爆発音が聞こえた先である避難所の入り口に辿り着くと、避難所の中は恐怖で空気がぴりついていた。

「なにがあった」

「いや…レヴルが復活してさ、この入口を守ってる樹を壊そうとしてるみたいなんだ」

入口の近くにいたペンギンに聞けば、もう聞きたくなかった名前が聞こえてきた。

「まだランを諦めきれないみたいで…外で騒いでるわ」

「大した執着心だな」

ローゼが外にいるレヴルの声を聞けば、まだランを出せと騒いでいるらしい。

「…ローくん、あなたの能力でわたしだけを外に出せる？」

「どうするつもりだ」

小さくため息をついたランが、ローに外に出してほしいと伝えるが簡単に外に出すわけにはいかない。

「ここまでなってしまったからには自分のけじめは自分でつけるわ」

『ラン…』

「大丈夫よ

魔女を怒らせると…大変な事になるんだから」

「待て、おれも行く」

それにウィリアムも行くと言いだし、収拾がつかなくなったところで次にため息をついたのはローだった。

「わかった

お前ら、ここの連中の事は任せた」

「「「アイアイ、キャプテン！！」」」

『ロー、わたしも、連れて行って』

「……

【ROOM】」

ぶぅん、とローの技が発動する音が聞こえ、次の瞬間には4人は避難所から消えていた。





「あ、やっと出てきたね」

「もう海軍を呼んだわ

そのうち…海賊たちも、あなたたち家族も…捕まる」

誰が通報したのかわからないが、海賊が襲ってきたとなれば海軍に連絡をするのが普通。

「それはそこの海賊たちも一緒だろう？

君たちの恩人だろうが海軍は海賊であれば誰であろうと捕まえる」

レヴルが言っていることは正論で、誰かが海軍に通報したとなればこの町を守ったハートの海賊団も捕まってしまう。

「そんなことわかってるわ

だから…」

「！！」

ランがにっこり笑ってレヴルの足元に魔方陣を発動させ、ばきばきと音を立ててレヴルの足元から大木が生え、両腕を拘束し樹に縛り付けた。

「まさかランが変な能力を持っているなんてね…

それを海賊たち、いや、海軍にも伝えたら…どうなるかな？」

にやりと笑うレヴルはランが希少な魔女であるという事を海賊にでも聞いたのだろう。

脅すような言い方をしてくるが、ランは笑顔を崩さない。

「わたしはね…魔女である事を恥じた事なんか一度もない

でもね、わたしはこの町を出ていきたくないの」

魔女であることが町の人たちにばれてしまえば、ウィリアムに迷惑がかかり”魔女”の価値を知る誰かが襲ってくる可能性もあった。

「だから…」

一瞬悲しそうな顔をしたランはレヴルを捕らえている大木に手を添えた。

「すべてを、忘れて頂戴」

『わぁ…綺麗…』

「ああ、そうだな」

手を添えた場所から大木に白く輝く花が咲いていき、大木すべてに白く輝く花が咲き誇ると、レヴルの目の光がなくなっている事に気づいた。