出会いから出航まで
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
アミの家からの帰り道、ローに腕を引かれているが、アミのことが気になり何度も後ろを振り返っている。
「恋歌」
なかなか進まない恋歌の腕を引いて、ぶにっと頬をつねる。
「お前が気にしても仕方ねぇ
あいつには自分の事を見せてもいいと思ったから、魔法を見せたんだろ
自分の信じた奴の事を信じてやれ」
ローの言葉がすとんと心に入ってきて、素直にうなずけた。
「今日の夕飯はなんだろうな」
この後は一度もアミの家を振り返ることなく、ローと一緒に家に帰った。
それから数日間、アミは本屋に顔を出さなかった。
恋歌からパン屋に行く勇気がなく、ペンギンの働くレストランにも行く勇気はない。
「大丈夫?最近元気ないみたいだけど…」
店主に元気がないのを悟られてしまったが、それには大丈夫だと返す。
お昼休憩は自分で作ってきたものを休憩室で食べるようになってしまい、外に行くことはなくなってしまった。
「そう?元気ならいいけど…
じゃあお昼からできそうかい?」
遂に恋歌がする占いのスペースができあがった。
本屋の片隅に小さな机と、2脚の椅子。
プライバシーを守るために簡単な個室になっている。
「普段は本屋の仕事をしてくれていればいいけど、占ってほしいっていうお客さんがいたらお願いね」
その言葉に頷くと、店主は新しく作った占いの看板を本屋の前に出しに行った。
約束していた通り一日最大20人までという決まり。
店主には申し訳ないが、そんな規則を作ってもらっても、そこまで繁盛するとは思えなかった。
「恋歌ちゃん!占いのお客さんだよ!」
『(え、)』
占いの看板を出してから数時間後、占いのお客第一号が来たと店主に呼ばれた。
まさかこんなにはやくお客さんが来ると思っていなかった恋歌は、慌てて仕事を片付けて占いスペースへと向かう。
もうすでに椅子に座っている後ろ姿を見て、誰かわかった恋歌はゆったりとした足取りになる。
「久しぶり」
『(アミ…)』
綺麗な金髪が見えたとき、アミであるとわかったが、なぜこのタイミングで来てくれたのか。
数日前に見た笑顔と変わらず、見た目には元気そうに見える。
中には紅茶を淹れるのが得意と聞いていた店主が、お客さんにふるまえるようにとティーセットを用意してくれているので、アミに紅茶を淹れて出す。
「ありがと」
初めてのお客さんで、魔法を見せてから一度も会っていなかった友人にどう接していいかわからず、困っているとアミが小さく笑いを漏らした。
「急に来てごめんね
ちょっと心の整理をつけて…あなたに会いに来たの」
ポケットから取り出したのはあの日恋歌が渡した、妹の言葉を書いた紙。
何度も読んだのかよれよれになったその紙を恋歌の前に出す。
「恋歌にもらったこれを読んで…なぜか妹の言葉だって…わかった
それから涙が止まらなくなって…ぐるぐるといろいろ考えちゃったんだけど…
嬉しかったの
妹の言葉も…あなたが私にしてくれたことも、全部」
ぎゅっと手を握られ、晴れやかな笑顔を向けてくるアミに、恋歌は何か込み上げてくるような気がした。
「本当にありがとう
恋歌と友達になれてよかった
あの日、あの席に座ってくれたのが、恋歌でよかった」
そう言われて急に視界が滲み、頬に熱いものが流れたのがわかった。
それが涙だとわかるのに時間はかからなかったが、なぜ涙が流れているのかはわからなかった。
「また明日も…一緒にお昼ご飯を食べましょう」
ペンを握る事の出来ない恋歌は、何度もうなずいて返事を返す。
自分の魔法で喜んでくれた人がいる。
魔法の事を知っても友人でいてくれる人がいる。
その事実が嬉しくて涙を流したのだとわかったのは、アミが帰ってから。
「おう、お疲れ…?」
仕事終わりに町の入り口に行くと、待っていてくれたローがじーっと恋歌の顔を見つめる。
触れるか触れないかの力加減で、恋歌の目元に触れる。
「何かあったか?」
おそらく目元がまだ少し赤くなっているのか、泣いたとばれたのだろう。
心配してくれているのだとわかる恋歌は、今日あったことを全てローに話すと、優しく笑ってよかったなと頭を撫でてくれた。
それにアミといたときとは違う心臓の鳴り方に、疑問を感じたが、すぐに収まったので気にしない事にした。
「恋歌」
なかなか進まない恋歌の腕を引いて、ぶにっと頬をつねる。
「お前が気にしても仕方ねぇ
あいつには自分の事を見せてもいいと思ったから、魔法を見せたんだろ
自分の信じた奴の事を信じてやれ」
ローの言葉がすとんと心に入ってきて、素直にうなずけた。
「今日の夕飯はなんだろうな」
この後は一度もアミの家を振り返ることなく、ローと一緒に家に帰った。
それから数日間、アミは本屋に顔を出さなかった。
恋歌からパン屋に行く勇気がなく、ペンギンの働くレストランにも行く勇気はない。
「大丈夫?最近元気ないみたいだけど…」
店主に元気がないのを悟られてしまったが、それには大丈夫だと返す。
お昼休憩は自分で作ってきたものを休憩室で食べるようになってしまい、外に行くことはなくなってしまった。
「そう?元気ならいいけど…
じゃあお昼からできそうかい?」
遂に恋歌がする占いのスペースができあがった。
本屋の片隅に小さな机と、2脚の椅子。
プライバシーを守るために簡単な個室になっている。
「普段は本屋の仕事をしてくれていればいいけど、占ってほしいっていうお客さんがいたらお願いね」
その言葉に頷くと、店主は新しく作った占いの看板を本屋の前に出しに行った。
約束していた通り一日最大20人までという決まり。
店主には申し訳ないが、そんな規則を作ってもらっても、そこまで繁盛するとは思えなかった。
「恋歌ちゃん!占いのお客さんだよ!」
『(え、)』
占いの看板を出してから数時間後、占いのお客第一号が来たと店主に呼ばれた。
まさかこんなにはやくお客さんが来ると思っていなかった恋歌は、慌てて仕事を片付けて占いスペースへと向かう。
もうすでに椅子に座っている後ろ姿を見て、誰かわかった恋歌はゆったりとした足取りになる。
「久しぶり」
『(アミ…)』
綺麗な金髪が見えたとき、アミであるとわかったが、なぜこのタイミングで来てくれたのか。
数日前に見た笑顔と変わらず、見た目には元気そうに見える。
中には紅茶を淹れるのが得意と聞いていた店主が、お客さんにふるまえるようにとティーセットを用意してくれているので、アミに紅茶を淹れて出す。
「ありがと」
初めてのお客さんで、魔法を見せてから一度も会っていなかった友人にどう接していいかわからず、困っているとアミが小さく笑いを漏らした。
「急に来てごめんね
ちょっと心の整理をつけて…あなたに会いに来たの」
ポケットから取り出したのはあの日恋歌が渡した、妹の言葉を書いた紙。
何度も読んだのかよれよれになったその紙を恋歌の前に出す。
「恋歌にもらったこれを読んで…なぜか妹の言葉だって…わかった
それから涙が止まらなくなって…ぐるぐるといろいろ考えちゃったんだけど…
嬉しかったの
妹の言葉も…あなたが私にしてくれたことも、全部」
ぎゅっと手を握られ、晴れやかな笑顔を向けてくるアミに、恋歌は何か込み上げてくるような気がした。
「本当にありがとう
恋歌と友達になれてよかった
あの日、あの席に座ってくれたのが、恋歌でよかった」
そう言われて急に視界が滲み、頬に熱いものが流れたのがわかった。
それが涙だとわかるのに時間はかからなかったが、なぜ涙が流れているのかはわからなかった。
「また明日も…一緒にお昼ご飯を食べましょう」
ペンを握る事の出来ない恋歌は、何度もうなずいて返事を返す。
自分の魔法で喜んでくれた人がいる。
魔法の事を知っても友人でいてくれる人がいる。
その事実が嬉しくて涙を流したのだとわかったのは、アミが帰ってから。
「おう、お疲れ…?」
仕事終わりに町の入り口に行くと、待っていてくれたローがじーっと恋歌の顔を見つめる。
触れるか触れないかの力加減で、恋歌の目元に触れる。
「何かあったか?」
おそらく目元がまだ少し赤くなっているのか、泣いたとばれたのだろう。
心配してくれているのだとわかる恋歌は、今日あったことを全てローに話すと、優しく笑ってよかったなと頭を撫でてくれた。
それにアミといたときとは違う心臓の鳴り方に、疑問を感じたが、すぐに収まったので気にしない事にした。