?大金を担いだままでは危険なので、小さな袋を残して大きな袋は恋歌が収納した。

「んじゃ、軍資金は手に入ったし、行くか」

ぽんぽん、と掌で袋を弾ませながら恋歌の目的である店に向かう。

買い物をしている時に見つけた店、ジュエリーショップに入店した。

「いらっしゃいませ」

店員に話しかけられた恋歌とペンギンだったが、外で話せない恋歌の為に見ているだけだと話して、ゆっくり見れるようにしてくれた。

「シャチの奴も連れて来たらよかったな」

≪一緒に来てくれるだけで心強いよ≫

目の前に並ぶのは男性用のピアス。

ジュエリーショップ側には申し訳ないかと思ったが、ローに作るピアスの参考にどんなピアスの種類があるのかと見に来ただけ。

『(4つ開けるって言ってたから…それでも変じゃなさそうなの…)』

ゆっくりと店内を歩きながら何がローに似合うかとショーケースの中を見ていく。

「(おれもなにか作ってもらおうかなー)」

恋歌に作ってもらったお揃いのペンダントを服の上から触り、ペンギンも店内も見渡して自分も何か作ってもらおうかと視線を滑らせる。

恋歌が悩んでいる間邪魔をしない様につかず離れずの距離に立ち、カタログなどを見てわからないなりにローに似合いそうなものがあれば恋歌に見せてみた。





しばらくして満足した恋歌は次の目的地に行こうとペンギンの袖を引いた。

次は加工前の金属を鉱石売場で買うために訪れ、純度の高い金とピンセットでしか持つ事が出来ないような小さいダイヤを4つ購入した。

「そのダイヤも使うのか？」

≪そうだね

ピアスに願いをこめようと思って≫

「願い？」

≪うん、うまくできるかわからないけど、頑張ってみる≫

「…そっか」

何をしようとしているのかはわからないが、純粋にうまくいけばいいなと思えた。

「できあがったらおれにも見せてくれよな」

買った金とダイヤの入った掌におさまる程度の小さな袋を大事に握り締めた恋歌は、ペンギンの言葉に笑顔で頷き、今日の外出の目的は果たせたため船に戻るために、ペンギンが恋歌の手を引いた。





「たっだいまー」

『ただいま』

「「おかえり」」

夕飯の時間の少し前に戻ってきた2人を、甲板に干していた洗濯物を取り込んでいた2人が出迎えてくれた。

「先に夕飯の準備するか」

『うん』

買ってきたものの整理や、換金の報告より先に夕飯の準備をしてしまおうと、2人で食堂に向かう。

買ってきた食材を冷蔵庫に入れ、いつものように食事の準備に取り掛かる。

「恋歌はそれ焼いてくれるか」

『わかった』

下ごしらえをしてあった魚を渡され、それを人数分焼いていくと、タレのいい匂いが食堂に広がっていく。

「いい匂いだなー」

「今日はブリかー」

匂いにつられて食堂に入ってきた2人は、早く夕飯にありつきたいのか、夕飯を作るのを手伝ってくれる。

「恋歌、そろそろキャプテン呼んできてくれ」

『うん』

恋歌が盛り付けを終えたころに、ペンギンに声をかけられたので、食堂から出てローの部屋へ向かった。