美しい女
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しばらく本を読んだ後、描いてある魔方陣を見て、何かを考えるように顎に手を当てた。
『(これは…若返りの魔法なんかじゃない…
でも、それを言ってしまえばまた…)』
魔方陣に描かれている言葉と本に書いている魔法が女王の望む魔法でないとわかった事を告げたとしても、先ほどのように脅されてしまうだろう。
しかも今度は目の前にいるフィーリが標的になる可能性が高い。
『(よし、それなら…)』
紙に文字を書こうとして一瞬止まり、ちらっと壁にもたれている女騎士に視線を向けた。
「なんだ、また必要な物か」
≪あなたのお名前は?≫
紙に欲しいものを書いているのかと思い覗き込めば、欲しいものは何も書かれていなかった。
「…ふざけてるのか」
ぎろっと女騎士が恋歌を睨むが、恋歌は口元に笑みを浮かべて首を横に振るだけ。
「…リン」
じーっと恋歌に見つめられて観念したのか、小さな声で自分の名前を告げた。
≪ではリン
聞きたいことがあるの≫
「呼び捨てか」
≪この魔方陣が描かれている塗料はなに?≫
「無視か」
リンの言葉に返事はせず、恋歌が聞きたいことを書くと、また諦めたようで小さく息をついた。
「血だ
正確には特殊な塗料と混ぜ合わせているがな」
『(やっぱり…)』
思っていた通りの解答にぞわっとした恋歌だったが、震えてしまいそうになる身体を叱咤するようにペンを握る手に力を入れた。
≪魔方陣の間違っているところを書き直したいのと、ちょっと足りないところがあるから書き足したいの
その塗料持ってきてもらえる?≫
「それなら塗料はこの部屋にある」
すたすたと備え付けの棚から2つのビンと筆を取り出し、それを恋歌の前に置いた。
「その赤いインクに純潔の乙女の血を混ぜている」
≪純潔の乙女…?≫
「処女、ということだ
貴様もそこの娘もそうだろう?」
『(しょ、処女…!?)』
リンの言葉にぶわっと顔を赤くした恋歌は、なぜわかったのかと疑問に思い、”なぜわかるの?”と紙で顔を隠しながら書いている文字をリンに見せた。
「…女王は一目見ただけで娘が純潔であるかどうか見極める事ができる
そしてここに連れてこられる娘たちは純潔なんだ」
『(な、なにそれ…)』
たしかにローと恋人関係ではあるが、一線は超えてはいない。
顔を赤くして照れている恋歌を見て、リンとフィーリはその可愛さに視線を逸らす事ができなかった。
「まぁ…そういうわけだ
お前たちどちらの血を混ぜてもいい」
「あ、あの恋歌…それならわたしの血を使って…」
手伝うように言われたフィーリは、ここで役に立たねばと腕を差し出してきたが、恋歌はそれに首を横に振って拒否した。
≪リン、何か刃物を貸して≫
「…わたしがやろう」
恋歌が自分の血を使おうとしている事を理解し、片膝をついて懐から短剣を取り出した。
「最小限の傷で済ませてやる
女王の命令もなしにお前を殺すようなことはしないから信じろ」
リンが広げている掌に恋歌が自ら手を乗せ、頷いてぎゅっと目を閉じてリンの裾を小さく握る。
その姿にリンの心臓が変な音を立てたような気がしたが、自分の掌に乗せられている恋歌の小さな手を最小限の傷で済ませる為に短剣を握る手に力を入れた。
ぴ、っと恋歌の指先に傷をつけ、ビンの中に必要な分だけの血を入れ終えると、ゆっくりと恋歌が目を開けた。
「これにインクを混ぜて使え
痛みはないか」
本当に最低限の傷で済ませてくれたらしく、すでに血もほとんど止まっている。
僅かに残った指先をぱくっと口に含めば、鉄の味がした。
リンの言葉に頷けば、リンは短剣を懐に戻し、何事もなかったかのように立ち上がった。
≪ありがとう≫
「…早く魔法を完成させろ」
笑顔でお礼を言われたことに照れくさそうに顔を逸らし、元の場所に戻ってしまった。
「こ、このインクと混ぜればいいのよね?」
「そうだ」
フィーリが恋歌の血が入ったビンの中に赤いインクを混ぜて、完成したインクを恋歌に渡した。
『(これは…若返りの魔法なんかじゃない…
でも、それを言ってしまえばまた…)』
魔方陣に描かれている言葉と本に書いている魔法が女王の望む魔法でないとわかった事を告げたとしても、先ほどのように脅されてしまうだろう。
しかも今度は目の前にいるフィーリが標的になる可能性が高い。
『(よし、それなら…)』
紙に文字を書こうとして一瞬止まり、ちらっと壁にもたれている女騎士に視線を向けた。
「なんだ、また必要な物か」
≪あなたのお名前は?≫
紙に欲しいものを書いているのかと思い覗き込めば、欲しいものは何も書かれていなかった。
「…ふざけてるのか」
ぎろっと女騎士が恋歌を睨むが、恋歌は口元に笑みを浮かべて首を横に振るだけ。
「…リン」
じーっと恋歌に見つめられて観念したのか、小さな声で自分の名前を告げた。
≪ではリン
聞きたいことがあるの≫
「呼び捨てか」
≪この魔方陣が描かれている塗料はなに?≫
「無視か」
リンの言葉に返事はせず、恋歌が聞きたいことを書くと、また諦めたようで小さく息をついた。
「血だ
正確には特殊な塗料と混ぜ合わせているがな」
『(やっぱり…)』
思っていた通りの解答にぞわっとした恋歌だったが、震えてしまいそうになる身体を叱咤するようにペンを握る手に力を入れた。
≪魔方陣の間違っているところを書き直したいのと、ちょっと足りないところがあるから書き足したいの
その塗料持ってきてもらえる?≫
「それなら塗料はこの部屋にある」
すたすたと備え付けの棚から2つのビンと筆を取り出し、それを恋歌の前に置いた。
「その赤いインクに純潔の乙女の血を混ぜている」
≪純潔の乙女…?≫
「処女、ということだ
貴様もそこの娘もそうだろう?」
『(しょ、処女…!?)』
リンの言葉にぶわっと顔を赤くした恋歌は、なぜわかったのかと疑問に思い、”なぜわかるの?”と紙で顔を隠しながら書いている文字をリンに見せた。
「…女王は一目見ただけで娘が純潔であるかどうか見極める事ができる
そしてここに連れてこられる娘たちは純潔なんだ」
『(な、なにそれ…)』
たしかにローと恋人関係ではあるが、一線は超えてはいない。
顔を赤くして照れている恋歌を見て、リンとフィーリはその可愛さに視線を逸らす事ができなかった。
「まぁ…そういうわけだ
お前たちどちらの血を混ぜてもいい」
「あ、あの恋歌…それならわたしの血を使って…」
手伝うように言われたフィーリは、ここで役に立たねばと腕を差し出してきたが、恋歌はそれに首を横に振って拒否した。
≪リン、何か刃物を貸して≫
「…わたしがやろう」
恋歌が自分の血を使おうとしている事を理解し、片膝をついて懐から短剣を取り出した。
「最小限の傷で済ませてやる
女王の命令もなしにお前を殺すようなことはしないから信じろ」
リンが広げている掌に恋歌が自ら手を乗せ、頷いてぎゅっと目を閉じてリンの裾を小さく握る。
その姿にリンの心臓が変な音を立てたような気がしたが、自分の掌に乗せられている恋歌の小さな手を最小限の傷で済ませる為に短剣を握る手に力を入れた。
ぴ、っと恋歌の指先に傷をつけ、ビンの中に必要な分だけの血を入れ終えると、ゆっくりと恋歌が目を開けた。
「これにインクを混ぜて使え
痛みはないか」
本当に最低限の傷で済ませてくれたらしく、すでに血もほとんど止まっている。
僅かに残った指先をぱくっと口に含めば、鉄の味がした。
リンの言葉に頷けば、リンは短剣を懐に戻し、何事もなかったかのように立ち上がった。
≪ありがとう≫
「…早く魔法を完成させろ」
笑顔でお礼を言われたことに照れくさそうに顔を逸らし、元の場所に戻ってしまった。
「こ、このインクと混ぜればいいのよね?」
「そうだ」
フィーリが恋歌の血が入ったビンの中に赤いインクを混ぜて、完成したインクを恋歌に渡した。