次の日はハートの海賊団のクルーは出航準備の為に、それぞれ与えられた役割を果たすため、朝食後からばたばたと忙しそうに動き回り、ペンギンとシャチは買い出しに向かい、ベポは荷物持ちとして着いて行った。

恋歌は怪我が治ったとはいえ、動き回る事は控えた方がいいと、ローと一緒に留守番。

「……」

「…早く答えろ」

「…ちっ」

『……』

だが、昨日の治癒魔法についてシリウスにローが詳しい事を聞こうとしているのだが、決して仲がいいとは言えない関係なのでずっと睨み合いを続けており、恋歌が教えて欲しいとシリウスに請うたので、渋々シリウスが口を開く。

「昨日も言ったが、治癒魔法の適性のない恋歌が治癒魔法を使うには人体の構造を理解する必要がある

そして傷の深さや酷さに伴って魔力の消費も激しい上に、治すのに時間もかかる

人体の構造を理解した上で、治癒魔法を使っても、適性のある魔女の数倍の魔力消費が必要になる

今の恋歌の魔力総量なら、昨日の傷で3割は使ってるはずだ」

『頭痛くなったのは？』

「治癒魔法に慣れてないからだろ

それについてはどの魔法でも一緒だが、今回は自分の身体に魔法を使ったからその反動だな

治癒魔法に慣れてない魔法使いの魔力が身体に流れたから、今回は頭痛って形で異変が起こったってとこだな」

『なるほど…

慣れたら、いいんだね』

「そうだな

こればっかりは練習を繰り返すしかない」

なんだかんだ恋歌の質問には分かり易く答えてくれるシリウスの説明で、黙って聞いていたローもシリウスの説明に納得したような顔をしている。

「(てことは恋歌の勉強内容を変える必要があるな)」

「まぁ焦らず出来る事を増やそう」

『うん』

自分に対するシリウスの態度は気に入らないが、恋歌にとっていい先生であることは変わりない。

知識の多さではシリウスに敵う者はいないということはローも認めているため、恋歌に何かあればすぐにシリウスが頭に浮かぶが、素直に教えを乞う事ができない。

『シリウス、わたし、頑張るからね』

「ああ、頼りにしてる」

最高の魔女になると約束した。

それを果たすために日々精進している恋歌に、期待を込めて一鳴きして撫でてくれる優しい手に擦り寄った。





３人が買い出しから戻ってきた後、出航準備を整えすぐに潜水をして次の島を目指した。

『(わたしの武器、か…)』

ちゃんとお別れができなかったが、自分の使える武器を教えてくれたミーシャに感謝し、それについて相談する為にロー以外の３人と話をしようと夜に声をかけた。