出会いから出航まで
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家に戻ると、先に帰っていたベポとシャチが、夕飯の支度をしているところだった。
「あ!おかえりー」
「おかえり」
《ただいま》
2人にただいまと言ってもらい、帰ってきたんだと実感が湧く。
「恋歌、今日なんか変なやつに絡まれたって聞いたけど大丈夫なのか?」
「あ、それ俺も聞いた」
小さな島の噂は回るのが早いようで、お昼時にあった出来事なのに、もうみんなが知っていた。
《大丈夫だよ
ローに助けてもらったしね》
「胸を鷲掴みにされたらしいぞ」
「え!?痛そう…大丈夫?」
「俺も聞いたー
羨ましい…」
「ああ、俺もそれは思ってた」
《シャチ…ペンギン…何言ってるの…》
心配してくれるベポとは違って、シャチとペンギンがため息をついて羨ましいと呟いている。
「まぁその話は置いといて
さっきの話の続きだけど、たぶんこれから祭りまでの2週間は、ちょっかいかけられると思うぜ?」
《わたしそのコンテストでないのに?》
「当日まで受付はできるしな
あ、そうだ、これも聞いた話なんだけどよ」
夕食の準備を手伝いながら、思い出したようにペンギンがにやついた。
「その女の子、ローさんのこと好きらしい」
『(え…)』
「まじか!!
まぁローさんかっこいいもんなー」
わいわいと盛り上がるペンギンとシャチの言葉はあまり耳に入ってこなくなった。
『(好き…?
あの子が…ローを…?)』
「おれもローさん好きだぞ」
「そういうんじゃねぇよ
そりゃおれたちだってローさんのこと好きだけどさ、その子のはまた違うんだ」
「羨ましいよなー
おれも女の子から好かれてー!」
『(なに…それ…)』
今日2人で診療所に帰っていった姿がフラッシュバックし、睨まれた理由も、ローから引き剥がされた理由も、全て納得した。
『(これって…
ローがあの子を選べば…もう…一緒にいられないの…?)』
「恋歌?どうした?
顔色悪いぞ?」
「わ、ほんとだ!
ローさんもう直ぐ帰って来るから診てもらえよ」
ぐるぐると答えの出ないことを自分の頭で考えて、最悪の結果を想像し、顔から血の気がひいてしまったらしく、みんなに心配される。
夕飯の準備はいいからと、ソファに座らされ、念の為と布団にくるんでくれた。
「なんじゃ恋歌のやつは、また風邪でもひいたか」
ローより先に帰ってきたヴォルフが、3人からこうなった理由を聞き、なんとなくわかったようで、口を出すことではないと恋歌に声をかけることなく椅子に座った。
「戻った…ぞ…
なんだこの空気…」
恋歌に元気がないため、どよーんとした雰囲気になっている。
ヴォルフは何か考え事をしているようで、ひとりで難しい顔をしている。
「恋歌が体調悪そうなんだ」
「恋歌が?」
今日町で会った時は元気そうだったのにと、ソファに座る恋歌の前にしゃがみ、手を握ってやるとぴくりと反応した。
「(たしかに顔色は悪いな…
魔力不足ならこれで少しはマシになるはずだが…)」
『(あったかい…?)
!!』
「…は?」
飛ばしていた意識を戻し、手を握ってくれているのがローだとわかると、驚いた顔をしてローの手を振り払って勢いよく立ち上がった。
ぽかんとしているローを見て、自分がなにをしてしまったかを理解した。
「恋歌」
頭の中がぐちゃぐちゃになったため、逃げるために後退りすると、ヴォルフの静かな声に呼び止められた。
「ここに来た時に約束したこと覚えとるじゃろうな」
『(約束…)』
「忘れたとは言わさんぞ
恋歌が自分で決めたことじゃ」
ぎゅっと布団を握りしめて俯く恋歌の表情がわからない上に、2人の約束がなんなのかわからないのでどう声をかけるべきかと2人を交互に見る。
しばらくの沈黙の後、恋歌が小さく頷いたので、この話は終わりだとヴォルフが言い、微妙な空気のまま夕食が始まった。
「あ!おかえりー」
「おかえり」
《ただいま》
2人にただいまと言ってもらい、帰ってきたんだと実感が湧く。
「恋歌、今日なんか変なやつに絡まれたって聞いたけど大丈夫なのか?」
「あ、それ俺も聞いた」
小さな島の噂は回るのが早いようで、お昼時にあった出来事なのに、もうみんなが知っていた。
《大丈夫だよ
ローに助けてもらったしね》
「胸を鷲掴みにされたらしいぞ」
「え!?痛そう…大丈夫?」
「俺も聞いたー
羨ましい…」
「ああ、俺もそれは思ってた」
《シャチ…ペンギン…何言ってるの…》
心配してくれるベポとは違って、シャチとペンギンがため息をついて羨ましいと呟いている。
「まぁその話は置いといて
さっきの話の続きだけど、たぶんこれから祭りまでの2週間は、ちょっかいかけられると思うぜ?」
《わたしそのコンテストでないのに?》
「当日まで受付はできるしな
あ、そうだ、これも聞いた話なんだけどよ」
夕食の準備を手伝いながら、思い出したようにペンギンがにやついた。
「その女の子、ローさんのこと好きらしい」
『(え…)』
「まじか!!
まぁローさんかっこいいもんなー」
わいわいと盛り上がるペンギンとシャチの言葉はあまり耳に入ってこなくなった。
『(好き…?
あの子が…ローを…?)』
「おれもローさん好きだぞ」
「そういうんじゃねぇよ
そりゃおれたちだってローさんのこと好きだけどさ、その子のはまた違うんだ」
「羨ましいよなー
おれも女の子から好かれてー!」
『(なに…それ…)』
今日2人で診療所に帰っていった姿がフラッシュバックし、睨まれた理由も、ローから引き剥がされた理由も、全て納得した。
『(これって…
ローがあの子を選べば…もう…一緒にいられないの…?)』
「恋歌?どうした?
顔色悪いぞ?」
「わ、ほんとだ!
ローさんもう直ぐ帰って来るから診てもらえよ」
ぐるぐると答えの出ないことを自分の頭で考えて、最悪の結果を想像し、顔から血の気がひいてしまったらしく、みんなに心配される。
夕飯の準備はいいからと、ソファに座らされ、念の為と布団にくるんでくれた。
「なんじゃ恋歌のやつは、また風邪でもひいたか」
ローより先に帰ってきたヴォルフが、3人からこうなった理由を聞き、なんとなくわかったようで、口を出すことではないと恋歌に声をかけることなく椅子に座った。
「戻った…ぞ…
なんだこの空気…」
恋歌に元気がないため、どよーんとした雰囲気になっている。
ヴォルフは何か考え事をしているようで、ひとりで難しい顔をしている。
「恋歌が体調悪そうなんだ」
「恋歌が?」
今日町で会った時は元気そうだったのにと、ソファに座る恋歌の前にしゃがみ、手を握ってやるとぴくりと反応した。
「(たしかに顔色は悪いな…
魔力不足ならこれで少しはマシになるはずだが…)」
『(あったかい…?)
!!』
「…は?」
飛ばしていた意識を戻し、手を握ってくれているのがローだとわかると、驚いた顔をしてローの手を振り払って勢いよく立ち上がった。
ぽかんとしているローを見て、自分がなにをしてしまったかを理解した。
「恋歌」
頭の中がぐちゃぐちゃになったため、逃げるために後退りすると、ヴォルフの静かな声に呼び止められた。
「ここに来た時に約束したこと覚えとるじゃろうな」
『(約束…)』
「忘れたとは言わさんぞ
恋歌が自分で決めたことじゃ」
ぎゅっと布団を握りしめて俯く恋歌の表情がわからない上に、2人の約束がなんなのかわからないのでどう声をかけるべきかと2人を交互に見る。
しばらくの沈黙の後、恋歌が小さく頷いたので、この話は終わりだとヴォルフが言い、微妙な空気のまま夕食が始まった。