出会いから出航まで
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「友達ができた?」
仕事での帰り道、自転車に乗れない恋歌の為に、誰かひとりは町の入り口で待っていてくれる。
今日はローが待っていてくれたので、友達ができたと報告すると、なぜか変な顔をされた。
「変な奴じゃないだろうな」
話を続ける為に自転車には乗らず、家までの道のりを歩いて帰る。
≪本屋さんの近くにパン屋さんがあるのわかる?≫
「…ああ、ペンギンの勤務先とも近い所だな」
≪そこのパン屋さんで働いてる人
5つ年上だって≫
「まぁ、変な奴には気をつけろよ」
≪綺麗な女の人だったし大丈夫だよ≫
それは大丈夫という判断基準になるのかと疑問だったが、恋歌の機嫌がいいので、その言葉はぐっと飲み込んだ。
「なにかあれば俺たちに相談しろよ」
≪うん、ありがとう≫
「よし、じゃあ帰るか」
サドルに跨ったローの後ろの荷台に横向きに座り、ローの服を握る。
「しっかりつかまってろよ」
服を少し引かれた気配がしたので、ペダルに足を乗せて漕ぎ始める。
「(友達…なぁ…)」
魔女ということは町の人間に知られていないが、どんなことが原因で知られてしまうかわからない。
友達というのが女性であるという事には取り敢えずほっとしたが、女性でも“悪い大人”はいる。
だが、ヴォルフが胸を張って紹介したこの町の人間は、すべていい大人に見えた。
一先ず何かあった時には相談してもらえるように、話をちゃんと聞いてやろうと決めた。
それからアミはお昼の時間になると、恋歌の働いている本屋に顔を出し、休憩に行こうと誘ってくれるようになった。
店主もアミの事を知っているのか、笑顔で見送ってくれる。
「今日は屋台でお昼にしましょ!」
手をひかれてアミのおすすめの店に連れて行ってもらい、お昼を食べるというのが日課になっている。
椅子に座ってお昼を食べていると、誰かが近づいてくる気配がした。
「…誰?」
「…こいつの兄貴みたいなもんだ」
近寄ってきたのは診療所の先生と回診中だったローで、恋歌を見つけたので声をかけに来てくれたらしい。
アミが警戒したようにローを睨むが、兄貴という言葉を聞いて恋歌の方を見ると、頷かれたので取り敢えずの警戒は解いた。
「こいつが前に言ってた友達か」
≪うん、アミだよ
ローも休憩中?≫
「いや、先生の回診について回ってるところだ
すぐに戻る」
「え、なにそれ!」
筆談をしなくても意思疎通が出来ている二人を見て、アミがずいっと間に入ってきた。
「…俺はもう戻る
邪魔したな」
≪頑張ってね≫
ばいばいと手を振ると、ローは小走りで話が終わるのを待ってくれていた、診療所の先生の元に戻った。
「ねぇ、さっきのなに?
わたしにもできる?」
なぜか手を握られながら顔を近づけてくるアミに頷きで返すと、ぱあっと顔を輝かせた。
「わたしも恋歌とあいつみたいにお話ししたいわ!」
≪嬉しい
じゃあ次会う時に本渡すね≫
メモに書いてそれを見せると、嬉しそうに綺麗に笑ったアミに、恋歌も心が温かくなった。
けれどここまで一緒に過ごして、不思議に思った事がある。
≪アミはどうしてわたしと仲良くしてくれるの?≫
初めて会った時から友好的、お昼も誘ってくれて、手話も覚えてくれるという。
なにか裏があるとも思っていないが、この親切を不思議に思ったのは確かだった。
これからアミと友達を続けていくためにも、心のとっかかりはない方がいい。
「わたしね…少し前に妹を亡くしたの」
すこしつらそうな顔で笑うアミに聞いてはいけない話だったのかと思ったが、ぽつぽつと話を続ける。
「恋歌より少し歳は上だけど…あの子も本が好きで…本屋さんにも二人でよく行ったわ
初めて会ったレストランでもね、妹と二人であの席に座って…よくお昼ご飯やケーキを食べてた
あの子と一緒に食べていたのを思い出してあそこにいたら、あなたが来たの
それが…偶然とは思えなくて…」
≪妹さんはどうして亡くなったの?≫
「生まれたときから病弱でね
この寒い気候の島には身体が合わなかったみたいなんだけど…私たちは親がいないからこの島から出る事も出来ないし、この島以外の町でうまく生活できるとも限らない
要するに私は怖くて保身に走っちゃったのよ
どんな島でも、どんな町でも私が守ってあげるって…言ってあげれば…連れ出してあげれば…何か変わったかもしれないのにね」
≪アミは悪くないよ
妹さんだってアミの事…恨んでなんかないはず≫
「ありがと
まぁ、あの子がどう思ってたかなんてもうわからないけどね」
月並みな事しか書けない恋歌は、アミの好意を疑ってしまった事を悔やんだ。
こんな苦しい過去を思い出させて、友達になってくれた人の事を疑ってしまった。
『(よし)』
こちらを向いていないアミの服の袖を引いてメモを見せると、不思議そうな顔をされた。
≪今日仕事が終わったらアミの家に行ってもいい?≫
「別にいいけど…一人暮らしだから大したおもてなしもできないわよ?」
≪構わないよ
ローも連れて行ってもいい?≫
「ローってさっきの子のこと?別にそれもいいけど…」
≪じゃあ仕事が終わったらアミの家に行くね≫
アミの了解を得て、家を教えてもらい、仕事が終わった後、アミの家に集合となった。
仕事での帰り道、自転車に乗れない恋歌の為に、誰かひとりは町の入り口で待っていてくれる。
今日はローが待っていてくれたので、友達ができたと報告すると、なぜか変な顔をされた。
「変な奴じゃないだろうな」
話を続ける為に自転車には乗らず、家までの道のりを歩いて帰る。
≪本屋さんの近くにパン屋さんがあるのわかる?≫
「…ああ、ペンギンの勤務先とも近い所だな」
≪そこのパン屋さんで働いてる人
5つ年上だって≫
「まぁ、変な奴には気をつけろよ」
≪綺麗な女の人だったし大丈夫だよ≫
それは大丈夫という判断基準になるのかと疑問だったが、恋歌の機嫌がいいので、その言葉はぐっと飲み込んだ。
「なにかあれば俺たちに相談しろよ」
≪うん、ありがとう≫
「よし、じゃあ帰るか」
サドルに跨ったローの後ろの荷台に横向きに座り、ローの服を握る。
「しっかりつかまってろよ」
服を少し引かれた気配がしたので、ペダルに足を乗せて漕ぎ始める。
「(友達…なぁ…)」
魔女ということは町の人間に知られていないが、どんなことが原因で知られてしまうかわからない。
友達というのが女性であるという事には取り敢えずほっとしたが、女性でも“悪い大人”はいる。
だが、ヴォルフが胸を張って紹介したこの町の人間は、すべていい大人に見えた。
一先ず何かあった時には相談してもらえるように、話をちゃんと聞いてやろうと決めた。
それからアミはお昼の時間になると、恋歌の働いている本屋に顔を出し、休憩に行こうと誘ってくれるようになった。
店主もアミの事を知っているのか、笑顔で見送ってくれる。
「今日は屋台でお昼にしましょ!」
手をひかれてアミのおすすめの店に連れて行ってもらい、お昼を食べるというのが日課になっている。
椅子に座ってお昼を食べていると、誰かが近づいてくる気配がした。
「…誰?」
「…こいつの兄貴みたいなもんだ」
近寄ってきたのは診療所の先生と回診中だったローで、恋歌を見つけたので声をかけに来てくれたらしい。
アミが警戒したようにローを睨むが、兄貴という言葉を聞いて恋歌の方を見ると、頷かれたので取り敢えずの警戒は解いた。
「こいつが前に言ってた友達か」
≪うん、アミだよ
ローも休憩中?≫
「いや、先生の回診について回ってるところだ
すぐに戻る」
「え、なにそれ!」
筆談をしなくても意思疎通が出来ている二人を見て、アミがずいっと間に入ってきた。
「…俺はもう戻る
邪魔したな」
≪頑張ってね≫
ばいばいと手を振ると、ローは小走りで話が終わるのを待ってくれていた、診療所の先生の元に戻った。
「ねぇ、さっきのなに?
わたしにもできる?」
なぜか手を握られながら顔を近づけてくるアミに頷きで返すと、ぱあっと顔を輝かせた。
「わたしも恋歌とあいつみたいにお話ししたいわ!」
≪嬉しい
じゃあ次会う時に本渡すね≫
メモに書いてそれを見せると、嬉しそうに綺麗に笑ったアミに、恋歌も心が温かくなった。
けれどここまで一緒に過ごして、不思議に思った事がある。
≪アミはどうしてわたしと仲良くしてくれるの?≫
初めて会った時から友好的、お昼も誘ってくれて、手話も覚えてくれるという。
なにか裏があるとも思っていないが、この親切を不思議に思ったのは確かだった。
これからアミと友達を続けていくためにも、心のとっかかりはない方がいい。
「わたしね…少し前に妹を亡くしたの」
すこしつらそうな顔で笑うアミに聞いてはいけない話だったのかと思ったが、ぽつぽつと話を続ける。
「恋歌より少し歳は上だけど…あの子も本が好きで…本屋さんにも二人でよく行ったわ
初めて会ったレストランでもね、妹と二人であの席に座って…よくお昼ご飯やケーキを食べてた
あの子と一緒に食べていたのを思い出してあそこにいたら、あなたが来たの
それが…偶然とは思えなくて…」
≪妹さんはどうして亡くなったの?≫
「生まれたときから病弱でね
この寒い気候の島には身体が合わなかったみたいなんだけど…私たちは親がいないからこの島から出る事も出来ないし、この島以外の町でうまく生活できるとも限らない
要するに私は怖くて保身に走っちゃったのよ
どんな島でも、どんな町でも私が守ってあげるって…言ってあげれば…連れ出してあげれば…何か変わったかもしれないのにね」
≪アミは悪くないよ
妹さんだってアミの事…恨んでなんかないはず≫
「ありがと
まぁ、あの子がどう思ってたかなんてもうわからないけどね」
月並みな事しか書けない恋歌は、アミの好意を疑ってしまった事を悔やんだ。
こんな苦しい過去を思い出させて、友達になってくれた人の事を疑ってしまった。
『(よし)』
こちらを向いていないアミの服の袖を引いてメモを見せると、不思議そうな顔をされた。
≪今日仕事が終わったらアミの家に行ってもいい?≫
「別にいいけど…一人暮らしだから大したおもてなしもできないわよ?」
≪構わないよ
ローも連れて行ってもいい?≫
「ローってさっきの子のこと?別にそれもいいけど…」
≪じゃあ仕事が終わったらアミの家に行くね≫
アミの了解を得て、家を教えてもらい、仕事が終わった後、アミの家に集合となった。