ペンギンは昨日調査した内容をランにすべて説明し、解決策もすべて話したが、ランは最後まで黙って聞いた後首を横に振った。

「いろいろ調べてくれてありがとう

でもね、いいのよこのままで」

「それはどうして？」

ベポが不思議そうに首を傾げると、ランは”そうね”と言いながら恋歌に視線を向けた。

「恋歌ちゃんなら、わかるわよね？」

「「「え？」」」

『……』

話しをふられた恋歌はどう答えればいいのかわからず、紙に字を書く事が出来ない。

「どういうことだ？」

「恋歌もこの作戦、いいって…」

恋歌も昨日ペンギンの作戦を聞いて賛成をしてくれたはず。

なぜこの店にお客が来ないのかを調べて欲しいと言ってきたのも恋歌だ。

それなのに理由をわかっていそうな雰囲気に、３人がついていけていない。

「さて、そろそろ昼食の時間ね

準備しましょ」

ペンギンの話を聞いている間に昼食の時間になり、誰も納得ができないまま昼食の準備をはじめた。

そしていつも通りの時間にローとウィリアムが下りてきて、いつも通りに昼食を食べ始める。

「どういう事なんだろうな」

「うん…

恋歌も変な顔してるし…」

４人がけのソファ席でロー、恋歌、ウィリアム、ランの４人、他の３人はもう一つのソファ席に座っている。

「で、どうだ

今日こんなに大勢で押しかけて来たって事は、何か収穫があったって事か？」

ランの料理を咀嚼しながらちらりとローにウィリアムが視線を向けると、ローはちらりと横に座る恋歌を見た。

「…それはこいつらに聞け」

船を出る前には意気揚々としていた３人が今は静まり返っている。

それに何かあったのだろうと察し、ローから余計な事をいう事はしない。

「…じゃあお嬢さん

なにか収穫はあったか？」

ローから視線を恋歌に移したウィリアムは、恋歌の返答を待つ。

「あなた、恋歌ちゃんは話せないのよ」

「ああ、そうだったな

食事が終わってからでいい」

だがランに言われて恋歌が話せないという事を思い出し、視線を逸らして食事を続ける。

「…？

恋歌？」

横に座る恋歌が急に自分の手を握ってきたことに驚いたローだったが食事の手を止め、胸に、正しくは紋章の近くに手を置いて息をはいた恋歌の手をすぐに握り返した。

『…あります』

「…は？」

『このお店に、人を来させる、方法』

恋歌が話した事、声が今まで聞いた事もないほど綺麗な事に驚いたウィリアムは、持っていたフォークを落した。

「あ、あんた…まさか…」

落としたフォークを拾う事はせず、横に座るランにゆっくりと顔を向けたウィリアムは、困ったように笑うランに自分の中での仮説が確証を得た。

『ランさん、わかって、ましたよね

わたしが、話せること』

「…ええ、まさか生きて星の魔女に会えるなんて思わなかったわ」

「「「！！」」」

そのランの言葉にがたっ、と勢いよく席を立った３人だったが、ローに視線を向けられ動きを止めた。