ペンギンの女難
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恋歌が見下ろしたルーフは、記憶の中にある顔とは違い、元々脂肪で大きかった顔が倍以上に膨れ上がっていた。
「こいつに聞きたいことはひとつ
本物のルーフがどこにいるかだ」
『本物…?』
それはどういうことなのかと首を傾げると、ローたちがアジトに奇襲を仕掛けるまでの話をしてくれた。
要約すると先代の息子夫婦は地下室で見つかり、ローの能力で救い出していた。
だが、2人から今のルーフは自分たちの息子ではなく、本物のルーフはどこか別の場所に監禁されているはずだと言われた。
2人に安全な場所に隠れるように伝えた後、アジトの中をくまなく探したがまだ本物のルーフが見つかっておらず、偽物に話を聞いているところ、ということらしい。
『じゃあ、その人の居場所が、わかればいいんだね』
「ああ」
わかったと頷いた恋歌は、低い位置にある偽物の頭を見下ろすと、相手から視線を向けられた。
「はっ…星の魔女が海賊とはな…
そいつらの慰み者にでもなってるのか?
それともそいつらがヒューマンショップにでも売り飛ばそうとしてんのか?」
「てめぇ…!」
『ペンギン、いいんだよ』
「け、けどさ…」
『いいの』
恋歌のことも自分たちのことも侮辱されて怒らないわけがなかったが、恋歌がいいと言うので渋々振り上げそうになっていた拳をおさえた。
『ロー、手貸して』
「?」
げらげらと不快な笑い声が聞こえる中、ローに手を差し出せばぎゅっと握り返してくれる。
「身体に飽きたら売ればいいもんな!
さすが海賊はやることが…『【黙れ】』」
「「「!?」」」
大きく息を吸ったかと思えば、恋歌の発した声に全員がぶわっと鳥肌が立った。
ルーフは急に声が出せなくなったようで、口をぱくぱくさせている。
「え?待って
黙れ、って…言った…?」
「おれも…そう聞こえた…」
「おれも…」
この鳥肌が立つ感覚は恋歌が魔法を使うときに何度か感じたことがあるが、それよりも恋歌が言った言葉に驚いて固まっている。
「(な、んだこれ…)」
だが、ローは恋歌の言葉より、自分の身体から何かが抜けていく感覚に驚いていた。
『【ルーフの居場所は?】』
「…アジトを抜けた先にある…小屋の…地下室だ…」
『ふぅ…だってさ』
いつも通りの声に戻った恋歌は、近くのローに視線を向ける。
「今の…なんだ」
身体からなにかが抜けていく感覚となれば、それは魔力しかないが、キス以外でここまで魔力を持っていかれる感覚は初めてだった。
「声に魔力を乗せて相手に強制的に命令する魔法だ
この魔法が効くかどうかはそいつの精神状態次第
弱っていれば弱っているほどかかりやすい」
恋歌の代わりに答えたシリウスはなぜかとことこと離れていき、ルーフへと一直線上の部屋の隅まで歩いっていった。
「へぇ…なんか…無敵っぽいな」
「ここまで簡単に魔法が効いたのはお前らが追い詰めてるからだ
結局さっきの言葉は虚勢だった
それにこの魔法は星じゃなくて人間に直接作用する
その分魔力消費も大きいからな
今の恋歌ならそのクソガキに魔力を借りながらじゃねぇと倒れる」
「なるほどなー
で、シリウスはなにしてんの?」
わかりやすい説明に全員が納得したが、なぜシリウスが離れていくのか分からず、全員が視線を向ける。
「こういうことだ!」
「「「!!」」」
助走をつけて走り出したシリウスは真っ直ぐにルーフの顔に頭から飛び込んだ。
「がっ…」
その衝撃で仰向けに倒れたルーフは、それが止めとなり気を失った。
「おれの相棒を侮辱した罰だ」
「ははっ、可愛い顔してなかなかやるな」
げしげしと後ろ足でルーフを蹴っているシリウスを、ペンギンが抱えてやり落ち着かせるように頭を撫でてやる。
「こいつに聞きたいことはひとつ
本物のルーフがどこにいるかだ」
『本物…?』
それはどういうことなのかと首を傾げると、ローたちがアジトに奇襲を仕掛けるまでの話をしてくれた。
要約すると先代の息子夫婦は地下室で見つかり、ローの能力で救い出していた。
だが、2人から今のルーフは自分たちの息子ではなく、本物のルーフはどこか別の場所に監禁されているはずだと言われた。
2人に安全な場所に隠れるように伝えた後、アジトの中をくまなく探したがまだ本物のルーフが見つかっておらず、偽物に話を聞いているところ、ということらしい。
『じゃあ、その人の居場所が、わかればいいんだね』
「ああ」
わかったと頷いた恋歌は、低い位置にある偽物の頭を見下ろすと、相手から視線を向けられた。
「はっ…星の魔女が海賊とはな…
そいつらの慰み者にでもなってるのか?
それともそいつらがヒューマンショップにでも売り飛ばそうとしてんのか?」
「てめぇ…!」
『ペンギン、いいんだよ』
「け、けどさ…」
『いいの』
恋歌のことも自分たちのことも侮辱されて怒らないわけがなかったが、恋歌がいいと言うので渋々振り上げそうになっていた拳をおさえた。
『ロー、手貸して』
「?」
げらげらと不快な笑い声が聞こえる中、ローに手を差し出せばぎゅっと握り返してくれる。
「身体に飽きたら売ればいいもんな!
さすが海賊はやることが…『【黙れ】』」
「「「!?」」」
大きく息を吸ったかと思えば、恋歌の発した声に全員がぶわっと鳥肌が立った。
ルーフは急に声が出せなくなったようで、口をぱくぱくさせている。
「え?待って
黙れ、って…言った…?」
「おれも…そう聞こえた…」
「おれも…」
この鳥肌が立つ感覚は恋歌が魔法を使うときに何度か感じたことがあるが、それよりも恋歌が言った言葉に驚いて固まっている。
「(な、んだこれ…)」
だが、ローは恋歌の言葉より、自分の身体から何かが抜けていく感覚に驚いていた。
『【ルーフの居場所は?】』
「…アジトを抜けた先にある…小屋の…地下室だ…」
『ふぅ…だってさ』
いつも通りの声に戻った恋歌は、近くのローに視線を向ける。
「今の…なんだ」
身体からなにかが抜けていく感覚となれば、それは魔力しかないが、キス以外でここまで魔力を持っていかれる感覚は初めてだった。
「声に魔力を乗せて相手に強制的に命令する魔法だ
この魔法が効くかどうかはそいつの精神状態次第
弱っていれば弱っているほどかかりやすい」
恋歌の代わりに答えたシリウスはなぜかとことこと離れていき、ルーフへと一直線上の部屋の隅まで歩いっていった。
「へぇ…なんか…無敵っぽいな」
「ここまで簡単に魔法が効いたのはお前らが追い詰めてるからだ
結局さっきの言葉は虚勢だった
それにこの魔法は星じゃなくて人間に直接作用する
その分魔力消費も大きいからな
今の恋歌ならそのクソガキに魔力を借りながらじゃねぇと倒れる」
「なるほどなー
で、シリウスはなにしてんの?」
わかりやすい説明に全員が納得したが、なぜシリウスが離れていくのか分からず、全員が視線を向ける。
「こういうことだ!」
「「「!!」」」
助走をつけて走り出したシリウスは真っ直ぐにルーフの顔に頭から飛び込んだ。
「がっ…」
その衝撃で仰向けに倒れたルーフは、それが止めとなり気を失った。
「おれの相棒を侮辱した罰だ」
「ははっ、可愛い顔してなかなかやるな」
げしげしと後ろ足でルーフを蹴っているシリウスを、ペンギンが抱えてやり落ち着かせるように頭を撫でてやる。