出会いから出航まで
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翌朝、ペンギンの焼いてくれた目玉焼きとご飯を食べながら食卓にはついているが、いつものような騒がしさはない。
ヴォルフも黙っており、いつもとは違う雰囲気の様な気がして、話しかける事も憚られる。
「時間じゃ、出発するぞ」
ヴォルフの発明したバギーに乗り込み、町までの道のりを進んでいく。
10分程ヴォルフが運転してついた町は、プレジャータウンという町。
ペンギンとシャチが暮らしていた町で、今から全員が働く町。
「ほれ、行くぞ」
ずんずんと迷いなく町を進んでいくヴォルフに、4人で後ろをついていく。
プレジャータウンは商人たちの声が響き渡る活気のある町だった。
魚屋、肉屋、刺青屋、占いの館、楽器や絵本の専門店などなんでもある。
ヴォルフも町に馴染んでいるらしく、歩いているだけでいろいろな人から声をかけられている。
そのヴォルフが連れている子ども達にも関心を示してくるが、誰も嫌悪や侮蔑のまなざしを向けてくることはない。
『(いい町だね…)』
みんなが恐れていた“大人”はどこにもいない。
ここにいるのは大人は大人でも“いい大人”ばかり。
「少しは安心したか?」
昨日から先ほどまでの態度とは打って変わり、いつもの様に優しい笑顔を向けてくれるヴォルフに子ども達はほっとした。
「この町はな、十七年ばかり前に一度滅びかけた事がある
ロクでもないない海賊のせいでな
その事件の後で標語が作られた
【誰もが喜べる町を、誰もが優しくあれる町を】とな
だから、喋る白クマがいるくらいで、町の人間は嫌な態度をとったりしないわい
ここを訪れる者たちを、出来る限りあたたかく迎え入れる
それがこの町の精神なんじゃ」
「じいさん…あんたこうなるのがわかってたのか」
「当たり前じゃ
この天才発明家、多少の未来は見通せるわい」
「だったら先に説明しときゃいいじゃねぇか」
「ふん、わしが口で説明したところで、お前たちは納得できんじゃろうし、不安が消える事もなかったはずじゃ
他人の優しさなんてのはな、直接触れなければ意味のないものなんじゃ」
ヴォルフのいう事に納得したのか、これ以上文句をいう事はなかった。
「よし、それじゃあ町の駐在のところへあいさつに行くぞい
ガキどもを働かせるんなら、許可をとっておく必要があるんでな」
またすたすたと歩いていくヴォルフの背中を追いかけていくと、レンガ造りの小さな建物があった。
「ラッド!おるか!」
ヴォルフが声をかければ中から赤い制服を着て、腰には刀を差した男が現れた。
二人が話をし、名前を書けと言われた場所に名前を書く。
ヴォルフが保護者という事になるらしく、これで好きに雇ってくれるところを探せばいいということだった。
ヴォルフにどんな仕事がしたいのかを聞かれ、各々やりたいことを伝える。
ローは町の診療所。
ベポは力を活かせる工事現場。
ペンギンはレストランのウエイター。
シャチは美容院の雑用。
「恋歌はどうしたい?」
いつもの様に優しい声で聞いてくれるヴォルフに、恋歌はどう答えようか悩んでいる。
「恋歌なら…本が好きだし本屋でもいいかもな」
「占いも得意だし占いでもいいかも!」
「料理もうまいんだからさ、俺と一緒でもいいぞ!」
「紅茶淹れるのもうまいから、カフェとかどうだ!?」
次々と候補をあげてくれるみんなに、ぽかんとしていると、ヴォルフがぽんと恋歌の頭に手を置いた。
「お前さんが話せなくとも、この町の人間は責めたりせん
魔女であるということも話さなくともよい
好きな仕事をして…好きな時に話せ
もう一度聞く
恋歌がしたいことはなんじゃ」
その言葉にしばらく考えた後、ノートにさらさらと字を書いていく。
≪本屋さんで働いてみたい≫
「よしきた、わしに任せておけ」
ぐりぐりと頭を撫でられ、髪をぼさぼさにされたが、それが嬉しくて笑顔を浮かべると、ヴォルフは町の方に歩いて行った。
ヴォルフも黙っており、いつもとは違う雰囲気の様な気がして、話しかける事も憚られる。
「時間じゃ、出発するぞ」
ヴォルフの発明したバギーに乗り込み、町までの道のりを進んでいく。
10分程ヴォルフが運転してついた町は、プレジャータウンという町。
ペンギンとシャチが暮らしていた町で、今から全員が働く町。
「ほれ、行くぞ」
ずんずんと迷いなく町を進んでいくヴォルフに、4人で後ろをついていく。
プレジャータウンは商人たちの声が響き渡る活気のある町だった。
魚屋、肉屋、刺青屋、占いの館、楽器や絵本の専門店などなんでもある。
ヴォルフも町に馴染んでいるらしく、歩いているだけでいろいろな人から声をかけられている。
そのヴォルフが連れている子ども達にも関心を示してくるが、誰も嫌悪や侮蔑のまなざしを向けてくることはない。
『(いい町だね…)』
みんなが恐れていた“大人”はどこにもいない。
ここにいるのは大人は大人でも“いい大人”ばかり。
「少しは安心したか?」
昨日から先ほどまでの態度とは打って変わり、いつもの様に優しい笑顔を向けてくれるヴォルフに子ども達はほっとした。
「この町はな、十七年ばかり前に一度滅びかけた事がある
ロクでもないない海賊のせいでな
その事件の後で標語が作られた
【誰もが喜べる町を、誰もが優しくあれる町を】とな
だから、喋る白クマがいるくらいで、町の人間は嫌な態度をとったりしないわい
ここを訪れる者たちを、出来る限りあたたかく迎え入れる
それがこの町の精神なんじゃ」
「じいさん…あんたこうなるのがわかってたのか」
「当たり前じゃ
この天才発明家、多少の未来は見通せるわい」
「だったら先に説明しときゃいいじゃねぇか」
「ふん、わしが口で説明したところで、お前たちは納得できんじゃろうし、不安が消える事もなかったはずじゃ
他人の優しさなんてのはな、直接触れなければ意味のないものなんじゃ」
ヴォルフのいう事に納得したのか、これ以上文句をいう事はなかった。
「よし、それじゃあ町の駐在のところへあいさつに行くぞい
ガキどもを働かせるんなら、許可をとっておく必要があるんでな」
またすたすたと歩いていくヴォルフの背中を追いかけていくと、レンガ造りの小さな建物があった。
「ラッド!おるか!」
ヴォルフが声をかければ中から赤い制服を着て、腰には刀を差した男が現れた。
二人が話をし、名前を書けと言われた場所に名前を書く。
ヴォルフが保護者という事になるらしく、これで好きに雇ってくれるところを探せばいいということだった。
ヴォルフにどんな仕事がしたいのかを聞かれ、各々やりたいことを伝える。
ローは町の診療所。
ベポは力を活かせる工事現場。
ペンギンはレストランのウエイター。
シャチは美容院の雑用。
「恋歌はどうしたい?」
いつもの様に優しい声で聞いてくれるヴォルフに、恋歌はどう答えようか悩んでいる。
「恋歌なら…本が好きだし本屋でもいいかもな」
「占いも得意だし占いでもいいかも!」
「料理もうまいんだからさ、俺と一緒でもいいぞ!」
「紅茶淹れるのもうまいから、カフェとかどうだ!?」
次々と候補をあげてくれるみんなに、ぽかんとしていると、ヴォルフがぽんと恋歌の頭に手を置いた。
「お前さんが話せなくとも、この町の人間は責めたりせん
魔女であるということも話さなくともよい
好きな仕事をして…好きな時に話せ
もう一度聞く
恋歌がしたいことはなんじゃ」
その言葉にしばらく考えた後、ノートにさらさらと字を書いていく。
≪本屋さんで働いてみたい≫
「よしきた、わしに任せておけ」
ぐりぐりと頭を撫でられ、髪をぼさぼさにされたが、それが嬉しくて笑顔を浮かべると、ヴォルフは町の方に歩いて行った。