美しい女
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その後、女王に指示された騎士や侍女たちが数人浴室に入ってきて、恋歌の渡した紙を見ながら魔方陣を協力して描いている。
浴室自体はかなり広いが周りには臓物や死体が所々に転がっているため、それを先に片付けてから100人の少女たちが入れるような、大きな魔方陣を描ける場所を確保した。
『(魔方陣を描き変えてるから嫌な魔力も薄れてきた…
これなら…)』
この城に充満していた嫌な魔力は、魔女ではない素人が間違った魔方陣を描き、それに使ったのが人間の血ということで変な魔力が溢れだしていたらしい。
魔女である恋歌が魔方陣を正しく書き換え、使っている血も魔女の血。
そのおかげで嫌な魔力はかなり薄れてきている。
本当は簡単な魔法であればもう使えるようになっている。
それでも使わないのは逃げられる確証もなく、この場所に捕らわれている少女たちを見捨てる事ができないから。
『(ローたちも必ず動いてくれる
わたしは…魔法を成功させることに集中しよう)』
仲間を信じて新しく魔方陣を描くために恋歌の血が必要になったため、リンがまた短剣で切ってくれた腕の傷を撫でながら、恋歌も集中して魔方陣を完成させていく。
その日も夜まで作業し、頼んだ魔法陣も半分ほどは出来上がっていた。
「ああ、そうだ
仲間から”了解した”と…伝えてくれと言われた」
女王の入浴の時間になり、牢に戻ってきた恋歌は、扉を閉められる前にリンがローたちから言われた事を伝えてくれ、その言葉に嬉しそうに頷いた恋歌に、リンの眉間に皺が寄った。
「お前…本当に、少女たちを犠牲にして…
いや…なんでもない…」
ぎゅっと拳を握り締めて言いたい言葉を飲み込んだリンは、今日も本の続きを読むという恋歌の腕の縄を外してやり、牢の中の蝋燭に灯りをともして、無言で牢から出て行った。
扉の外から気配は感じるので、昨日と同じくリンは扉の外に待機しているのだろうと、恋歌は座り心地の悪い石の上にお尻を下ろす。
そして掌の上に魔方陣を出し、刀のままでシリウスを召喚した。
「……なんだか、面倒な事になってるみたいだな」
面倒そうな声が頭の中に響くが、声を出して返事が出来ず困ったように笑う事しかできなかった。
小犬姿ではないシリウスの声は、触れている恋歌にしか声が聞こえず、リンにも聞かれることはない。
だが、いつリンが中に入ってくるかわからず、話を早く終わらせようと、口元に指を当てて声を出さないようにと伝えれば、頭の中にわかったと声が響いた。
シリウスを子犬に戻し、準備していたメモをシリウスに見せると、すべて理解したようで小さく頷いた。
ため息をついたシリウスは名残惜しそうに恋歌の胸に飛び込んでぐりぐりと頭をすり寄せてくる。
恋歌もシリウスのその行動に泣きそうになったが、もう少しの辛抱だとぎゅっとシリウスを抱き締めて、リンにバレないうちにシリウスを魔方陣の中に戻した。
そして魔法発動の前日。
リンに連れられて城の外に連れ出してもらい、久しぶりの星と透き通った空気に魔力が回復していくのを感じる。
魔方陣の手直しも終わり、もう一つの魔方陣も完成した。
あとは明日の夜を待つだけ。
「逃げるつもりは…ないのか?」
嬉しそうな顔をしている恋歌に、リンがそう問いかければ恋歌は、困ったように笑って頷いた。
着いてきているのはリンだけで後手に結ばれた縄の先はリンが持っているが、逃げようと思えばおそらく逃げられる。
「わたしは…お前に…」
恋歌と繋がっている縄をぎゅっと握りしめた。
「一緒に、逃げよう」
『……』
周りには誰もいないが、顔を近づけて聞こえないように小声で囁いてきた。
じっと瞳を見つめてくるリンは真剣な表情をしており、その覚悟が本物である事が伝わってくる。
しかし恋歌はリンの言葉に首を振り、もう戻ろうと恋歌の方から繋がっている縄を引くと、リンが唇を噛み締めながら恋歌を追い抜いて扉を開けた。
浴室自体はかなり広いが周りには臓物や死体が所々に転がっているため、それを先に片付けてから100人の少女たちが入れるような、大きな魔方陣を描ける場所を確保した。
『(魔方陣を描き変えてるから嫌な魔力も薄れてきた…
これなら…)』
この城に充満していた嫌な魔力は、魔女ではない素人が間違った魔方陣を描き、それに使ったのが人間の血ということで変な魔力が溢れだしていたらしい。
魔女である恋歌が魔方陣を正しく書き換え、使っている血も魔女の血。
そのおかげで嫌な魔力はかなり薄れてきている。
本当は簡単な魔法であればもう使えるようになっている。
それでも使わないのは逃げられる確証もなく、この場所に捕らわれている少女たちを見捨てる事ができないから。
『(ローたちも必ず動いてくれる
わたしは…魔法を成功させることに集中しよう)』
仲間を信じて新しく魔方陣を描くために恋歌の血が必要になったため、リンがまた短剣で切ってくれた腕の傷を撫でながら、恋歌も集中して魔方陣を完成させていく。
その日も夜まで作業し、頼んだ魔法陣も半分ほどは出来上がっていた。
「ああ、そうだ
仲間から”了解した”と…伝えてくれと言われた」
女王の入浴の時間になり、牢に戻ってきた恋歌は、扉を閉められる前にリンがローたちから言われた事を伝えてくれ、その言葉に嬉しそうに頷いた恋歌に、リンの眉間に皺が寄った。
「お前…本当に、少女たちを犠牲にして…
いや…なんでもない…」
ぎゅっと拳を握り締めて言いたい言葉を飲み込んだリンは、今日も本の続きを読むという恋歌の腕の縄を外してやり、牢の中の蝋燭に灯りをともして、無言で牢から出て行った。
扉の外から気配は感じるので、昨日と同じくリンは扉の外に待機しているのだろうと、恋歌は座り心地の悪い石の上にお尻を下ろす。
そして掌の上に魔方陣を出し、刀のままでシリウスを召喚した。
「……なんだか、面倒な事になってるみたいだな」
面倒そうな声が頭の中に響くが、声を出して返事が出来ず困ったように笑う事しかできなかった。
小犬姿ではないシリウスの声は、触れている恋歌にしか声が聞こえず、リンにも聞かれることはない。
だが、いつリンが中に入ってくるかわからず、話を早く終わらせようと、口元に指を当てて声を出さないようにと伝えれば、頭の中にわかったと声が響いた。
シリウスを子犬に戻し、準備していたメモをシリウスに見せると、すべて理解したようで小さく頷いた。
ため息をついたシリウスは名残惜しそうに恋歌の胸に飛び込んでぐりぐりと頭をすり寄せてくる。
恋歌もシリウスのその行動に泣きそうになったが、もう少しの辛抱だとぎゅっとシリウスを抱き締めて、リンにバレないうちにシリウスを魔方陣の中に戻した。
そして魔法発動の前日。
リンに連れられて城の外に連れ出してもらい、久しぶりの星と透き通った空気に魔力が回復していくのを感じる。
魔方陣の手直しも終わり、もう一つの魔方陣も完成した。
あとは明日の夜を待つだけ。
「逃げるつもりは…ないのか?」
嬉しそうな顔をしている恋歌に、リンがそう問いかければ恋歌は、困ったように笑って頷いた。
着いてきているのはリンだけで後手に結ばれた縄の先はリンが持っているが、逃げようと思えばおそらく逃げられる。
「わたしは…お前に…」
恋歌と繋がっている縄をぎゅっと握りしめた。
「一緒に、逃げよう」
『……』
周りには誰もいないが、顔を近づけて聞こえないように小声で囁いてきた。
じっと瞳を見つめてくるリンは真剣な表情をしており、その覚悟が本物である事が伝わってくる。
しかし恋歌はリンの言葉に首を振り、もう戻ろうと恋歌の方から繋がっている縄を引くと、リンが唇を噛み締めながら恋歌を追い抜いて扉を開けた。