次の日からは危険性の高い1週間は戦力を分散しない方がいいと、外での販売は止め、店だけの営業をすることになった。

「おまたせしました！」

「…ああ、悪いな」

「キャプテン、顔が怖いよ」

「……」

１週間店に滞在する事になったローゼとメアリは、滞在している間店を手伝ってくれる事になった。

今メアリがソファ席で勉強をしているローとウィリアムにラン特製のクッキーを持っていったのだが、受け取ったローの表情は小さい子どもが怖がりそうなほど眉間に皺が寄っている。

「お兄ちゃんのその本を読んだらわたしも怪我を治せるようになる？」

「…そうだな」

「ふーん…」

ソファ席によじ登ってローの横からローとウィリアムが広げている本を覗き込んで、使っていない医学書を広げているがメアリには難しいようで首を傾げている。

「なんて書いてるの？」

「…これは難しい本だ

こっちにしとけ」

分厚い本を広げて話しかけてくるメアリに、別の本を渡してやるとローの横に座って渡された本を開いた。

「…あの子、邪魔でしょ

連れてくるわ」

「あー、いいよいいよ」

今度は黙って本を読んでいるメアリをローゼが連れてこようとしたが、シャチがローゼを止めた。

「キャプテンが何も言わないってことはいいってことなんだ」

「ウィリアムもメアリちゃんなら大丈夫よ」

「…ありがとう」

勉強の邪魔だと思えば、あの２人は遠慮せずに言うはずだとわかっている人たちに止められ、ローゼは申し訳なさそうに笑って連れ戻す事をやめた。

「キャプテンの傍にいるのが一番安全だからメアリの事は気にすんな

それよりローゼは能力を使えるように特訓するぞ」

「そ、そうね」

いくらローゼが一般人だとしても、自分の能力を使いこなせないまま生活を続けるのは危険だと、ここにいる間は特訓をしたほうがいいというローの助言で能力を使いこなすための特訓をすることにした。

「とは言ってもおれたちは悪魔の実の能力者じゃないから発動方法とかはわかんないんだけど…」

「…発動の仕方はわかるの

けど、聞きたい場所が指定できるわけじゃないし…聞きたい事を聞けるわけじゃないの」

「まぁ取り敢えず発動の仕方がわかるならコントロールを身に付けるのが先決だな」

聞きたいことを聞いて、聞きたくない事を聞かないようにするには、コントロールの仕方を覚えるしかない。

ローゼの特訓にはシャチとベポが手助けをしてくれ、恋歌とランの2人はゆったりと店の事に取り掛かる事にした。

ペンギンはローゼの言う事が本当かどうか、詳しい事がわからないかを調べに外に行っている。

「お兄ちゃん、これはー？」

「…これは熱が出たときに使う薬草だ

んでこっちは…」

「ふふ、ローくんはいいお兄ちゃんって感じね」

メアリの質問に嫌な顔ひとつせずちゃんと説明をしている姿を見て、恋歌とランは目を見合わせて笑い合う。

いつもより人数は少ないが、ちらほらと訪れる客を恋歌とランで対応し、穏やかな時間が店内に流れ、閉店時間間際にペンギンが戻って来た事で閉店することにした。