ってるの?」
『(なにかある…?
豪華な賞品がもらえるんじゃ…)』
日傘の先を鼻の先に突きつけられるが、それをどけることなくクロエに言われた事を考える。
毎年アミの応援しかしていなかったので、コンテストの詳しい事までは知らない。
その様子に恋歌は知らないとわかったのか、日傘をおろして恋歌の耳元に顔を寄せる。
他の人には聞こえないようにぼそぼそとクロエが小声で話し、恋歌の目が一瞬驚きで開かれたが、その後は無反応。
「ま、あんたには関係ないから、結果だけ見に来なさい
さぁロー先生!あたしたちはデートの続きに行きましょ」
「お、おい!」
言いたいことは言ったと、ローの腕を無理やり引いて立ち去って行った。
「恋歌…大丈夫?」
弾き飛ばされたノートを拾い、酷い事を言われたのかと心配してくれるベポに大丈夫だと頭を振る。
しかし、なにかを考えるように俯いて恋歌は、まだ前にいて目線を合わせるようにしゃがんでくれているベポに抱き着いた。
「恋歌…家に帰る?」
よしよしと背中を撫でてくれるベポに抱き着いたまま首を横に振る。
『(これが私の…今日の運勢か…)』
やはり昨日の星占いは正しかったと、もふもふのベポの毛並に癒されながら、クロエに言われたことを頭の中で反復し、決意をしたようにベポから離れた。
≪ベポ、ペンギン、シャチお願いがあるの≫
「「「??」」」
三人にそう伝え、クロエに言われたこと、恋歌がお願いしたいことを伝えると、三人は笑顔で協力すると頷いた。