外で待っていたベポと合流し、ペンギンに抱えられたまま船の食堂に戻ると、不機嫌そうな顔をしたローが、食堂でコーヒーを飲んでいた。

「あ、おかえり」

『ただいま』

いつも座っている椅子にペンギンが座らせてくれ、夕飯の準備をしているシャチを手伝うためにペンギンもエプロンをつけ、ベポは恋歌の横に座る。

「なにしてた」

こん、とコーヒーの入ったカップを机に置くと、じっと恋歌を見てくる。

その視線に先ほどまでのミーシャとの会話や、教えてもらった事を思い出し、顔に熱が集まってきそうだったので慌てて顔を逸らして横にいるベポの腕に抱き着いた。

「あ？」

「どうしたの？」

『なんでも、ない』

どんなことをしてくればそんな反応になるんだと、ローの眉間にさらに皺がよった。

「まぁまぁ、たまに女の子同士で話すぐらいいいだろ」

この船に女性が他におらず、何か女性同士で話しでもしたのだろうと、シャチが助け舟を出してやるが、ペンギンは先ほどミーシャに押し倒された時の事と、その後の会話でなんとなく理解していた為、口を出す事はせず夕飯の準備を進める。

「ペンギン…お前、何か知ってるだろ」

「でぇっ…！？」

今の流れでなぜ自分に質問がくるのかと慌ててしまい、変な声を出してしまった為、ぎろりとローに睨まれる。

「え、えっと…」

『ペンギン、言わないで

お願い』

「ぐっ…」

恥ずかしそうにしている恋歌がベポの腕から顔を覗かせて頼んでくるので、ローの質問に答えようとした口を閉じた。

「おい」

ペ「………恋歌、助けてくれ」

ぎろりと睨まれたペンギンは背筋がぞくっとしたが、可愛い恋歌の頼みを無下にすることもできず、最終的に恋歌に助けを求めた。

『ロー、ほんとに、なんでもないから』

「…じゃあ話せばいいだろ」

『女の子同士の、お話だから、ローは、だめ』

「…わかった」

渋々といった感じで恋歌から視線を逸らしたローは、冷めてしまったコーヒーを一気に飲み干した。

「(助かった…)」

「あ、そうだ

取り敢えず船のメンテは終わったんだけど、いつ出航する？」

「…物資の調達ができ次第だ

明日ペンギンと一緒に必要な物を買ってこい」

「んじゃ、明日買い物してくるわ」

「ベポ、後で航路の確認をするから部屋に来い」

「アイアイ」

「恋歌は夜包帯変えてやるから風呂から上がったら一回部屋に来い」

『はい』

ローが全員に指示を出した後、机に並べられた夕飯に手を合わせた。