食堂に入ればいつもと変わらない笑顔でシャチとペンギンが席に座っていた。

「お、おはよー」

『おはよう』

待っていてくれた２人に礼を言いながら全員が自分の席に座り、ローが一番初めに食事に手を付けはじめ、それに続いて他の4人も箸を手に取る。

「あ、それ取って」

「ほいよ」

「おれにもそれ貸して」

「ほい、キャプテンもいる？」

「ああ

お前も使うだろ」

『あ、うん』

調味料を順番に回して最後に恋歌が受け取り、それを使った後口の中にペンギンの作ってくれたご飯を放り込めば、昔から舌に馴染んだ味が口の中に広がった。

『…やっぱり、』

「「「ん？」」」

ぽつりと小さな声で呟いた恋歌の声を全員が拾い、箸を止めて恋歌の方を見れば、口元を緩ませて幸せそうな顔をしている。

『ペンギンのご飯を、みんなと食べるのが、一番美味しい…』

その表情を見てローも同じく口元に笑みを浮かべたが、何も言う事なく黙々と食事を続け、他の３人は顔を見合わせてにっこりと笑った。

「そう言ってもらえて嬉しいよ」

「おれもみんなと食べるの好き！」

「これやるよ！」

『ありがと』

嬉しそうに笑うペンギンに頭を撫でられ、ベポとシャチからはおかずを分けてもらえた。

「いっぱい食べろよ

何だって作ってやる」

『うん、ありがとう』

城で出されていた食事はペンギンが作ってくれる物より豪華で、食材も良い物だったが、今食べている食事の方が数倍も美味しく感じる。

一瞬泣きそうになったが、笑顔で話しかけてくれる仲間たちに自然と涙が引いていく。

珍しくおかわりをした恋歌に機嫌のよくなったペンギンが、朝食が終わった後恋歌の好物を買いに島に飛び出していった。





朝食後は出航前にローとベポは進路の確認の為に船長室へ、シャチは艦内整備の為に艦内を走り回っている。

恋歌は今日１日ゆっくりしていろとローに言われ、１人食堂に残って自分の淹れた紅茶を飲みながら本を読んでいるが、内容は全然頭に入ってこない。

「そんな顔するくらいならクソガキのところに行けばいいだろ」

一緒に残ってくれたシリウスが、恋歌の表情を見てぴょん、と胸に飛び込んできた。

ふわふわの毛並を撫でていると肉球でぷにぷにと頬に触れてくる。

『…どんな顔してる？』

「…寂しい、って顔だな」

もうそんな表情をしているつもりはなかったが、朝食が楽しかった分急に寂しさが押し寄せてきたらしい。

『情けない、よね…

わたし…みんなに心配を、かけてばっかりだし…』

「恋歌が気にする必要はないだろ

心配かけて何が悪い

それにあいつらは恋歌に寂しいと言ってもらえるのを待ってると思うぞ」

自信満々な顔をしているシリウスの言葉は恋歌には信じられず首を横に振ったが、ダメ元で誰かに言ってみろと言われたので、誰かが食堂に来たら言ってみろと言われ渋々頷いた。