しばらく順調に航海を続けていたが、ある日異音がする場所があり、それをチェックする為に一旦浮上をすることになった。

「あー、こりゃ修理しねぇと」

「ほんとだな

替えの部品あったか？」

ペンギンとシャチがヴォルフが用意してくれていた説明書と、修理方法が載った分厚い紙を持ちながら、ある場所を見て腕を組んで唸っていた。

「いや…この部品ってこの間使い切っただろ」

「あー、ほんとだな」

部品が無ければ修理できないので、仕方ないかと息をはいてローに許可を得て、近くの島に上陸をすることになった。





島に上陸してすぐに部品を買いに行き、今回故障した場所は修理できたが、この機会に他に不具合がないか、一度全体的なメンテナンスをしようということになった。

「てわけで、風呂が使えないからしばらくこの島の宿で風呂だけ借りてくれるか？」

最初に故障したところがボイラーだったので、他に異常がないかを確かめるまで、必要最低限以外は動かさないようにする事にした。

ローは自分の部屋のシャワーが使えない事に嫌そうな顔をしていたが、海の中でトラブルがあるよりマシだと、渋々それを許可し交代で風呂に行くことになった。

「念のため変装はしていこうな」

「道を歩くときはペンギンとベポから離れるなよ」

『うん』

船から宿まではそんなに距離があるわけではないが、万が一の時の為に恋歌に変装をさせ、恋歌とペンギン、ベポの3人で先に風呂に行く為に準備を整えた。

銭湯のような施設もあるが、恋歌は胸の紋章を人に見られることを嫌い、ローは能力者の為湯船には浸かりたがらないので、１人ずつしか入れず時間はかかるが、宿の部屋を借りる事で落ち着いた。

「じゃあ行ってくるね！」

着替えなどのお風呂セットを抱えて、３人で船から降りていくのを見送り、ペンギンが戻ってくるまでにシャチはメンテナンスの続きを、ローは勉強の続きをするために自室に戻った。





「おれは最後でいいから先に行って来いよ」

『ありがとう』

宿屋の店員に事情を説明して、１室分の部屋代で５人が入れ替わりで風呂を使う事を許可してもらった。

「一緒に入れるかな？」

『大丈夫そう』

「(別々に入りゃいいのに…)」

浴室を覗いて２人で入れるかを確認してる姿を見て、狭いなら１人ずつ入ればいいのにとは思うが、それを口に出すことはせず、ベッドに腰掛けてローに借りている医学書を開いた。