出会いから出航まで
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ペンギンが先生を呼びに行ってからおよそ2時間後。
先生が持ち込んだ機材を使ってヴォルフの状態を診てもらう。
「体内の出血はない
脈拍も問題ない
あとは、合併症に注意するぐらいだ
ローくん、この処置はきみがやったんだね?」
「ああ」
「完璧なオペだ
前々から知ってはいた事だが、とんでもない才能だな」
「…そりゃどうも」
「その子は…?」
ヴォルフは2か月ほどで完治するだろうとの診断をくだされたが、ローがずっと抱えたままの少女が気になり声をかける。
「…目を、覚まさねぇんだ」
「たしか…本屋で働いてる子だね
きみの診断は…?」
「…魔力の枯渇」
「ま、魔力…?」
ローの事を信頼している先生は、少女が目を覚まさない理由を聞いたが、理由が良くわからなかった。
だが、大事そうに抱えているのを見て、嘘をついているとは到底思えなかった。
「出来る事はあるかな?」
「…わからねえ」
魔女の事はまだ謎が多い。
何度身体を診察しても、身体に異常はない。
今できる事は自分の魔力を渡し続けること。
いつ目を覚ますかわからないが、出来る限りそばにいてやるべきだと思った。
「なにかできることがあれば言ってくれ」
「ああ」
しばらく休んでいいと言われたので、ヴォルフの経過観察と、恋歌の目が覚めるまでと思い、取り敢えず1週間ほど休みをもらった。
ヴォルフが目を覚ました日は恋歌が目を覚ます事はなかった。
4人だけで食べるご飯は、どこか寂しく、静かな食卓になっている。
「なぁ…ローさん」
もそもそとご飯を食べていると、ベポがローに話しかけた。
「恋歌は…起きるかな…」
「縁起でもねぇこと言うな
必ず目を覚ます」
恋歌が使った杖はソファの上に置かれ、恋歌は部屋で眠っている。
ベポには安心させる為にこう言ったが、なぜ事前に恋歌の限界を聞かなかったのか、もっとちゃんと魔女の事を聞いておかなかったのかと、後悔だけが心に渦巻く。
「うん…」
恋歌が目を覚まさないとはいえ、ヴォルフも恋歌も動けないとなると、仕事は4人でこなさなければいけない。
「(よし…)」
夕飯も食べ終わり、後は寝るだけとなった時間。
ローは恋歌の部屋の中で、ベッドで眠っている恋歌の傍らに立って気合いを入れる。
ごそごそと恋歌の布団に入り、恋歌の横にごろんと寝転んだ。
こんな時に不謹慎かと思うかもしれないが、恋歌の匂いがする布団に心臓がどきどきとしている。
眠り続ける恋歌を引き寄せて、寝にくくならないように抱きしめてやる。
「(この状態で起きたら驚くよな)」
人と眠る事は初めてなため、どうすればいいのかわからないが、なんとか姿勢を整えて目を閉じる。
「(ちゃんと起きろよ)」
魔力を寝ている間にも供給する為に、3人に一緒に寝て来いと言われたためこうしているのだが、これで恋歌が起きるのかわからない。
3人の期待を裏切らないためにも、早く朝を迎える為にも早く寝ようと意識を手放した。
『(ん…?)』
次の日の朝。
目を覚ました恋歌は身体が動かしにくいことに気づいて、もぞもぞと動いていると、身体を固定していた人物ががばっと起き上った。
「恋歌!!起きたのか!!」
≪うん≫
肩を掴んで揺さぶられ、何があったのかを思い出す。
≪ヴォルフは?≫
ローの事を信じている為、必ず助けてくれていると信じているが、直接言葉で聞いて安心したい。
「ああ、じいさんは無事だ
もう目を覚ましてる」
≪よかった
さすが、ローだね≫
「けど…お前は丸1日起きなかった」
≪え…そんなに?≫
そんなに時間が経っていたとは思わず、驚いた顔をしているとローにため息をつかれた。
「無茶をしたんだな」
≪うん…ごめん
ヴォルフの為に出来る事が…あれだったの≫
「そうか…
でもな、俺たちに心配をかけるな
じいさんが助かっても…お前が目を覚まさなきゃ…喜べねぇよ…」
ヴォルフの為に何かしたいという気持ちはわかる。
だがそれで恋歌が目を覚まさなければ誰も喜べなかった。
とん、と恋歌の肩におでこを乗せたローは無事でよかったと小さくつぶやいた。
先生が持ち込んだ機材を使ってヴォルフの状態を診てもらう。
「体内の出血はない
脈拍も問題ない
あとは、合併症に注意するぐらいだ
ローくん、この処置はきみがやったんだね?」
「ああ」
「完璧なオペだ
前々から知ってはいた事だが、とんでもない才能だな」
「…そりゃどうも」
「その子は…?」
ヴォルフは2か月ほどで完治するだろうとの診断をくだされたが、ローがずっと抱えたままの少女が気になり声をかける。
「…目を、覚まさねぇんだ」
「たしか…本屋で働いてる子だね
きみの診断は…?」
「…魔力の枯渇」
「ま、魔力…?」
ローの事を信頼している先生は、少女が目を覚まさない理由を聞いたが、理由が良くわからなかった。
だが、大事そうに抱えているのを見て、嘘をついているとは到底思えなかった。
「出来る事はあるかな?」
「…わからねえ」
魔女の事はまだ謎が多い。
何度身体を診察しても、身体に異常はない。
今できる事は自分の魔力を渡し続けること。
いつ目を覚ますかわからないが、出来る限りそばにいてやるべきだと思った。
「なにかできることがあれば言ってくれ」
「ああ」
しばらく休んでいいと言われたので、ヴォルフの経過観察と、恋歌の目が覚めるまでと思い、取り敢えず1週間ほど休みをもらった。
ヴォルフが目を覚ました日は恋歌が目を覚ます事はなかった。
4人だけで食べるご飯は、どこか寂しく、静かな食卓になっている。
「なぁ…ローさん」
もそもそとご飯を食べていると、ベポがローに話しかけた。
「恋歌は…起きるかな…」
「縁起でもねぇこと言うな
必ず目を覚ます」
恋歌が使った杖はソファの上に置かれ、恋歌は部屋で眠っている。
ベポには安心させる為にこう言ったが、なぜ事前に恋歌の限界を聞かなかったのか、もっとちゃんと魔女の事を聞いておかなかったのかと、後悔だけが心に渦巻く。
「うん…」
恋歌が目を覚まさないとはいえ、ヴォルフも恋歌も動けないとなると、仕事は4人でこなさなければいけない。
「(よし…)」
夕飯も食べ終わり、後は寝るだけとなった時間。
ローは恋歌の部屋の中で、ベッドで眠っている恋歌の傍らに立って気合いを入れる。
ごそごそと恋歌の布団に入り、恋歌の横にごろんと寝転んだ。
こんな時に不謹慎かと思うかもしれないが、恋歌の匂いがする布団に心臓がどきどきとしている。
眠り続ける恋歌を引き寄せて、寝にくくならないように抱きしめてやる。
「(この状態で起きたら驚くよな)」
人と眠る事は初めてなため、どうすればいいのかわからないが、なんとか姿勢を整えて目を閉じる。
「(ちゃんと起きろよ)」
魔力を寝ている間にも供給する為に、3人に一緒に寝て来いと言われたためこうしているのだが、これで恋歌が起きるのかわからない。
3人の期待を裏切らないためにも、早く朝を迎える為にも早く寝ようと意識を手放した。
『(ん…?)』
次の日の朝。
目を覚ました恋歌は身体が動かしにくいことに気づいて、もぞもぞと動いていると、身体を固定していた人物ががばっと起き上った。
「恋歌!!起きたのか!!」
≪うん≫
肩を掴んで揺さぶられ、何があったのかを思い出す。
≪ヴォルフは?≫
ローの事を信じている為、必ず助けてくれていると信じているが、直接言葉で聞いて安心したい。
「ああ、じいさんは無事だ
もう目を覚ましてる」
≪よかった
さすが、ローだね≫
「けど…お前は丸1日起きなかった」
≪え…そんなに?≫
そんなに時間が経っていたとは思わず、驚いた顔をしているとローにため息をつかれた。
「無茶をしたんだな」
≪うん…ごめん
ヴォルフの為に出来る事が…あれだったの≫
「そうか…
でもな、俺たちに心配をかけるな
じいさんが助かっても…お前が目を覚まさなきゃ…喜べねぇよ…」
ヴォルフの為に何かしたいという気持ちはわかる。
だがそれで恋歌が目を覚まさなければ誰も喜べなかった。
とん、と恋歌の肩におでこを乗せたローは無事でよかったと小さくつぶやいた。