美しい女
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それから牢に戻るまでリンは言葉を発さず黙って先導し、恋歌の牢に辿り着いて恋歌だけが牢の中に入る。
『(このまま明日の夜まで魔力を温存できれば…)』
久しぶりに見た星空と澄んだ空気のおかげで魔力はほぼ全快した。
これで準備は整ったと思わず口元に笑みを浮かべていると、ぱたん、と扉が閉まる音が聞こえた。
『(リン…ごめんね)』
逃げようと、そう言ってくれた時、素直に嬉しかった。
それでもその言葉に頷くことはできない。
たとえそれが仲間の元に戻る最短距離だったとしても。
『(大丈夫、自分を…みんなを信じよう)』
明日に備えて無駄に魔力を消費しないように、寝心地の悪い石畳に寝転がり、すっと目を閉じた。
「…出ろ、時間だ」
そして次の日の夜。
牢に迎えに来たリンに浴室に向かう前に禊をしろと風呂に連れて行かれ、服も新しいものと取り換えられた。
いつも通りリンに縄を引かれて、いつも通りまだ血生臭い臭いの残る浴室へ足を踏み入れる。
魔方陣を描くために片付けたとはいえ、死体は隅の方に追いやられただけで、数は減っておらず集められた少女たちは死体に怯えて魔方陣の上で近くの者たちと抱き合っている。
「来ましたわね、わたくしの魔法使い」
『……』
いつも通り女王が少女たちから集めた血の湯船に浸かっており、今日で夢が叶うと思っているからか、上機嫌で身体に血を塗りたくっている。
ちらりと魔方陣の方に視線を向ければ、涙を流しながら100人近い少女たちが集まっており、周りは逃げないように女騎士たちが固めている。
恋歌が来た事で女王は湯船から出てバスローブを羽織って椅子に座った。
「さぁ、わたくしは何をすればいいのですか?」
≪あなたは魔方陣の中へ≫
「あら?声は出せるはずですわよね?」
傍らにリンが控えてくれていたので、紙とペンを要求し女王に指示を出せば、不思議そうな顔をして首を傾げられた。
≪わたしは魔法を使う時にしか声は出さない≫
「…そうですか、あなたがそう言うのであれば別にかまいませんが、わたくしたちは魔法に関しては無知ですわ
ですのでこちらとしても保険はかけさせていただきますわ」
「きゃっ…!」
女王が魔方陣の近くにいる女騎士に目配せをすると、魔方陣の中にいた少女の髪を掴んで魔方陣の外に引きずり出した。
「あなたが変な事をすればあの子の命はありませんわ」
引きずり出されたのはフィーリで、殺されるかもしれないという恐怖で、顔が真っ青でがたがたと震えている。
女王は恋歌にぐいっと顔を近づけてから視線を合わせるように顎を掴むと、綺麗な口元を歪ませた。
「優しい魔法使い
あなたならあの子を見捨てる事などできないでしょう?」
『(嫌な人…)』
最初に自分の事で何人か殺された事で、いくら他人であろうとも命が奪われることは、恋歌が良しとしないという事はわかっている。
そのことを利用されているとわかった恋歌は、ため息をついてわかったと頷いた。
「それと簡単には逃げられないようにこれを」
また女王が女騎士に合図をすると、足首に枷をつけられその鎖の先は壁に繋がっている。
その後は恋歌に指示された通りに女王が血の入ったバスタブの横に立ち、少女たちは魔方陣の中から動かないようにと伝えた。
≪リンも離れていて≫
「……わかった」
まだ何かを言いたそうなリンだったが、恋歌に微笑まれて言われた通りに恋歌から距離をとった。
全員が緊張した面持ちで恋歌の動きを見つめている。
「「「…!!」」」
「…最悪な場所だな」
恋歌の掌の魔方陣から現れた子犬に、警戒すべきかどうかを考えているのか女騎士たちがぴくりと反応し、女王に視線を集める。
シリウスは血の臭いと気持ちの悪い魔力に可愛い顔を歪めて、恋歌の掌から床に足をつけた。
「魔方陣は上手く書けてる
あとは恋歌次第だ」
とことこと少女たちの入れられている魔方陣の方に歩いていき、魔方陣に足を踏み入れないようにちょこんと座った。
尻尾をゆらゆらと揺らしながらくりんとした瞳を向けられている少女たちは、その子犬の可愛さに少し恐怖心が薄れた。
『(このまま明日の夜まで魔力を温存できれば…)』
久しぶりに見た星空と澄んだ空気のおかげで魔力はほぼ全快した。
これで準備は整ったと思わず口元に笑みを浮かべていると、ぱたん、と扉が閉まる音が聞こえた。
『(リン…ごめんね)』
逃げようと、そう言ってくれた時、素直に嬉しかった。
それでもその言葉に頷くことはできない。
たとえそれが仲間の元に戻る最短距離だったとしても。
『(大丈夫、自分を…みんなを信じよう)』
明日に備えて無駄に魔力を消費しないように、寝心地の悪い石畳に寝転がり、すっと目を閉じた。
「…出ろ、時間だ」
そして次の日の夜。
牢に迎えに来たリンに浴室に向かう前に禊をしろと風呂に連れて行かれ、服も新しいものと取り換えられた。
いつも通りリンに縄を引かれて、いつも通りまだ血生臭い臭いの残る浴室へ足を踏み入れる。
魔方陣を描くために片付けたとはいえ、死体は隅の方に追いやられただけで、数は減っておらず集められた少女たちは死体に怯えて魔方陣の上で近くの者たちと抱き合っている。
「来ましたわね、わたくしの魔法使い」
『……』
いつも通り女王が少女たちから集めた血の湯船に浸かっており、今日で夢が叶うと思っているからか、上機嫌で身体に血を塗りたくっている。
ちらりと魔方陣の方に視線を向ければ、涙を流しながら100人近い少女たちが集まっており、周りは逃げないように女騎士たちが固めている。
恋歌が来た事で女王は湯船から出てバスローブを羽織って椅子に座った。
「さぁ、わたくしは何をすればいいのですか?」
≪あなたは魔方陣の中へ≫
「あら?声は出せるはずですわよね?」
傍らにリンが控えてくれていたので、紙とペンを要求し女王に指示を出せば、不思議そうな顔をして首を傾げられた。
≪わたしは魔法を使う時にしか声は出さない≫
「…そうですか、あなたがそう言うのであれば別にかまいませんが、わたくしたちは魔法に関しては無知ですわ
ですのでこちらとしても保険はかけさせていただきますわ」
「きゃっ…!」
女王が魔方陣の近くにいる女騎士に目配せをすると、魔方陣の中にいた少女の髪を掴んで魔方陣の外に引きずり出した。
「あなたが変な事をすればあの子の命はありませんわ」
引きずり出されたのはフィーリで、殺されるかもしれないという恐怖で、顔が真っ青でがたがたと震えている。
女王は恋歌にぐいっと顔を近づけてから視線を合わせるように顎を掴むと、綺麗な口元を歪ませた。
「優しい魔法使い
あなたならあの子を見捨てる事などできないでしょう?」
『(嫌な人…)』
最初に自分の事で何人か殺された事で、いくら他人であろうとも命が奪われることは、恋歌が良しとしないという事はわかっている。
そのことを利用されているとわかった恋歌は、ため息をついてわかったと頷いた。
「それと簡単には逃げられないようにこれを」
また女王が女騎士に合図をすると、足首に枷をつけられその鎖の先は壁に繋がっている。
その後は恋歌に指示された通りに女王が血の入ったバスタブの横に立ち、少女たちは魔方陣の中から動かないようにと伝えた。
≪リンも離れていて≫
「……わかった」
まだ何かを言いたそうなリンだったが、恋歌に微笑まれて言われた通りに恋歌から距離をとった。
全員が緊張した面持ちで恋歌の動きを見つめている。
「「「…!!」」」
「…最悪な場所だな」
恋歌の掌の魔方陣から現れた子犬に、警戒すべきかどうかを考えているのか女騎士たちがぴくりと反応し、女王に視線を集める。
シリウスは血の臭いと気持ちの悪い魔力に可愛い顔を歪めて、恋歌の掌から床に足をつけた。
「魔方陣は上手く書けてる
あとは恋歌次第だ」
とことこと少女たちの入れられている魔方陣の方に歩いていき、魔方陣に足を踏み入れないようにちょこんと座った。
尻尾をゆらゆらと揺らしながらくりんとした瞳を向けられている少女たちは、その子犬の可愛さに少し恐怖心が薄れた。