出会いから出航まで
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だが、クロエの手は恋歌に当たることはなかった。
「なにしてんだ?」
『(ベポ…)』
クロエの手を掴んで止めたのは、たまたま近くを通りかかったベポだった。
昼食中なのか串焼きをもぐもぐと口に詰めながら、不思議そうな顔をしている。
「何この白クマ!!
汚い手であたしに触らないでよ!!」
「すいません…」
打たれ弱いベポはすんなりとクロエから手を離して、落ち込んでいる。
「な、なによ」
ベポを汚いものと言い、手を振り払ったクロエに、恋歌が怒った表情で、ノートを突き付けた。
ノートの字を見れば、なぐり書きで?ベポに謝って?と書いてある。
「はぁ?
汚いものを汚いと言ってなにが悪いの?」
たしかにいまのベポは工事現場で仕事中だからなのか、少し薄汚れている。
しかしそれは仕事を頑張っているからであり、今クロエに触ったのは恋歌を守るため。
それで汚いから触るなとは酷い言い草だと、恋歌はその発言が許せなかった。
「恋歌…別にいいよ」
《よくない
ベポは汚くなんかないんだから》
「はっ、なに言ってるのかわからないけど、言いたいことがあるなら声に出して言いなさいよ」
「あんたねぇ…」
やれるもんならやってみろと恋歌に喧嘩を売っているが、恋歌はそれを買うことはできない。
アミは呆れたようにため息をついているが、もう相手にしない方がいいとわかっているため、恋歌の手を引く。
「ロー先生の事も言いたいことがあるなら声に出して言いなさい
首を横に振ることしかできないくせに、あたしと先生の仲を引き裂かないで」
『(声に…出せるものなら…出してるよ…)』
「今からロー先生の診察だから行くわ
あんたはちゃんとあの家を出る準備をしなさい」
「え!?恋歌出て行っちゃうの!?」
得意げな顔で去っていくクロエの言葉に、ベポがおろおろしている。
「白クマくん落ち着きなさい
恋歌も、あんな奴の言うこと気にしなくていいのよ?」
《でも…ほんとにローがあの子を選ぶなら、わたしが邪魔なのは事実だし…》
「んー…ローがねぇ…
(どう考えても恋歌よりあいつを選ぶとは思えないけど…)」
この3年間一緒の家に住んでいる5人の関係を見てきて、ローが恋歌以外の女を大事にしているのを見たことがない。
もちろん医者という立場上、患者にはぶっきらぼうながらに優しいが、恋歌への接し方とは違う。
しかしそれは当人たちはわかっておらず、第三者から言うことでもないと思って、口出しはしていなかったが、落ち込んでいる恋歌を見て、言った方がいいのではと思い始めた。
「うーん…ていうかあいつ、今回恋歌に絡んできたのはコンテストのことじゃなくて、ローのことでちょっかいかけてきてたのね」
コンテストが近いため、てっきりそれ関係で嫌がらせをしにきていたのかと思っていたが、どうやら違うらしい。
「それならいっそ家出しちゃう?」
『(え?)』
「は?あいつの家に泊まる?」
その日の夜、夕飯を食べているときに今日クロエに出会ったことは伏せて、しばらくの間アミの家に泊まるということを全員に報告した。
《うん、その間当番とかできなくなっちゃうんだけどいいかな?》
「おれは別に構わねぇよ」
「おれも
友だちの家に泊まりなんていいじゃねぇか」
「わしは家事が疎かにならんのならどうでもよい」
「……おれも」
《ありがとう》
ペンギンとシャチとヴォルフは快諾してくれ、事情を知っているベポは俯きながら渋々了承した。
「おれも別に…あいつのところなら…」
《ありがとう、じゃあ明日から行ってくるね》
なぜ急にそんなことを言い出したのかわからないローだったが、誰も反対せず、行き先もアミの場所であれば大丈夫だろうと、疑問を残したままだったが承諾をした。
「なにしてんだ?」
『(ベポ…)』
クロエの手を掴んで止めたのは、たまたま近くを通りかかったベポだった。
昼食中なのか串焼きをもぐもぐと口に詰めながら、不思議そうな顔をしている。
「何この白クマ!!
汚い手であたしに触らないでよ!!」
「すいません…」
打たれ弱いベポはすんなりとクロエから手を離して、落ち込んでいる。
「な、なによ」
ベポを汚いものと言い、手を振り払ったクロエに、恋歌が怒った表情で、ノートを突き付けた。
ノートの字を見れば、なぐり書きで?ベポに謝って?と書いてある。
「はぁ?
汚いものを汚いと言ってなにが悪いの?」
たしかにいまのベポは工事現場で仕事中だからなのか、少し薄汚れている。
しかしそれは仕事を頑張っているからであり、今クロエに触ったのは恋歌を守るため。
それで汚いから触るなとは酷い言い草だと、恋歌はその発言が許せなかった。
「恋歌…別にいいよ」
《よくない
ベポは汚くなんかないんだから》
「はっ、なに言ってるのかわからないけど、言いたいことがあるなら声に出して言いなさいよ」
「あんたねぇ…」
やれるもんならやってみろと恋歌に喧嘩を売っているが、恋歌はそれを買うことはできない。
アミは呆れたようにため息をついているが、もう相手にしない方がいいとわかっているため、恋歌の手を引く。
「ロー先生の事も言いたいことがあるなら声に出して言いなさい
首を横に振ることしかできないくせに、あたしと先生の仲を引き裂かないで」
『(声に…出せるものなら…出してるよ…)』
「今からロー先生の診察だから行くわ
あんたはちゃんとあの家を出る準備をしなさい」
「え!?恋歌出て行っちゃうの!?」
得意げな顔で去っていくクロエの言葉に、ベポがおろおろしている。
「白クマくん落ち着きなさい
恋歌も、あんな奴の言うこと気にしなくていいのよ?」
《でも…ほんとにローがあの子を選ぶなら、わたしが邪魔なのは事実だし…》
「んー…ローがねぇ…
(どう考えても恋歌よりあいつを選ぶとは思えないけど…)」
この3年間一緒の家に住んでいる5人の関係を見てきて、ローが恋歌以外の女を大事にしているのを見たことがない。
もちろん医者という立場上、患者にはぶっきらぼうながらに優しいが、恋歌への接し方とは違う。
しかしそれは当人たちはわかっておらず、第三者から言うことでもないと思って、口出しはしていなかったが、落ち込んでいる恋歌を見て、言った方がいいのではと思い始めた。
「うーん…ていうかあいつ、今回恋歌に絡んできたのはコンテストのことじゃなくて、ローのことでちょっかいかけてきてたのね」
コンテストが近いため、てっきりそれ関係で嫌がらせをしにきていたのかと思っていたが、どうやら違うらしい。
「それならいっそ家出しちゃう?」
『(え?)』
「は?あいつの家に泊まる?」
その日の夜、夕飯を食べているときに今日クロエに出会ったことは伏せて、しばらくの間アミの家に泊まるということを全員に報告した。
《うん、その間当番とかできなくなっちゃうんだけどいいかな?》
「おれは別に構わねぇよ」
「おれも
友だちの家に泊まりなんていいじゃねぇか」
「わしは家事が疎かにならんのならどうでもよい」
「……おれも」
《ありがとう》
ペンギンとシャチとヴォルフは快諾してくれ、事情を知っているベポは俯きながら渋々了承した。
「おれも別に…あいつのところなら…」
《ありがとう、じゃあ明日から行ってくるね》
なぜ急にそんなことを言い出したのかわからないローだったが、誰も反対せず、行き先もアミの場所であれば大丈夫だろうと、疑問を残したままだったが承諾をした。