ローに教わりながら練習をしている恋歌とベポとの対決は後回しにし、練習している横でペンギンとシャチが対決を始めた。

「手加減はしねぇからな」

「おれだって！」

横から自分達とは全く違う音で卓球をしている2人を見て、だんだんと勝てるか不安になってきた。

『あんなの…打ち返せないよ…』

「大丈夫だ

ボール自体は重くねぇ

取り敢えずラケットに当てればなんとかなる」

『そ、そうかな』

「あいつらだって恋歌にそんな無茶なことはしてこねぇよ」

「えー…おれはー？」

「ベポは力あるだろ」

「そうだけどさ…」

非力な恋歌にそんな剛速球を打ってこようとはさすがに思わないだろうが、ベポは純粋な力だけで言えば一番強い。

力任せにラケットを振られれば、ローより凶悪なスピードで打ち返される可能性がある。

「よっしゃああああああ！！」

しばらくして横からシャチの喜びの雄叫びが聞こえ、ペンギンが落ち込んだように床に倒れ込んでいる。

「次！恋歌かベポやろうぜ！」

「あ、じゃあおれがやる」

「うう…じゃあ恋歌、おれとやろう」

『うん』

うきうきとした顔でベポと向かい合うシャチの試合の邪魔をしないように、ペンギンが立ち上がって恋歌と反対の場所に歩いてきた。

「取り敢えず打ち返せ

おれからのアドバイスはそれだけだ」

『うん、頑張る』

「よーし、いくぞー」

間延びした声で軽くボールを打ってきたペンギンに、手加減してくれてるなと感じたが、恋歌に力の調整などできるはずもなく、ローのアドバイス通り打ち返す事に集中しようと、ラケットを握る力を強めた。






試合開始から数分後、恋歌対ペンギン、シャチ対ベポの決着がついた。

『…負けちゃった』

「…仕方ねぇな」

「おれも負けた―」

勝ったのはペンギンとシャチで、恋歌とベポは負けてしまった。

ペンギンは力任せに打ち込んでくることは一度もなかったが、打ち返せない時が何度かあり、純粋に恋歌は負け、ベポは当たればかなりの確率で点数を取っていたが、何度も空振りを繰り返して最終的に負けた。

「まぁ…次頑張れ」

少し落ち込んでいる恋歌とベポの頭に手を乗せて励ましてやり、恋歌と交代してローがペンギンと反対に立つ。

「お、じゃあ恋歌

次はおれとやろうぜ」

『うん』

恋歌がシャチに呼ばれベポが点数を数えてくれると言うので、新しい試合開始。