出会いから出航まで
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ある日、みんなで収穫をしていると、恋歌の近くにペンギンが寄ってきた。
どうかしたのかと話しかけられるのを待っていると、辺りをきょろきょろと見渡した後、小声で話しかけてきた。
「恋歌さ、ちょっと教えて欲しいんだけど…」
なんだろうと、言いにくそうにしている言葉の続きを待っている。
「恋歌が作る飯って、俺らが作るより美味いじゃん?
なんでなんだ?」
《そうかな?ペンギンのも美味しいよ?》
ノートに字を書いて見せると、違うんだよなーと頭をがりがりとかいた。
「そうだ!
今日の夕飯は一緒に作っていいか?」
本日の夕飯当番は恋歌だが、ペンギンも手伝ってくれると言う。
断る理由はなかったので、頷きで返すと2人で夕飯のために、収穫を再開した。
『(…や、やりにくい)』
一緒に作るとは言ってくれたものの、ペンギンはずっと恋歌の手元を見ながらサラダを作っている。
「…その薬草をそこで使う…?、いや、これで臭みが消えるのか…」
ぶつぶつと何かを言いながら、手だけはしっかりと動かしている。
『(あんまり大したことしてないんだけどなぁ…)』
元々ペンギンは料理がうまい。
簡単なものも凝ったものもなんでも作れる。
恋歌ができることは、ヴォルフが育てている薬草を、料理に使っているだけ。
だが、ペンギンにはそれが新しい発見だったらしく、サラダを作り終わってからも、恋歌の料理をずっと見ていた。
《できたよ》
「はー…、薬草って薬になるだけじゃなくて、料理にも使えるんだな…
それで恋歌の料理は美味いのか!」
《美味しいって思ってもらえてるなら嬉しい
わたしもペンギンみたいに凝った料理とか作ってみたいから、また今度一緒に料理しよう》
ノートに書かれた文字を見て、ペンギンは嬉しそうに頷いた。
そしてまた別の日。
『(お、重い…)』
今日の恋歌は洗濯の当番だったため、寒い中洗い終わった洗濯物を干すために、洗濯籠を抱えてよたよたと歩いていると、ひょいと籠が目の前から消えた。
「大丈夫?」
籠を持ってくれたのはベポで、前が見えないほど積み上がった洗濯物を持っている恋歌を見て、助けに来てくれたようだった。
大丈夫だと手話で返すが、洗濯物を干す場所まで持って行ってくれるらしく、ベポが先に歩き出した。
「今日はいい天気だね」
珍しく雲一つない晴天で、いつもより気候も暖かい感じがする。
雪の多いこの島で、今日は天気がいいという事もあり、洗濯物が多くなってしまったというのもあるが、久しぶりに空が見えるのも気持ちがいいもの。
「夜は星が見えるといいね」
恋歌が星を見る事を好きだと知っている。
ベポも星が見える夜はローと一緒に星を見てくれていた。
このまま夜まで天気が良ければ、今夜は星を見る事ができるだろう。
「よいしょ」
軽々と持っていた洗濯籠を下ろし、洗濯物を干し始める。
≪今日は私が当番だから私がするよ≫
「俺が好きで手伝ってるんだ、気にするなよ」
いつもより数が多いからと、嫌な顔一つせず手伝ってくれるベポに感謝して二人で洗濯物を干していく。
「なぁ恋歌…」
しばらく二人で黙々と洗濯物を干していると、ベポが小さい声で恋歌に話しかけた。
いつもより元気がなさそうな様子に手を止めて視線を向ける。
「俺さ…ちゃんと役に立ってる?」
≪どういうこと?≫
ベポの質問の意味がわからない。
恋歌が返答に困っているのを見て、ベポが続きを話す。
「俺ってさ……シャチみたいに器用でもないし、ペンギンみたいに料理が上手なわけじゃないし…、ローさんみたいに誰かを助けられるわけじゃない…
恋歌も料理上手だし、紅茶も淹れるの上手だし、俺なんかにも優しいし…
ヴォルフも…変な発明ばっかりだけど、俺なんかをここに置いてくれて…
俺はちゃんと役に立ててるのかなって…」
人間ではない自分が本当にここにいてもいいのか不安だったのだろう。
だが、ベポが白クマだからと気にしている者はこの家には誰もいない。
「ん?」
落ち込んで地面を見ているベポの視界に入れるように、ベポの正面に立つ。
ちょいちょいと手招きをすると、不思議そうな顔をしながらも頭を下げてくれた。
「恋歌…」
ベポに好きだと言ってもらえたことがあったので、頭を撫でてやる。
≪私、ベポの事好きだよ
こうやっていろいろ手伝ってくれて、人の嬉しいことを自分の事のように喜べるぐらい優しいでしょ
私の為に手話も覚えてくれて…航海術も勉強して…頑張り屋だしね
私はそんなベポが大好き
だから、自分の事を“なんか”なんて言わないで
ベポと一緒にいられる事がとても嬉しい≫
「恋歌…」
『(わっ…)』
うるうると目を潤ませていくベポに、急に抱きしめられて驚いたが、手が届く範囲でベポの身体を撫でてやる。
「俺も!俺も恋歌が大好きだ!」
すりすりと頬ずりしてくるベポのふわふわの毛並を堪能しながら、ベポが落ち着くまでおとなしく抱き着かれていた。
「ベポが恋歌に告白してる」
「俺たち恋歌の手話はまだわからねぇからなー」
「…さっさと仕事の続きするぞ」
どうかしたのかと話しかけられるのを待っていると、辺りをきょろきょろと見渡した後、小声で話しかけてきた。
「恋歌さ、ちょっと教えて欲しいんだけど…」
なんだろうと、言いにくそうにしている言葉の続きを待っている。
「恋歌が作る飯って、俺らが作るより美味いじゃん?
なんでなんだ?」
《そうかな?ペンギンのも美味しいよ?》
ノートに字を書いて見せると、違うんだよなーと頭をがりがりとかいた。
「そうだ!
今日の夕飯は一緒に作っていいか?」
本日の夕飯当番は恋歌だが、ペンギンも手伝ってくれると言う。
断る理由はなかったので、頷きで返すと2人で夕飯のために、収穫を再開した。
『(…や、やりにくい)』
一緒に作るとは言ってくれたものの、ペンギンはずっと恋歌の手元を見ながらサラダを作っている。
「…その薬草をそこで使う…?、いや、これで臭みが消えるのか…」
ぶつぶつと何かを言いながら、手だけはしっかりと動かしている。
『(あんまり大したことしてないんだけどなぁ…)』
元々ペンギンは料理がうまい。
簡単なものも凝ったものもなんでも作れる。
恋歌ができることは、ヴォルフが育てている薬草を、料理に使っているだけ。
だが、ペンギンにはそれが新しい発見だったらしく、サラダを作り終わってからも、恋歌の料理をずっと見ていた。
《できたよ》
「はー…、薬草って薬になるだけじゃなくて、料理にも使えるんだな…
それで恋歌の料理は美味いのか!」
《美味しいって思ってもらえてるなら嬉しい
わたしもペンギンみたいに凝った料理とか作ってみたいから、また今度一緒に料理しよう》
ノートに書かれた文字を見て、ペンギンは嬉しそうに頷いた。
そしてまた別の日。
『(お、重い…)』
今日の恋歌は洗濯の当番だったため、寒い中洗い終わった洗濯物を干すために、洗濯籠を抱えてよたよたと歩いていると、ひょいと籠が目の前から消えた。
「大丈夫?」
籠を持ってくれたのはベポで、前が見えないほど積み上がった洗濯物を持っている恋歌を見て、助けに来てくれたようだった。
大丈夫だと手話で返すが、洗濯物を干す場所まで持って行ってくれるらしく、ベポが先に歩き出した。
「今日はいい天気だね」
珍しく雲一つない晴天で、いつもより気候も暖かい感じがする。
雪の多いこの島で、今日は天気がいいという事もあり、洗濯物が多くなってしまったというのもあるが、久しぶりに空が見えるのも気持ちがいいもの。
「夜は星が見えるといいね」
恋歌が星を見る事を好きだと知っている。
ベポも星が見える夜はローと一緒に星を見てくれていた。
このまま夜まで天気が良ければ、今夜は星を見る事ができるだろう。
「よいしょ」
軽々と持っていた洗濯籠を下ろし、洗濯物を干し始める。
≪今日は私が当番だから私がするよ≫
「俺が好きで手伝ってるんだ、気にするなよ」
いつもより数が多いからと、嫌な顔一つせず手伝ってくれるベポに感謝して二人で洗濯物を干していく。
「なぁ恋歌…」
しばらく二人で黙々と洗濯物を干していると、ベポが小さい声で恋歌に話しかけた。
いつもより元気がなさそうな様子に手を止めて視線を向ける。
「俺さ…ちゃんと役に立ってる?」
≪どういうこと?≫
ベポの質問の意味がわからない。
恋歌が返答に困っているのを見て、ベポが続きを話す。
「俺ってさ……シャチみたいに器用でもないし、ペンギンみたいに料理が上手なわけじゃないし…、ローさんみたいに誰かを助けられるわけじゃない…
恋歌も料理上手だし、紅茶も淹れるの上手だし、俺なんかにも優しいし…
ヴォルフも…変な発明ばっかりだけど、俺なんかをここに置いてくれて…
俺はちゃんと役に立ててるのかなって…」
人間ではない自分が本当にここにいてもいいのか不安だったのだろう。
だが、ベポが白クマだからと気にしている者はこの家には誰もいない。
「ん?」
落ち込んで地面を見ているベポの視界に入れるように、ベポの正面に立つ。
ちょいちょいと手招きをすると、不思議そうな顔をしながらも頭を下げてくれた。
「恋歌…」
ベポに好きだと言ってもらえたことがあったので、頭を撫でてやる。
≪私、ベポの事好きだよ
こうやっていろいろ手伝ってくれて、人の嬉しいことを自分の事のように喜べるぐらい優しいでしょ
私の為に手話も覚えてくれて…航海術も勉強して…頑張り屋だしね
私はそんなベポが大好き
だから、自分の事を“なんか”なんて言わないで
ベポと一緒にいられる事がとても嬉しい≫
「恋歌…」
『(わっ…)』
うるうると目を潤ませていくベポに、急に抱きしめられて驚いたが、手が届く範囲でベポの身体を撫でてやる。
「俺も!俺も恋歌が大好きだ!」
すりすりと頬ずりしてくるベポのふわふわの毛並を堪能しながら、ベポが落ち着くまでおとなしく抱き着かれていた。
「ベポが恋歌に告白してる」
「俺たち恋歌の手話はまだわからねぇからなー」
「…さっさと仕事の続きするぞ」