それから毎晩恋歌は夕飯後に部屋に籠り、ピアス作りに時間を使った。

部屋に籠っている理由を知っている3人が不寝番も変わってくれ、夜は集中して作業に取り掛かる事ができ、作業開始から4日目ですべてのピアスが完成した。

『(よし、できた)』

小さい四角い箱にピアスを入れ、ぱたんとその箱を閉じる。

『(明日…渡そう)』

机の引き出しに箱を入れた後、ベッドにもぞもぞと入り明日どうやって、いつ渡そうかと考えながら目を閉じた。





『おはよう』

「「「おはよう」」」

朝、食堂に行けば恋歌とロー以外の3人は既に揃っており、恋歌が席につけば欠伸をしながらローも食堂に入ってくる。

『お、おはよう』

「…おはよ」

「「「……」」」

いつもであれば笑顔で挨拶してくれる恋歌が、ローを見た瞬間ぱっと視線を逸らした。

そのいつもと違う様子に、ローは特に何も言うことなく挨拶だけを返して椅子に座り、ペンギンにコーヒーを要求する。

(恋歌って…隠し事下手だよな…)

ピアスが完成したことはロー以外全員が知っている。

恋歌の性格と今の2人の微妙な関係性を考えて、3人で目配せをして落ち着くまでは口を出さないでおこうと頷き合った。

ローはローで恋歌が悪い隠し事をしていると思っていないようで、目を泳がせている恋歌にわざと話しかけて反応を楽しんだりしている。

「じゃあおれは部屋に戻る」

「あいよ」

「あ、キャプテン

後で次の島の相談があるから、部屋行っていい？」

「ああ」

ベポに返事をしながら新しいコーヒーを持って食堂から出て行った。

「恋歌…あれ多分キャプテン何かは勘付いてるぞ」

『え…

そ、そうかな』

(あれで隠せてると思ってたのか)

ペンギンとシャチに苦笑いされたが、隠し事が苦手というのも恋歌のいいところなのだろうと、ぽん、と頭を撫でてやる。

「頑張れ」

『うん、ありがとう』

激励の言葉をかけてやれば握り拳を作って立ち上がる。

『渡してくる』

「うん、きっと喜んでくれるさ」

『…そうだと、いいな』

恋歌からの贈り物をローが受け取らないはずもなく、そこまで不安になるようなことでもないだろうとは思うが、頑張っている姿が可愛いので野暮なことは言わない。

渡すものを取りに部屋に戻っていく恋歌を見送り、食堂に残った3人は邪魔をしないように取り敢えず一服しようとお湯を沸かし始めた。