しばらく潜水での航海が続き、そろそろ食糧調達に上陸しようとペンギンがベポに相談し、近くの島の情報を持ってベポが船長室の扉を開いた。

「キャプテン、次の島の事で話があるんだけど、いい？」

「ああ」

１人で部屋に籠って医学書を読んでいたローは、ベポの訪問に読んでいた医学書を一度机に置いた。

「距離的にはここか、ここがいいかなって」

「……」

「？

キャプテン？」

ベポに渡された地図を見ると、何かに驚いた顔をして勢いよく椅子から立ち上がり、本棚にある１冊の本を手に取った。

様子のおかしいローに、ベポがおろおろしているが、それを助けてくれる者は誰もいない。

「…次の島は、」





「天才外科医？」

「その人が次の島にいるって？」

夕食時にベポが全員に次に上陸する島がどんなところなのか説明し、ローが次の島の選択肢が複数あったにもかかわらず、選んだ理由も付け加える。

「ああ、おれの部屋にある医学書も、何冊かはその島にいる医師が書いてる

そいつに一目会ってみたくてな」

「へぇー、キャプテンが会いたいって思う医者かー」

「すげー医者なんだろうな」

ローも医者として、同じ職業の有名人には興味があるらしい。

特に異議を申し立てる理由もないので、すんなりと次に上陸する島は決まった。





そして数日後、無事に目的の島に辿り着き、ローは島に着いた直後、ふらっと１人で出かけて行った。

「ったく、一声ぐらいかけていけばいいのに…」

「まぁ今回は行先がわかってるだけマシだろ」

誰にも何も言わず出て行ったローに小言の一つでも言ってやろうかと思ったが、何度言っても治りそうにはない。

「じゃあおれたち買い出し言ってくるから、留守番頼むな」

『うん、気を付けてね』

今日はシャチとベポが２人で上陸して、買い出しをしてくることになっている。

恋歌とペンギンは留守番で、比較的温かい気温の島なので、この機会に大きなものも干してしまおうと、大量の洗濯物を持って甲板に出てきた。

「よし、じゃあ全部真っ白にするぞ！！」

『おー』

袖を捲って気合いを入れているペンギンの声に合わせて、恋歌も拳を掲げる。

「頼んだ」

『うん

【アクエリアス】』

ペンギンが用意した桶いっぱいの綺麗な水を操り、いつも通り洗濯を始めた。