絡まれ疲れたのか仰向けに寝転んだままため息をついたローだったが、恋歌に酒を注がれてでれでれとしている部下たちを見て、手元の酒を飲み干して酒の入ったビンを恋歌に手渡した。

「ん」

ずいっとグラスを目の前に差し出され、また嬉しそうに笑った恋歌は、ローのグラスにも酒を注いでやる。

「あんま飲み過ぎんなよ」

『うん』

恋歌の飲んでいるものが度数が低いとはいえ酒である事に気づき、こんな全員がいる場所でいつものような酔い方をされてはまずいと一応釘をさしておく。

「ねぇねぇ恋歌」

次は何をしようかと手元にあるゲームを探っていると、ベポが声をかけてきたので顔を上げた。

「おれヴォルフが作ってくれた”あれ”久しぶりに見たいな」

『うん、わたしも、久しぶりに使いたい』

ベポが言った”あれ”が何かわかった恋歌は、それを使ってもいいか他の３人に確認すると、快く承諾してくれ準備をするために恋歌とベポが恋歌の部屋に向かった。

しばらくしてベポが機械を抱えて戻って来ると、ヴォルフが船出の時に紛れ込ませていた”きらきら星空くん5号”を真ん中に置いた。

そのままスイッチを押すと機械から光が溢れだし、天井や壁に星空が映し出される。

だが、室内灯が点いているため綺麗に見えない。

「電気消そうよ！」

「そうだな

じゃあみんな布団入れよー」

そろそろ深夜と呼ばれる時間帯となっており、でろでろに酔っぱらったシャチはすぐに布団に入り、ペンギンがスイッチの前に立つ。

ローもグラスに入っていた酒を飲み干し、布団をかぶると恋歌とベポもそれぞれ自分の布団にもぐりこんだ。

それを確認したペンギンがぱちん、と電気を消すと部屋の中に星空が広がった。

「わぁ…！やっぱりすごいね！！」

『うん』

「いって！ペンギンそれおれの足！！」

「あ、悪い」

ベポが久しぶりに見たヴォルフが恋歌の為に作った星空に感嘆の声を漏らすと、恋歌の嬉しそうな声が返ってきた。

シャチがペンギンに足を踏まれたようで抗議の声を上げたが、ペンギンは気にした様子もなく軽く謝罪をして自分の布団にもぐりこんだ。

「あ、そうだ

恋歌」

『なに？』

星空を見上げながらシャチが呟いた声に恋歌が顔を向けて返すと、くるんと布団の上で身体の向きを変え、枕を抱きながらうつ伏せになった。

「星のこと教えてくれよ」

「あ、それいい！」

「恋歌の声で星の説明してもらえるなんて贅沢だなー」

シャチの提案にペンギンとベポも賛成し、ローも何も言わないが視線を向けてきた。

『うん、わたしで良ければ

じゃあ…あそこにあるのが、シャチとペンギンの、誕生日の星座で…』

説明をする星座の近くに魔方陣を発動させ、星座をなぞったりしながら全員に分かり易い様に説明をしていく。

ゆっくり話す恋歌の言葉を急かすことなく、心地の良い星をも魅了する声を聞きながらまったりとした時間を過ごした。