愛した人の愛し方
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恋歌が脱衣所から戻ってくるとローもすでに着替え終わってベッドに座っており、恋歌が戻ってきた事に気づいて視線を上げた。
「…なんだ」
脱衣所の扉の前でもじもじと手をせわしなく動かしながら、視線を床に向けて動かない恋歌に近づくために足を踏み出せば、どんっ、と音を立てて恋歌が脱衣所の扉に背中をぶつけた。
だが、最初の立ち位置が悪くすたすたと近寄ってくるローからそれ以上離れる事ができなかった。
「(また…昨日の事恥ずかしがってんだろうな)」
俯いている所為で顔が見えず、恋歌の髪を耳にかけてやれば赤く染まった耳が現れ、すり、と指で撫でてやれば僅かに身体が揺れ、指先でローの服の裾を引く。
「…朝飯、行くぞ」
『…うん』
積極的なのか消極的なのかわからないが、おそらく知識欲とその場の雰囲気に流され、一晩眠れば自分がしたことを思い出して恥ずかしくなっているのだろうと容易に想像できる。
少しいじめてやりたくなったがそれをぐっと堪え、腰に手を回して部屋から出ようと促した。
恋歌とローが正式に”お付き合い”を始めたが、元々恋歌に甘かったローの行動はクルーたちの前では特に変わらなかった。
だが、恋歌がローのすることに照れたり、慌てたり、変な動きをしたりと今までとは違う反応を見せるので、楽しそうにしているローと顔を赤くしている恋歌を、ほわほわとした視線で見守っている。
「あんまいじめてやるなよな」
「…なんのことだ」
次の島で調達する備品について相談をしに船長室に来ていたペンギンが買い出し予定のリストを渡し、ローのチェックを待っている間に恋歌がいない今の間に言ってしまおうと口を開いた。
「恋歌は可愛いし浮かれてるのはわかるけどさ、あんなにいじめてると嫌われるぞ」
「あいつがそんな簡単におれを嫌うかよ」
「(すげぇ自信…)」
浮かれてる、という言葉を否定もせず、買い出しのリストから一切目を逸らさずに、自信に満ちた声で返事をする。
「それに、おれは特別何かを変えたつもりはねぇ」
「…たしかに」
言われてみれば昔からローと恋歌の距離は近く、恋人になったからといってその距離が変わった感じはない。
「恋歌の意識が変わったって事か」
「そうだな」
ただの兄貴分や幼馴染としてはなく、男として意識し、頑張って振り向いてもらおうと奮闘し、その頑張りが実った後、気が抜けたようにローの傍にいるだけで照れている。
好きな男の傍にいるだけで可愛い反応を見せる恋歌の事を思い出して、ローは自分の口元が緩んでいる事に気づいているのだろうかと、呆れたようなペンギンの口元にも笑みが浮かぶ。
買い出しのリストに問題はなかったのか、無言で紙をペンギンに返す。
「ペンギン」
「んあ?」
「…感謝はしてる」
「は?」
ふい、と視線を逸らしたローの耳は恋歌からもらったピアスと、赤い色で彩られている。
それに気をよくしたペンギンは、ぱしん、と軽くローの背中を叩いた。
「幸せにしねぇと許さねぇからな」
「…わかってる」
愛してくれた人が言葉で”愛してる”と伝えてくれたのは最期だけ。
それでも他人だった自分を大事にしてくれて、命と、身体と、心をくれた。
行動でも言葉でも”愛してる”と伝えられるように。
「(おれの短い命が尽きるまでは…全力で愛してやるよ)」
己の命が尽きる…復讐の…その時まで。
「…なんだ」
脱衣所の扉の前でもじもじと手をせわしなく動かしながら、視線を床に向けて動かない恋歌に近づくために足を踏み出せば、どんっ、と音を立てて恋歌が脱衣所の扉に背中をぶつけた。
だが、最初の立ち位置が悪くすたすたと近寄ってくるローからそれ以上離れる事ができなかった。
「(また…昨日の事恥ずかしがってんだろうな)」
俯いている所為で顔が見えず、恋歌の髪を耳にかけてやれば赤く染まった耳が現れ、すり、と指で撫でてやれば僅かに身体が揺れ、指先でローの服の裾を引く。
「…朝飯、行くぞ」
『…うん』
積極的なのか消極的なのかわからないが、おそらく知識欲とその場の雰囲気に流され、一晩眠れば自分がしたことを思い出して恥ずかしくなっているのだろうと容易に想像できる。
少しいじめてやりたくなったがそれをぐっと堪え、腰に手を回して部屋から出ようと促した。
恋歌とローが正式に”お付き合い”を始めたが、元々恋歌に甘かったローの行動はクルーたちの前では特に変わらなかった。
だが、恋歌がローのすることに照れたり、慌てたり、変な動きをしたりと今までとは違う反応を見せるので、楽しそうにしているローと顔を赤くしている恋歌を、ほわほわとした視線で見守っている。
「あんまいじめてやるなよな」
「…なんのことだ」
次の島で調達する備品について相談をしに船長室に来ていたペンギンが買い出し予定のリストを渡し、ローのチェックを待っている間に恋歌がいない今の間に言ってしまおうと口を開いた。
「恋歌は可愛いし浮かれてるのはわかるけどさ、あんなにいじめてると嫌われるぞ」
「あいつがそんな簡単におれを嫌うかよ」
「(すげぇ自信…)」
浮かれてる、という言葉を否定もせず、買い出しのリストから一切目を逸らさずに、自信に満ちた声で返事をする。
「それに、おれは特別何かを変えたつもりはねぇ」
「…たしかに」
言われてみれば昔からローと恋歌の距離は近く、恋人になったからといってその距離が変わった感じはない。
「恋歌の意識が変わったって事か」
「そうだな」
ただの兄貴分や幼馴染としてはなく、男として意識し、頑張って振り向いてもらおうと奮闘し、その頑張りが実った後、気が抜けたようにローの傍にいるだけで照れている。
好きな男の傍にいるだけで可愛い反応を見せる恋歌の事を思い出して、ローは自分の口元が緩んでいる事に気づいているのだろうかと、呆れたようなペンギンの口元にも笑みが浮かぶ。
買い出しのリストに問題はなかったのか、無言で紙をペンギンに返す。
「ペンギン」
「んあ?」
「…感謝はしてる」
「は?」
ふい、と視線を逸らしたローの耳は恋歌からもらったピアスと、赤い色で彩られている。
それに気をよくしたペンギンは、ぱしん、と軽くローの背中を叩いた。
「幸せにしねぇと許さねぇからな」
「…わかってる」
愛してくれた人が言葉で”愛してる”と伝えてくれたのは最期だけ。
それでも他人だった自分を大事にしてくれて、命と、身体と、心をくれた。
行動でも言葉でも”愛してる”と伝えられるように。
「(おれの短い命が尽きるまでは…全力で愛してやるよ)」
己の命が尽きる…復讐の…その時まで。