美しい女
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船に戻ってきたローは恋歌を診察する為に、ベポに抱えている恋歌をローの部屋のベッドに降ろすように指示したが、なぜか恋歌がベポから離れずベポが困った顔をしている。
「恋歌、キャプテンにちゃんと診てもらおう?」
眠っているのか寝ぼけているのかわからないが、ベポのつなぎを握ったまま頑なに離れようとしない。
「好きにさせてやれ
このまま診る
魔力不足じゃなさそうだしな」
ローの能力であればベポに抱えられていても診察はできると、ベポに椅子に座るように言い、”スキャン”で身体の中に変な薬が残っていないかを確認する。
「(もうほぼ体内には残ってねぇが、確かに何かの薬品が打たれた形跡があるな…)」
この程度であればもう身体に影響はないだろうと、複数の注射痕の残る腕を取ると、内出血の所為で白い腕に痛々しく青い痕が残っており、ローから小さな舌打ちが聞こえた。
「下手くそが…」
自分であればこの脆そうな腕を傷つけることなどないのにと、注射を打った知らない誰かに怒りが沸いた。
「キャプテン、恋歌は大丈夫…?」
「ああ、体内の薬もほぼ抜けてる
ペンギンとシャチが使われた薬を持って帰ってくるはずだ
副作用がないかはそれを分析して確かめる」
「お、おれは何すればいい…?」
「…恋歌が離れねぇなら一緒に寝てやれ
その恰好じゃ寒いはずだ」
着替えさせる事が出来ればいいが、ベポから離れないのであれば着替えさせることもできない。
しかしそのままでは寒いだろうと、むき出しの腕に掌を当てれば、ベポに抱えられていてもまだ少し冷たい。
「で、でもね…おれ…それはキャプテンの方がいいと思うんだ」
「は?」
「たぶんだけど、恋歌が離れないのは怖かったからだと思うんだ
星も見えない場所に閉じ込められて…声も出せなくされて…周りの子も助ける為に魔法も1人で準備して…あんな、酷い場所に…1人で…」
恋歌の気持ちを想像してしまったのか、ぽろぽろと涙を流し始めたベポはぎゅっと恋歌を抱き締めた。
ぽん、と頭に置かれた手はローのモノで、ベポも大好きな手ではあるが、それを求めているのは今は自分ではないと顔を上げた。
「きっと恋歌は、キャプテンに会いたかったはずなんだ
キャプテンの事を信じて、自分にできる精一杯の事をしたんだと思う
だから…」
それまで頑なに離れなかった恋歌の手が簡単に離れ、ベポが恋歌をローの膝の上に乗せた。
横向きに座った恋歌の顔色は悪いが、目を閉じたまま顔を胸にすり寄せ、今度はローの服を指先が白くなるぐらいの力で握り締めた。
「薬の事はおれたちに任せてよ
キャプテンは恋歌の傍にいてあげて」
「……任せていいんだな」
医学の知識に関しては自分が一番多く持っているとはわかっているし、それが事実でもあるが、仲間を信じる事も大事だと友人に教えてもらった。
涙を拭いて力強く頷いたベポに、ふっと笑ったローは”頼んだ”と信頼の言葉を口にした。
「アイアイ、キャプテン」
眠っている恋歌を起こさないように小さな声で返事をしたベポは、頭の上にシリウスを乗せてローの部屋から静かに出て行った。
ベポが出て行ってすぐに恋歌を抱えたまま立ち上がったローは、器用に恋歌を落さないようにしながら毛布を取り出し、いつもの毛布の上に重ねてから二人でベッドに寝転んだ。
「もう大丈夫だ
1人でよく頑張ったな」
人間より体温の高いベポに抱えられていたにも関わらず、あまり体温は上がっていない。
ベポの言うとおり恐怖心で誰かに縋りつき、身体も冷え切ってしまっているのだろうと、聞こえているかはわからないがなるべく優しく声をかけながら頭を撫でてやる。
僅かに服を握っている手が緩んだことに気づいて、冷たい手を握ってやるとぐりぐりと額を胸に押し付けてきた。
「大丈夫、大丈夫だ」
ぐすぐすと鼻をすする音が聞こえ、泣いているのだと気づいて背中をぽんぽんと叩いてやる。
『……ロー?』
涙を指で拭ってやれば、涙に濡れた瞳が開かれ、ぱちっと目が合った。
「気分はどうだ」
『…あ、』
目の前にいるローの存在を確かめるように頬に手を伸ばしてきた恋歌の指先はまだ冷たく、その指先を温めるようにローも自分の手を重ねた。
「恋歌、キャプテンにちゃんと診てもらおう?」
眠っているのか寝ぼけているのかわからないが、ベポのつなぎを握ったまま頑なに離れようとしない。
「好きにさせてやれ
このまま診る
魔力不足じゃなさそうだしな」
ローの能力であればベポに抱えられていても診察はできると、ベポに椅子に座るように言い、”スキャン”で身体の中に変な薬が残っていないかを確認する。
「(もうほぼ体内には残ってねぇが、確かに何かの薬品が打たれた形跡があるな…)」
この程度であればもう身体に影響はないだろうと、複数の注射痕の残る腕を取ると、内出血の所為で白い腕に痛々しく青い痕が残っており、ローから小さな舌打ちが聞こえた。
「下手くそが…」
自分であればこの脆そうな腕を傷つけることなどないのにと、注射を打った知らない誰かに怒りが沸いた。
「キャプテン、恋歌は大丈夫…?」
「ああ、体内の薬もほぼ抜けてる
ペンギンとシャチが使われた薬を持って帰ってくるはずだ
副作用がないかはそれを分析して確かめる」
「お、おれは何すればいい…?」
「…恋歌が離れねぇなら一緒に寝てやれ
その恰好じゃ寒いはずだ」
着替えさせる事が出来ればいいが、ベポから離れないのであれば着替えさせることもできない。
しかしそのままでは寒いだろうと、むき出しの腕に掌を当てれば、ベポに抱えられていてもまだ少し冷たい。
「で、でもね…おれ…それはキャプテンの方がいいと思うんだ」
「は?」
「たぶんだけど、恋歌が離れないのは怖かったからだと思うんだ
星も見えない場所に閉じ込められて…声も出せなくされて…周りの子も助ける為に魔法も1人で準備して…あんな、酷い場所に…1人で…」
恋歌の気持ちを想像してしまったのか、ぽろぽろと涙を流し始めたベポはぎゅっと恋歌を抱き締めた。
ぽん、と頭に置かれた手はローのモノで、ベポも大好きな手ではあるが、それを求めているのは今は自分ではないと顔を上げた。
「きっと恋歌は、キャプテンに会いたかったはずなんだ
キャプテンの事を信じて、自分にできる精一杯の事をしたんだと思う
だから…」
それまで頑なに離れなかった恋歌の手が簡単に離れ、ベポが恋歌をローの膝の上に乗せた。
横向きに座った恋歌の顔色は悪いが、目を閉じたまま顔を胸にすり寄せ、今度はローの服を指先が白くなるぐらいの力で握り締めた。
「薬の事はおれたちに任せてよ
キャプテンは恋歌の傍にいてあげて」
「……任せていいんだな」
医学の知識に関しては自分が一番多く持っているとはわかっているし、それが事実でもあるが、仲間を信じる事も大事だと友人に教えてもらった。
涙を拭いて力強く頷いたベポに、ふっと笑ったローは”頼んだ”と信頼の言葉を口にした。
「アイアイ、キャプテン」
眠っている恋歌を起こさないように小さな声で返事をしたベポは、頭の上にシリウスを乗せてローの部屋から静かに出て行った。
ベポが出て行ってすぐに恋歌を抱えたまま立ち上がったローは、器用に恋歌を落さないようにしながら毛布を取り出し、いつもの毛布の上に重ねてから二人でベッドに寝転んだ。
「もう大丈夫だ
1人でよく頑張ったな」
人間より体温の高いベポに抱えられていたにも関わらず、あまり体温は上がっていない。
ベポの言うとおり恐怖心で誰かに縋りつき、身体も冷え切ってしまっているのだろうと、聞こえているかはわからないがなるべく優しく声をかけながら頭を撫でてやる。
僅かに服を握っている手が緩んだことに気づいて、冷たい手を握ってやるとぐりぐりと額を胸に押し付けてきた。
「大丈夫、大丈夫だ」
ぐすぐすと鼻をすする音が聞こえ、泣いているのだと気づいて背中をぽんぽんと叩いてやる。
『……ロー?』
涙を指で拭ってやれば、涙に濡れた瞳が開かれ、ぱちっと目が合った。
「気分はどうだ」
『…あ、』
目の前にいるローの存在を確かめるように頬に手を伸ばしてきた恋歌の指先はまだ冷たく、その指先を温めるようにローも自分の手を重ねた。