美しい女
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「わたくしが調べたところによると、魔女には永遠の若さを保つ魔法があるそうですわ」
『(な、なにそれ…そんなの…聞いたことない)』
今まで読んだどの本にも書いておらず、シリウスにも知識としてそんな魔法があるなどと聞いた事もない。
ゆるく首を横に振ると、女王の眉間に一気にしわが寄り、ぶわっと気持ちの悪い魔力が増えたのを感じた。
「魔女は魔女の中で得意な魔法があり、その得意な魔法によって胸の紋章が違うのですわよね?
もう現代では魔女の文献はほとんどなく、あなたの紋章がどのような魔法が得意な魔女の証なのかわかりませんでした
ですが、声を媒体に魔法を使用する魔女もいると聞いたので、あなたの声は出せないようにさせていただきました」
星の魔女であるという事はわかってないようだが、声を出せなくされたことは恋歌にとって予想外であり、恋歌を逃げにくくさせる事は成功している。
「あなたが若さを保つ魔法をすぐにでも使って頂けるなら、仲間の元に返して差し上げますわ」
狂気を含んだ作り笑顔に恐怖心が膨らんだが、そんな魔法は自分には使えないと首を振れば、作り笑顔のまま近くにいた女騎士に目配せをした。
直後、ごとんと重たい何かが床に落ち、液体が勢いよく噴き出す音が聞こえる。
落ちた何かが恋歌の視界に入り、ごろん、とそれが転がった。
『…っ!?』
それは先ほどまで女王の入浴を手伝っていた侍女の頭が身体から離れて床に落ち、血が首から噴き出している音。
首と頭を斬り離された侍女の身体は、力なくその場に倒れ込んだ。
恋歌は目を見開いておさえようとした身体の震えが再び戻ってきたのを感じた。
何食わぬ顔で侍女を斬った女騎士は剣を鞘におさめ、立っているだけの侍女も眉1つ動かしていない。
『(な、なんなの…この人たち…
おかしい、よ…)』
「もう一度言いますわ
わたくしのために魔法を使いなさい」
『(そんな…無理だよ…)』
星の魔法なら最悪なんとかなったかもしれないが、その魔法が実際あったとしても恋歌は使い方も知らず、知識もない。
恐怖で目に涙を溜めながらもう一度首を横に振ると、また同じ音が聞こえたが、今度はそちらに目線を向ける事はできなかった。
「強情ですわね
あなたが首を横に振る度にこの部屋の誰かの首が飛びます
わたくしとあなたの2人きりになるまで続けてみますか?」
『(そ、そんな…無理なんだよ…)』
ぽろぽろと夜空を切り取ったような真っ黒い瞳から涙が溢れ、それを女王がぺろりと舐めとりふふっと機嫌よく笑った。
なぜできないのかという理由も、魔法についても、声も出せず字も書けないこの状況では首を振る事しか拒否する術はない。
それでもまた首を振れば誰かか死ぬ。
極限状態の中、恋歌の選択肢は、頷くしかなかった。
『(頷いちゃったけど、これからどうしよう…)』
恋歌が頷いた後、機嫌のよくなった女王はもう逃げないと思ったのか恋歌の腕の縄を外してくれた。
侍女に紙とペンを渡され、必要なものがあれば用意するから書けと言われ、”若さを保つ魔法について書かれた本”を用意してほしいと書いた。
バスタブの下に描かれた魔方陣は、文字を読み取れば中途半端ではあるがもう少し手を加えれば、何かの魔法が発動しそうではあった。
女王の話ではその魔方陣を完成させることが出来れば、若さを保つ魔法が完成すると言っていた。
それならとその魔法が書いてある資料を要求すると、あっさりとその本を渡された。
「他に必要な物があれば言え
女王からある程度の許可は得ている」
今恋歌は女王のために血を抜き取られており、近くの袋に血が溜まっていく。
死なないぎりぎりの量を抜き取られ、貧血で頭がふらついたが、女王が準備する食事だけは豪華。
今すぐに殺すつもりはないのだろうと、生きてここから出る為に今だけは従順なふりをして傍に控えている女騎士の言葉に頷く。
食事を終え、渡された本を見ながらバスタブ下の魔方陣を見ていると、見張っている女騎士とは別の女騎士が一人の少女を連れて浴室に入ってきた。
がたがたと震えている少女は、どん、と背中を押され、恋歌の横に倒れ込んだ。
「…っ」
膝を擦りむいた少女に慌てて手を貸した恋歌は、突き飛ばした女騎士をきっと睨みつける。
「…少し美しい程度で図に乗るなよ
お前の仕事は女王の願いを叶える事だ
雑用があればそいつに言え」
本と魔方陣を見ながら用意してもらったメモに何かを書いている恋歌を見て、女王が雑用に1人少女を用意してくれたらしい。
女騎士はそれだけを告げて浴室から去っていき、今浴室内には恋歌と少女、見張りの女騎士1人。
≪怪我見せて≫
メモに文字を書いて見せると、少女は驚いたように目を見開いたが、優しい目をしている恋歌におそるおそるわずかに血が出ている膝を見せた。
『(な、なにそれ…そんなの…聞いたことない)』
今まで読んだどの本にも書いておらず、シリウスにも知識としてそんな魔法があるなどと聞いた事もない。
ゆるく首を横に振ると、女王の眉間に一気にしわが寄り、ぶわっと気持ちの悪い魔力が増えたのを感じた。
「魔女は魔女の中で得意な魔法があり、その得意な魔法によって胸の紋章が違うのですわよね?
もう現代では魔女の文献はほとんどなく、あなたの紋章がどのような魔法が得意な魔女の証なのかわかりませんでした
ですが、声を媒体に魔法を使用する魔女もいると聞いたので、あなたの声は出せないようにさせていただきました」
星の魔女であるという事はわかってないようだが、声を出せなくされたことは恋歌にとって予想外であり、恋歌を逃げにくくさせる事は成功している。
「あなたが若さを保つ魔法をすぐにでも使って頂けるなら、仲間の元に返して差し上げますわ」
狂気を含んだ作り笑顔に恐怖心が膨らんだが、そんな魔法は自分には使えないと首を振れば、作り笑顔のまま近くにいた女騎士に目配せをした。
直後、ごとんと重たい何かが床に落ち、液体が勢いよく噴き出す音が聞こえる。
落ちた何かが恋歌の視界に入り、ごろん、とそれが転がった。
『…っ!?』
それは先ほどまで女王の入浴を手伝っていた侍女の頭が身体から離れて床に落ち、血が首から噴き出している音。
首と頭を斬り離された侍女の身体は、力なくその場に倒れ込んだ。
恋歌は目を見開いておさえようとした身体の震えが再び戻ってきたのを感じた。
何食わぬ顔で侍女を斬った女騎士は剣を鞘におさめ、立っているだけの侍女も眉1つ動かしていない。
『(な、なんなの…この人たち…
おかしい、よ…)』
「もう一度言いますわ
わたくしのために魔法を使いなさい」
『(そんな…無理だよ…)』
星の魔法なら最悪なんとかなったかもしれないが、その魔法が実際あったとしても恋歌は使い方も知らず、知識もない。
恐怖で目に涙を溜めながらもう一度首を横に振ると、また同じ音が聞こえたが、今度はそちらに目線を向ける事はできなかった。
「強情ですわね
あなたが首を横に振る度にこの部屋の誰かの首が飛びます
わたくしとあなたの2人きりになるまで続けてみますか?」
『(そ、そんな…無理なんだよ…)』
ぽろぽろと夜空を切り取ったような真っ黒い瞳から涙が溢れ、それを女王がぺろりと舐めとりふふっと機嫌よく笑った。
なぜできないのかという理由も、魔法についても、声も出せず字も書けないこの状況では首を振る事しか拒否する術はない。
それでもまた首を振れば誰かか死ぬ。
極限状態の中、恋歌の選択肢は、頷くしかなかった。
『(頷いちゃったけど、これからどうしよう…)』
恋歌が頷いた後、機嫌のよくなった女王はもう逃げないと思ったのか恋歌の腕の縄を外してくれた。
侍女に紙とペンを渡され、必要なものがあれば用意するから書けと言われ、”若さを保つ魔法について書かれた本”を用意してほしいと書いた。
バスタブの下に描かれた魔方陣は、文字を読み取れば中途半端ではあるがもう少し手を加えれば、何かの魔法が発動しそうではあった。
女王の話ではその魔方陣を完成させることが出来れば、若さを保つ魔法が完成すると言っていた。
それならとその魔法が書いてある資料を要求すると、あっさりとその本を渡された。
「他に必要な物があれば言え
女王からある程度の許可は得ている」
今恋歌は女王のために血を抜き取られており、近くの袋に血が溜まっていく。
死なないぎりぎりの量を抜き取られ、貧血で頭がふらついたが、女王が準備する食事だけは豪華。
今すぐに殺すつもりはないのだろうと、生きてここから出る為に今だけは従順なふりをして傍に控えている女騎士の言葉に頷く。
食事を終え、渡された本を見ながらバスタブ下の魔方陣を見ていると、見張っている女騎士とは別の女騎士が一人の少女を連れて浴室に入ってきた。
がたがたと震えている少女は、どん、と背中を押され、恋歌の横に倒れ込んだ。
「…っ」
膝を擦りむいた少女に慌てて手を貸した恋歌は、突き飛ばした女騎士をきっと睨みつける。
「…少し美しい程度で図に乗るなよ
お前の仕事は女王の願いを叶える事だ
雑用があればそいつに言え」
本と魔方陣を見ながら用意してもらったメモに何かを書いている恋歌を見て、女王が雑用に1人少女を用意してくれたらしい。
女騎士はそれだけを告げて浴室から去っていき、今浴室内には恋歌と少女、見張りの女騎士1人。
≪怪我見せて≫
メモに文字を書いて見せると、少女は驚いたように目を見開いたが、優しい目をしている恋歌におそるおそるわずかに血が出ている膝を見せた。