恋歌とシリウスが入れ替わってから数日で恋歌の体重は元に戻り、シャチとペンギンも入れ替わった次の日の朝に謝ったのですでにいつも通りの日常。

変わったところといえば、シリウスが修行をきつめに行いはじめ、船内では恋歌が足をついて歩くことはなくなった事。

最初のうちはきつそうで、いろんなところにぶつかり、転びそうになっているのを全員が支えていたが、浮いて過ごす事についてはすぐにコツを掴んだのか数日で安定した。

髪を乾かす時に使う魔法も練習としてみんなが髪を使わせてくれ、それもかなり安定するようになってきた。

だが、修行としては毎日魔力を使い切らなければ意味がなく、一番被害を受けているのはローだった。

毎日毎日目に魔方陣が浮かんだ恋歌が夜に部屋に来てはキスを強請る。

魔力を限界以上に使っている反動なのか、キスをした後はすぐに意識を失ってしまう。

むらむらとした気分だけが毎日蓄積され、目に見えていらいらしているのでいったい何があったのかとシャチとペンギンはびくびくとしている。

1人で恋歌が眠った後に恋歌を少し触って欲を吐き出してはいるが、反応がない恋歌相手では虚しいだけ。

「そういえばもうすぐ次の島に着くよ」

「そろそろ食糧もなくなりそうだったしちょうどいい」

ローがふらふらと食堂からいなくなった後でベポが思い出したように言えば、ペンギンがほっとしたように笑った。

『次は、どんなところ、だろうね』

「噂によると、ものすごい美女がいるらしい！！」

『美女…？』

シャチが興奮したようにずいっと顔を近づけてくる。

「その島は王制で女王が美容に力を入れてるんだってさ

実際女王は昔のままの美しさを保ってるらしい

で、女王が美容に力を入れてるからその島の住人たちも美人が多いって噂だ」

「へぇー、女の人ってそういうのずっと努力しないといけないから大変だよな」

「ほんとにな

でもおれもちょっと興味あるから楽しみなんだよなー」

シャチは美容院で働いていたこともあり、美容に関することも詳しい。

恋歌の髪質に合わせて手入れの方法を教えてくれているおかげで、恋歌の髪は美しさを保っている。

『わたしも、行ってみたい』

「気になるよな！

安全そうだったら一緒に行くか」

『うん』

年頃の女の子である恋歌が美容に興味がないはずもなく、2人で盛り上がっている。

もし次の島が安全であれば恋歌とシャチが上陸できるようにしてやろうと、ペンギンとベポは楽しそうな2人を見て笑った。