海賊としては海軍を頼る事はできない上に頼りたくもない。

「そうだ

恋歌、占いで大体の日付わからないか？」

『…やってみる』

占いは確率の話なので正確とは言えないが、星の魔女の恋歌の占いは他の人間がするより確率は高い。

魔方陣の中からホロスコープを取り出し机の上に置いたが、何の情報を元に占いをしようかと悩んだ。

『(うーん、取り敢えずこの島に危険が及ぶ可能性が一番高い日を…)』

恋歌がホロスコープに魔力を注ぎ込めば、中の星たちが回りはじめ数秒後にぴたっと止まった。

今度は魔方陣の中から紙とペンを取り出し、結果を紙に書いていく。

「星の魔女の占いはこうやってするんだな」

「え、ランは違うの？」

「ああ、ランは植物を使った占いをする」

「それも見てみたいなー」

「取り敢えず今は恋歌の占いの結果だ

なにかわかりそうか？」

『えっと…ざっくりとしか、わからなかったけど…』

占いの結果を書いた紙をローに渡すと、他の３人も後ろから覗き込んでくる。

「え…」

「まじか…」

恋歌の占い結果を見てペンギンとシャチは顔を見合わせた。

「結果はどうなんだ」

「１週間以内の危険度が一番高いらしい」

『あくまでも確率で…正確な日までは、わからないんだけど…』

「いや、これでも充分だ」

紙を机の上に置いたローは何かを考えるように腕を組むと、仲間たちの視線が集まる。






「これから１週間ローゼとメアリちゃんをここに？」

「ああ」

風呂から戻ってきたランはウィリアムからローゼとメアリを１週間家に泊めると伝えられ、不思議そうに首を傾げている。

「別に構わないけど…

急にどうして…？」

「さっきのあんたたちの話、詳しく聞かせてもらった」

「…そう」

「恋歌の占いでこれから１週間、この島の危険度が高いってのがわかった

おれたちがここにいる以上、この島において一番安全な場所はここだ」

「それは…そうね…」

そのローの言葉で納得したランは、２人がこの店に滞在する事に同意した。

「てことはおれたちも無暗に外に出ない方がいいって事？」

「…１週間しか猶予がねぇなら偵察もあまり意味がねぇしな」

既に計画が完成しており、後は時期を待つだけということであれば、今から偵察をしたところで大した手がかりが見つかるとも思えない。

「でもどんな海賊が来るかわからないから不安だよね…」

『規模とか、わからないしね…』

ハートの海賊団は総勢5人。

それに対して相手の海賊はどれだけの規模かわからず、いつ襲撃されるともわからないこの状況は不利に感じる。

「そんなに不安そうな顔するんじゃねぇよ

おれたちは人数だけの海賊には負けねぇ」

「「「……」」」

”そうだろ？”と仲間たちの力を信じているローは、自信に満ちた視線を伏せて冷めた紅茶を飲み干した。

「海軍なんざ必要ねぇ

海賊が来たらおれたちが退ける、いいな」

『頑張る！』

「「「アイアイ、キャプテン！！」」」

大きな声で返事をしたハートの海賊団に、ランは安心したように笑ってローゼのいる２階に向かった。