出会いから出航まで
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「なぁ!なに読んでんだ?」
『(びっくりした…)』
自分が魔女であると告げた時から、シャチとペンギンは恋歌のすることに興味を持ちはじめた。
今は分担している家事の合間に、ローとリビングで本を読んでいたところだった。
静かな室内で急に覗き込まれたので、驚いた恋歌はしばらく固まっていたが、2人に見えるように本の表紙を見せた。
「「星座図鑑…」」
魔法の本でなかったことにがっかりしたようだったが、知らない星があったらしく、食い入るように見始めた。
「おい、恋歌の読書の邪魔だろ」
「いけね!ごめんな?」
ローに注意されてぱっ、と恋歌から離れた2人は、謝りながら本を返してきた。
大丈夫という意味を込めて手を振ると、シャチがじっと恋歌の髪を見ていることに気づいた。
「なぁ…嫌だったら断ってくれていいんだけどさ…」
言いにくそうにもじもじしているシャチに、恋歌が首を傾げると、どこからか櫛を取り出した。
「その恋歌の綺麗な髪、いじっていいか!?」
「そういやお前、そういうの好きだよな」
元々シャチは人の髪をいじったりするのが好きらしく、この家で唯一いじり甲斐のありそうな恋歌の髪を触れる日を楽しみにしていた。
だが、年頃の女の子が美容師でもない男に髪を触られるのも嫌かと思い、今までは遠慮をしていたらしい。
ノートに"好きにしていいよ"と書いてシャチに見せるとぱあっと顔が明るくなった。
「じゃ、じゃあ…」
恋歌の後ろに回っておそるおそる髪に触れると、おお…と小さく感動したような声を出した。
「お、女の子の髪だ…」
「なに言ってんだお前…」
どんな感想だよ、とペンギンが笑う。
恋歌の髪は肩より少し長い程度で、室内の灯りでも反射でキラキラと見えるほど綺麗な髪。
ただ、残念なことは恋歌の髪を切っているのがヴォルフということ。
後ろ髪を真っ直ぐ切っているだけなのだが、やはり素人が切っているので少しまばらになっている。
恋歌本人があまり気にしていないようだが、シャチは恋歌の綺麗な髪を見た時から、整えたくてうずうずしていた。
「恋歌…ちょこーっとだけ…切っていいか?」
”いいよ”とノートに書いてシャチに見せれば、慌てたように一度部屋に戻っていった。
すぐに帰ってきたかと思えば手には鋏。
「お、おれ!こういうの憧れてて…!
けど!人のとか…ましてや女の子の髪とか…切ったことねぇけど…ほ、ほんとにいいのか?」
《元々ヴォルフが切ってくれてるんだから別に気にしないよ
練習台に使って》
嬉しそうにするシャチに外に連れ出され、シャチが持ってきた椅子に座らされた。
「よ、よし…」
何度か恋歌の髪に櫛を通すが、触る度にどきどきと鼓動が早まる。
鋏を構えてぷるぷると震えていると、両サイドから手元を覗き込まれた。
「「………」」
「な、なんだよ」
無言でじーっと手元を覗き込んでくる2人に、さらに緊張が高まる。
「言っとくが、人間の髪ってのは一度切ったらその分は元にもどらねぇからな」
「し、知ってるよ!!」
「女の子の髪だからな!」
「わーかってるって!」
思ったより短く切ってしまったとしても、また伸びるまで時間がかかるもの。
さらにプレッシャーをかけられたため深呼吸をして、何故か息を止めてじゃきん、と鋏を閉じた。
ぱらぱらと恋歌の銀の髪が庭に落ちていく。
「よし」
一度切ってしまえば緊張が薄れたのか、ヴォルフが切ったまばらな毛先を整えていく。
「よく任せる気になったな」
《シャチの夢でやりたいことなら別にいいよ
髪なんかまた伸びるんだし》
「そうか」
後ろから聞こえる鋏の音はリズミカルで迷いはなさそう。
恋歌が暇にならないように、ローが恋歌の前に椅子を持ってきて話をしてくれた。
しばらくして部屋で航海術の勉強をしていたベポも参加し、シャチが恋歌の髪をいじり終わるのを待った。
「できた!」
数十分が経った頃、シャチが大きな声を出した。
「おおー!恋歌可愛い!!」
「シャチにしてはなかなかだ」
「…悪くはねぇな」
どれどれと恋歌を正面から覗く3人に、恋歌も自分でも見てみたいとノートに書くと、シャチが鏡を貸してくれた。
「ど、どうだ?」
じーっと鏡を見たまま動かない恋歌に、シャチはどきどきしながら返事を待つ。
恋歌の髪の長さは揃えられ、髪は三つ編みをしてハーフアップにされている。
今シャチができる精一杯だった。
嬉しそうに笑った恋歌は、鏡を膝に置いて手話で感想を伝えた。
「え、な、なんて…?」
「《とっても可愛い、ありがとう
これからもシャチに頼む》
だってよ」
「お、よかったじゃんか」
ローが通訳をしてくれ、シャチは確認のためにベポに振り向くと、うんうんと何度も頷いている。
「よっしゃああああ!!」
嬉しさで飛び上がったシャチは、この日から恋歌のスタイリストになった。
『(びっくりした…)』
自分が魔女であると告げた時から、シャチとペンギンは恋歌のすることに興味を持ちはじめた。
今は分担している家事の合間に、ローとリビングで本を読んでいたところだった。
静かな室内で急に覗き込まれたので、驚いた恋歌はしばらく固まっていたが、2人に見えるように本の表紙を見せた。
「「星座図鑑…」」
魔法の本でなかったことにがっかりしたようだったが、知らない星があったらしく、食い入るように見始めた。
「おい、恋歌の読書の邪魔だろ」
「いけね!ごめんな?」
ローに注意されてぱっ、と恋歌から離れた2人は、謝りながら本を返してきた。
大丈夫という意味を込めて手を振ると、シャチがじっと恋歌の髪を見ていることに気づいた。
「なぁ…嫌だったら断ってくれていいんだけどさ…」
言いにくそうにもじもじしているシャチに、恋歌が首を傾げると、どこからか櫛を取り出した。
「その恋歌の綺麗な髪、いじっていいか!?」
「そういやお前、そういうの好きだよな」
元々シャチは人の髪をいじったりするのが好きらしく、この家で唯一いじり甲斐のありそうな恋歌の髪を触れる日を楽しみにしていた。
だが、年頃の女の子が美容師でもない男に髪を触られるのも嫌かと思い、今までは遠慮をしていたらしい。
ノートに"好きにしていいよ"と書いてシャチに見せるとぱあっと顔が明るくなった。
「じゃ、じゃあ…」
恋歌の後ろに回っておそるおそる髪に触れると、おお…と小さく感動したような声を出した。
「お、女の子の髪だ…」
「なに言ってんだお前…」
どんな感想だよ、とペンギンが笑う。
恋歌の髪は肩より少し長い程度で、室内の灯りでも反射でキラキラと見えるほど綺麗な髪。
ただ、残念なことは恋歌の髪を切っているのがヴォルフということ。
後ろ髪を真っ直ぐ切っているだけなのだが、やはり素人が切っているので少しまばらになっている。
恋歌本人があまり気にしていないようだが、シャチは恋歌の綺麗な髪を見た時から、整えたくてうずうずしていた。
「恋歌…ちょこーっとだけ…切っていいか?」
”いいよ”とノートに書いてシャチに見せれば、慌てたように一度部屋に戻っていった。
すぐに帰ってきたかと思えば手には鋏。
「お、おれ!こういうの憧れてて…!
けど!人のとか…ましてや女の子の髪とか…切ったことねぇけど…ほ、ほんとにいいのか?」
《元々ヴォルフが切ってくれてるんだから別に気にしないよ
練習台に使って》
嬉しそうにするシャチに外に連れ出され、シャチが持ってきた椅子に座らされた。
「よ、よし…」
何度か恋歌の髪に櫛を通すが、触る度にどきどきと鼓動が早まる。
鋏を構えてぷるぷると震えていると、両サイドから手元を覗き込まれた。
「「………」」
「な、なんだよ」
無言でじーっと手元を覗き込んでくる2人に、さらに緊張が高まる。
「言っとくが、人間の髪ってのは一度切ったらその分は元にもどらねぇからな」
「し、知ってるよ!!」
「女の子の髪だからな!」
「わーかってるって!」
思ったより短く切ってしまったとしても、また伸びるまで時間がかかるもの。
さらにプレッシャーをかけられたため深呼吸をして、何故か息を止めてじゃきん、と鋏を閉じた。
ぱらぱらと恋歌の銀の髪が庭に落ちていく。
「よし」
一度切ってしまえば緊張が薄れたのか、ヴォルフが切ったまばらな毛先を整えていく。
「よく任せる気になったな」
《シャチの夢でやりたいことなら別にいいよ
髪なんかまた伸びるんだし》
「そうか」
後ろから聞こえる鋏の音はリズミカルで迷いはなさそう。
恋歌が暇にならないように、ローが恋歌の前に椅子を持ってきて話をしてくれた。
しばらくして部屋で航海術の勉強をしていたベポも参加し、シャチが恋歌の髪をいじり終わるのを待った。
「できた!」
数十分が経った頃、シャチが大きな声を出した。
「おおー!恋歌可愛い!!」
「シャチにしてはなかなかだ」
「…悪くはねぇな」
どれどれと恋歌を正面から覗く3人に、恋歌も自分でも見てみたいとノートに書くと、シャチが鏡を貸してくれた。
「ど、どうだ?」
じーっと鏡を見たまま動かない恋歌に、シャチはどきどきしながら返事を待つ。
恋歌の髪の長さは揃えられ、髪は三つ編みをしてハーフアップにされている。
今シャチができる精一杯だった。
嬉しそうに笑った恋歌は、鏡を膝に置いて手話で感想を伝えた。
「え、な、なんて…?」
「《とっても可愛い、ありがとう
これからもシャチに頼む》
だってよ」
「お、よかったじゃんか」
ローが通訳をしてくれ、シャチは確認のためにベポに振り向くと、うんうんと何度も頷いている。
「よっしゃああああ!!」
嬉しさで飛び上がったシャチは、この日から恋歌のスタイリストになった。