美しい女
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一度部屋に戻って着替えをして、腫れた目を冷やすために洗面台で顔を洗い、ローの部屋に戻れば3人が難しい顔をして机の上を覗きこんでいた。
「なにしてるの?」
頭一つ分以上背の高いベポが上から覗き込むと、机の上には透明な液体が入っている小さなビンが置かれていた。
「恋歌、ちょっとここに座れ」
ローに呼ばれて目の前にある丸椅子に腰かけると、”ROOM”と言って技が発動した。
『…?』
「…少し目を閉じてろ
すぐに終わる」
素直に目を閉じた恋歌は何をされているのはわからないが、目を開けていいと言われるまで動かずに目を伏せていた。
「もういいぞ」
数分して目を開ければ、少し身体が軽くなったような気がして、何をされたのだろうと首を傾げる。
「身体に残ってた薬を全部取り除いた
気分が悪いとか、痛い場所はねぇか」
『うん、大丈夫』
笑って返事をすれば、そうかとローも少し安心したように笑う。
机に向かって何かを書き始めたローをぼーっと眺めていると、とんとん、と肩を叩かれた。
「恋歌、ちょっとこっち」
シャチに手を引かれてソファに座るように促され、ソファに腰を下ろせばシャチがまだ少し赤い恋歌の目元に軽く触れた。
「これ目元に当てときな」
コットンに化粧水を染み込ませたものを目元に置かれ、その少し冷たい感覚が気持ちよく、コットンが落ちないように顔を上に向けた。
「そういえばシリウスは怪我はないの?」
「ん?ああ
おれはずっと魔方陣の中にいたからな」
頭の上にいるシリウスにベポが声をかけると、ぐでっとしていたシリウスが、欠伸をしながら平気だと答えた。
「そうそう、捕まってた女の子たちが恋歌の事を心配してたよ」
『わたしの事を…?』
ペンギンが思い出したように恋歌に声をかければ、顔を少しペンギンの声のする方に向けた。
「最初は何が起こったかわかってなかったみたいだけど、フィーリって子が恋歌の事を女の子たちに説明してくれたらしくてな
恋歌が自分たちを助けてくれたってわかって、おれたちが城から出てきたら無事なのかって詰め寄られたんだよ」
「後でみんなのところに顔出してやれよ」
『…うん』
魔方陣を描くことを手伝ってもらったにもかかわらず、安心させる言葉をかけることもできず、最後には怖い思いをさせた。
恋歌より長期間捕らえられていた少女たちは、いつ助けが来るかも、いつ殺されるかもわからない中、恋歌の出現により殺されるかもしれないと、余計な恐怖も与えてしまったはず。
元々魔法の内容を伝えるつもりもなく、理解してもらえるとも思っておらず、助ける事だけを優先した。
「さ、元気な姿を見せに行こう」
冷たかったコットンの温度が自分の体温で温かくなった頃、シャチの手によって目の上から外され、何度か目を瞬かせると目の前にはいつものように笑ってくれる仲間がいた。
それにまた目に涙の膜が張ってしまい、一番近くにいたシャチが笑って頭を撫でてくれた。
「無理しなくていい
今日はずっとおれたちも、キャプテンも、傍にいるからな」
『うん…』
涙を耐えて笑う恋歌に、シャチがどこからか化粧道具を取り出して、いつもより丁寧に化粧をし髪を整えてやる。
「うん、いつもの最高に可愛い恋歌だ」
「いや、日増しに可愛くなってるからいつもより可愛いだろ」
「それはたしかに」
『ありがとう』
「あ、そうだ
これも」
シャチがポケットから出したのは、仲間たちとお揃いのジョリーロジャーのネックレス。
ないと気づいたのは攫われてからしばらくしてからだった。
ネックレスをシャチにつけてもらい、可愛いと、いつものように褒めてくれるシャチ、ペンギン、ベポに笑って返せば、目の前に手が差し出された。
「行くぞ」
差し出されたローの手に自分の手を重ね、ふわりと立たされて腰に手が回される。
「あいつらの様子も気になってるんだろ?」
恋歌が助け出した少女たちの事を気にしないわけがないと全員がわかっていた。
本当ならこのまま船の中にいて、怖い思いをしたのであればとことん甘やかしてやりたいと思う。
けれど、恋歌が優しいのも知っている。
「無理だと思えばすぐに言え」
『ありがとう』
故郷の村の仲間や家族を殺されたのも目の前で、関係ない人物とはいえ、自分の所為で死なせてしまったと思っているのであれば、心の傷は簡単には消えないだろう。
”目の前で誰かが殺されること”。
それは恋歌にとって一番深い傷。
泣いた事と仲間が近くにいる事で何とか笑ってはいるが、いつもより笑顔が弱々しい事に全員が気づいている。
その笑顔がこれ以上なくならないようにと、自分たちはいつも通りの笑顔を向けて、恋歌を先導するように歩いた。
「なにしてるの?」
頭一つ分以上背の高いベポが上から覗き込むと、机の上には透明な液体が入っている小さなビンが置かれていた。
「恋歌、ちょっとここに座れ」
ローに呼ばれて目の前にある丸椅子に腰かけると、”ROOM”と言って技が発動した。
『…?』
「…少し目を閉じてろ
すぐに終わる」
素直に目を閉じた恋歌は何をされているのはわからないが、目を開けていいと言われるまで動かずに目を伏せていた。
「もういいぞ」
数分して目を開ければ、少し身体が軽くなったような気がして、何をされたのだろうと首を傾げる。
「身体に残ってた薬を全部取り除いた
気分が悪いとか、痛い場所はねぇか」
『うん、大丈夫』
笑って返事をすれば、そうかとローも少し安心したように笑う。
机に向かって何かを書き始めたローをぼーっと眺めていると、とんとん、と肩を叩かれた。
「恋歌、ちょっとこっち」
シャチに手を引かれてソファに座るように促され、ソファに腰を下ろせばシャチがまだ少し赤い恋歌の目元に軽く触れた。
「これ目元に当てときな」
コットンに化粧水を染み込ませたものを目元に置かれ、その少し冷たい感覚が気持ちよく、コットンが落ちないように顔を上に向けた。
「そういえばシリウスは怪我はないの?」
「ん?ああ
おれはずっと魔方陣の中にいたからな」
頭の上にいるシリウスにベポが声をかけると、ぐでっとしていたシリウスが、欠伸をしながら平気だと答えた。
「そうそう、捕まってた女の子たちが恋歌の事を心配してたよ」
『わたしの事を…?』
ペンギンが思い出したように恋歌に声をかければ、顔を少しペンギンの声のする方に向けた。
「最初は何が起こったかわかってなかったみたいだけど、フィーリって子が恋歌の事を女の子たちに説明してくれたらしくてな
恋歌が自分たちを助けてくれたってわかって、おれたちが城から出てきたら無事なのかって詰め寄られたんだよ」
「後でみんなのところに顔出してやれよ」
『…うん』
魔方陣を描くことを手伝ってもらったにもかかわらず、安心させる言葉をかけることもできず、最後には怖い思いをさせた。
恋歌より長期間捕らえられていた少女たちは、いつ助けが来るかも、いつ殺されるかもわからない中、恋歌の出現により殺されるかもしれないと、余計な恐怖も与えてしまったはず。
元々魔法の内容を伝えるつもりもなく、理解してもらえるとも思っておらず、助ける事だけを優先した。
「さ、元気な姿を見せに行こう」
冷たかったコットンの温度が自分の体温で温かくなった頃、シャチの手によって目の上から外され、何度か目を瞬かせると目の前にはいつものように笑ってくれる仲間がいた。
それにまた目に涙の膜が張ってしまい、一番近くにいたシャチが笑って頭を撫でてくれた。
「無理しなくていい
今日はずっとおれたちも、キャプテンも、傍にいるからな」
『うん…』
涙を耐えて笑う恋歌に、シャチがどこからか化粧道具を取り出して、いつもより丁寧に化粧をし髪を整えてやる。
「うん、いつもの最高に可愛い恋歌だ」
「いや、日増しに可愛くなってるからいつもより可愛いだろ」
「それはたしかに」
『ありがとう』
「あ、そうだ
これも」
シャチがポケットから出したのは、仲間たちとお揃いのジョリーロジャーのネックレス。
ないと気づいたのは攫われてからしばらくしてからだった。
ネックレスをシャチにつけてもらい、可愛いと、いつものように褒めてくれるシャチ、ペンギン、ベポに笑って返せば、目の前に手が差し出された。
「行くぞ」
差し出されたローの手に自分の手を重ね、ふわりと立たされて腰に手が回される。
「あいつらの様子も気になってるんだろ?」
恋歌が助け出した少女たちの事を気にしないわけがないと全員がわかっていた。
本当ならこのまま船の中にいて、怖い思いをしたのであればとことん甘やかしてやりたいと思う。
けれど、恋歌が優しいのも知っている。
「無理だと思えばすぐに言え」
『ありがとう』
故郷の村の仲間や家族を殺されたのも目の前で、関係ない人物とはいえ、自分の所為で死なせてしまったと思っているのであれば、心の傷は簡単には消えないだろう。
”目の前で誰かが殺されること”。
それは恋歌にとって一番深い傷。
泣いた事と仲間が近くにいる事で何とか笑ってはいるが、いつもより笑顔が弱々しい事に全員が気づいている。
その笑顔がこれ以上なくならないようにと、自分たちはいつも通りの笑顔を向けて、恋歌を先導するように歩いた。