出会いから出航まで
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スープを飲み干した後、少年は風呂に行くようにヴォルフに言われたため、今度は威嚇することなく素直に風呂へ向かった。
恋歌はヴォルフに言われた通りにヴォルフの息子の服を用意して脱衣所に置き、服の上にメモを残して部屋へと戻ってきた。
「あの小僧には自分から話すか?」
少年が風呂から戻ってくるのを待っている間、ヴォルフが恋歌に目的を話すのかとという意味で問いかけた。
その問いに対してしばらく考えた恋歌は、ヴォルフから渡されているノートに文字を書いていく。
《全部はまだ言えない》
「まぁ恋歌の事情はわかっとるからな…無理にとは言わん
自分で判断して伝えるんじゃな」
《うん、わたしも疑いたくないけど…やっぱりまだあの子を信じられないから》
「お前さんの境遇を考えれば出会ったばかりの小僧を、理由があるとはいえすぐに全て信じろということはできんのが普通じゃ」
気にするなと言うヴォルフの言葉に頷いて、少年が戻ってくるのを待った。
しばらくして恋歌が置いてきた服を着て少年が戻ってきた。
「息子の服じゃ
とっておいてよかったわい
古いもんじゃがしばらくは支障なかろう
恋歌、薬草茶入れてやれ」
ヴォルフと少年が向かい合うように座り、恋歌はお茶を入れるために部屋の外に出て行った。
「なぁ」
「なんじゃ」
「あの女の子は…喋れねぇのか?」
「ああ、色々と事情があってな
あの子は喋れるが喋らない
その意味がわかるな?」
ヴォルフのこの言い方に頷いた少年は医者としてなにができることはないかと無意識に考えていた。
それに数時間前まで一緒にいた、大好きな人の事も。
「あの子のことはあの子自身に聞け
わしがぺらぺらと喋るようなことじゃないわい」
「わかった
…あのよ」
少年がもう一つ質問をしようとしたところで恋歌がお茶を持って帰ってきた。
「あ、ありがとう…」
お茶を自分の前に置いてくれた恋歌に、小声ではあるがお礼を言うとちゃんと聞こえたようで笑顔が返ってきた。
ヴォルフにもお茶を渡し恋歌も椅子に座った。
「さて、話の続きじゃな」
「ああ、もしかしてあんたら…俺を助けてくれたのか?」
「ふんっ!わしは連れてきてやっただけ
お前さんを見つけたのは…この子じゃ」
「そうか…
でもあんな場所どうやって…」
「…恋歌、自分で話せ」
少年がいた場所は人目につかない洞窟。
それを自分より年下に見える少女がどうやった見つけてくれたのかと純粋な疑問だった。
ヴォルフに促され恋歌がノートに文字を書いていく。
《魔女って知ってる?》
「魔女?
魔女って魔法が使える奴のことだろ?」
《そう
わたしはその魔女なんだ》
「は?」
空想上の物語でしか聞いたことのない言葉と、目の前の少女がそうであると告げられ、意味が分からなくなった少年が変な顔をした。
《魔法もちょっとだけなら使える
けど、わたしが得意なのが星占い》
「星占い…?」
《簡単に言うと星を見て明日の運勢を見たりとか、星に色々聞いたりできるの
答えてくれるかはわからないけどね》
「星に聞く…
それであそこに俺がいるってわかったのか?」
《うん》
最後の質問にはもっと何かを書こうとしたが、最終的に見せられたノートには返事しか書かれていなかった。
「魔女…どんな魔法が使えるんだ?」
危険はないとわかった初めて出会った魔法使いに少年の心が疼いたのか、少しきらきらとした目で質問してきた。
その様子に笑顔を見せた恋歌は、今まで筆談をしていたノートをぱたんと閉じた。
そして手を天井に向けるように開くとその上に魔法陣が浮かび上がった。
「おお…」
がたっ、と椅子から立ち上がった少年はまじまじと魔法陣を見つめている。
その魔法陣に恋歌がノートを近づけると吸い込まれるように魔法陣の中に入った。
「消えた!」
今度は魔法陣に手を入れて先程のノートを取り出した。
「すげぇ…
これが魔法…
ほ、他には…!」
「こりゃ!ガキ!!
恋歌の魔法は後じゃ!」
興味が完璧に恋歌の魔法へと移ってしまっていたため、放置されていたヴォルフは少年の顔を掴んでちゃんと椅子に座らせた。
そしてヴォルフから助けたことの代わりとして、どうしてあそこにいたのかを話すことを条件に出されたため、ぽつぽつと今までの出来事を話し始めた。
恋歌はヴォルフに言われた通りにヴォルフの息子の服を用意して脱衣所に置き、服の上にメモを残して部屋へと戻ってきた。
「あの小僧には自分から話すか?」
少年が風呂から戻ってくるのを待っている間、ヴォルフが恋歌に目的を話すのかとという意味で問いかけた。
その問いに対してしばらく考えた恋歌は、ヴォルフから渡されているノートに文字を書いていく。
《全部はまだ言えない》
「まぁ恋歌の事情はわかっとるからな…無理にとは言わん
自分で判断して伝えるんじゃな」
《うん、わたしも疑いたくないけど…やっぱりまだあの子を信じられないから》
「お前さんの境遇を考えれば出会ったばかりの小僧を、理由があるとはいえすぐに全て信じろということはできんのが普通じゃ」
気にするなと言うヴォルフの言葉に頷いて、少年が戻ってくるのを待った。
しばらくして恋歌が置いてきた服を着て少年が戻ってきた。
「息子の服じゃ
とっておいてよかったわい
古いもんじゃがしばらくは支障なかろう
恋歌、薬草茶入れてやれ」
ヴォルフと少年が向かい合うように座り、恋歌はお茶を入れるために部屋の外に出て行った。
「なぁ」
「なんじゃ」
「あの女の子は…喋れねぇのか?」
「ああ、色々と事情があってな
あの子は喋れるが喋らない
その意味がわかるな?」
ヴォルフのこの言い方に頷いた少年は医者としてなにができることはないかと無意識に考えていた。
それに数時間前まで一緒にいた、大好きな人の事も。
「あの子のことはあの子自身に聞け
わしがぺらぺらと喋るようなことじゃないわい」
「わかった
…あのよ」
少年がもう一つ質問をしようとしたところで恋歌がお茶を持って帰ってきた。
「あ、ありがとう…」
お茶を自分の前に置いてくれた恋歌に、小声ではあるがお礼を言うとちゃんと聞こえたようで笑顔が返ってきた。
ヴォルフにもお茶を渡し恋歌も椅子に座った。
「さて、話の続きじゃな」
「ああ、もしかしてあんたら…俺を助けてくれたのか?」
「ふんっ!わしは連れてきてやっただけ
お前さんを見つけたのは…この子じゃ」
「そうか…
でもあんな場所どうやって…」
「…恋歌、自分で話せ」
少年がいた場所は人目につかない洞窟。
それを自分より年下に見える少女がどうやった見つけてくれたのかと純粋な疑問だった。
ヴォルフに促され恋歌がノートに文字を書いていく。
《魔女って知ってる?》
「魔女?
魔女って魔法が使える奴のことだろ?」
《そう
わたしはその魔女なんだ》
「は?」
空想上の物語でしか聞いたことのない言葉と、目の前の少女がそうであると告げられ、意味が分からなくなった少年が変な顔をした。
《魔法もちょっとだけなら使える
けど、わたしが得意なのが星占い》
「星占い…?」
《簡単に言うと星を見て明日の運勢を見たりとか、星に色々聞いたりできるの
答えてくれるかはわからないけどね》
「星に聞く…
それであそこに俺がいるってわかったのか?」
《うん》
最後の質問にはもっと何かを書こうとしたが、最終的に見せられたノートには返事しか書かれていなかった。
「魔女…どんな魔法が使えるんだ?」
危険はないとわかった初めて出会った魔法使いに少年の心が疼いたのか、少しきらきらとした目で質問してきた。
その様子に笑顔を見せた恋歌は、今まで筆談をしていたノートをぱたんと閉じた。
そして手を天井に向けるように開くとその上に魔法陣が浮かび上がった。
「おお…」
がたっ、と椅子から立ち上がった少年はまじまじと魔法陣を見つめている。
その魔法陣に恋歌がノートを近づけると吸い込まれるように魔法陣の中に入った。
「消えた!」
今度は魔法陣に手を入れて先程のノートを取り出した。
「すげぇ…
これが魔法…
ほ、他には…!」
「こりゃ!ガキ!!
恋歌の魔法は後じゃ!」
興味が完璧に恋歌の魔法へと移ってしまっていたため、放置されていたヴォルフは少年の顔を掴んでちゃんと椅子に座らせた。
そしてヴォルフから助けたことの代わりとして、どうしてあそこにいたのかを話すことを条件に出されたため、ぽつぽつと今までの出来事を話し始めた。