「恋歌はどれがいい？」

『（どれがいいんだろ…）』

楽しそうにしているベポの横で顎に手を当てて唸っている恋歌は、目の前に並ぶものでどれがいいのかわからず悩んでいた。

（白クマと犬と美少女の組み合わせ…？）

係員が妙な組み合わせに戸惑っていると後ろからシャチがひょい、と手元を覗き込んできた。

「うわ、こんなにあると悩むな」

『うん』

「へぇ、どれどれ」

1番最後に入ってきたローはなぜかじっと係員を睨んだあと、くい、と恋歌の肩を掴んで引き寄せた。

「…能力の使用はありか」

「んー…楽しそうだからおっけー！」

「なら軽いのにしとけ

能力ありなら勝てる」

『わかった』

「「「ひでー！！」」」

目の前に並んでいるもの…水鉄砲の中で1番軽く、水を入れられる量が少ないものをローに渡され、ベポは力があるので水鉄砲の中で1番大きいものを選び、ペンギンとシャチは数で勝負するらしく小さなものや、威力のあるものをいくつも選んでいた。

『ローは？』

「おれは…これでいい」

ローが選んだのは恋歌より少し大きめの水鉄砲２つ。

準備ができたなら行こうとまたしてもベポが恋歌の腕を引いて走り出す。

プールということもあり、途中で係員に注意されてしまい、そこからは早足で歩いて行くのが見える。







「じゃあ負けた方が1週間風呂掃除当番ってことで！」

「「異議なし！」」

罰ゲームも決まったところで、全員がじゃきん、と水鉄砲を構える。

ルールは簡単で、全員が色違いのペイントのような水が入った水鉄砲で心臓を撃ち抜かれたら負け。

個室になっているのでその中であれば逃げ回る事が出来る。

「ハンデだ

おれは能力無しでやってやるよ」

「あー！！

そういうこと言うんだ！！」

「絶対掃除させてやるからな！！」

「上等だ」

ばちばちと火花を散らす３人を見て、ベポと恋歌は顔を見合わせて楽しそうに笑う。

ベポの頭にいるシリウスは興味なさそうに目を閉じて丸まっている。

「みんな楽しそうだね」

『だね』

こういう遊びに全力で挑むハートの海賊団は、真剣な顔で各々一定の距離を置いて水鉄砲を構える。

じり、と全員が誰かが動き始めるのを待ち、数秒沈黙が流れたところで最初に動き始めたのはシャチだった。